まとめ

この一週間を振り返って(2017年10月15日~10月21日)

投稿日:2017年10月23日 更新日:

前置き

この週は台風くらいしか語るべき話題がなかったので、原点に戻って恐怖について話をしたい。今回語るのは私のごく個人的な小学生時代の恐怖である。小学校時代はおおむね楽しかったが、絶対に嫌なものが二つあった。一つは「歯医者」。これは共感頂けると思う。それがトラウマになって、今では毎食8分の歯磨きを欠かさず、3ヵ月に一回の歯石除去に励むようになってしまった。先日は歯の状態を歯科助手さんにも褒めてもらったので効果は間違いない。

もう一つは給食の「キュウリ」である。全国の胡瓜農家の方、また、サラダ好きの方には大変申し訳ないが、私にとっては40年来の不倶戴天の敵である。個人的には「畑の悪魔」「グリーン・デビル」「緑の邪悪水」と呼んで毛嫌いしている(胡瓜好きな人には本当にごめんなさい)。主に奴はサラダに潜んでいて、丸の形の場合はまだ「丸呑み」で回避できるが、細かく刻まれてキャベツに混ざっている場合などは最悪だ。さらにサンドイッチや巻き寿司も油断のならないメニューであるし、少し気を抜くとハンバーガーや漬物としても登場する。奴らは匂いが移るので、一度、接触した食材はコンタミされるのである。思春期には「キュウリの酢の物」を晩御飯に出した母親にマジ切れしたという哀しい経験もある。

個人的に幼年期に衝撃的だったのは、子どもの時に好んで食べていた「きゅうりのキューちゃん」の原料が「キュウリ」であると知ったときだった。まさか奴が原料になっていたとは……!? 名前にまで明記されているのに迂闊であった。己の愚鈍さを痛感する出来事だった。現在も胡瓜一族とは、胡瓜を筆頭に冬瓜や西瓜、メロンに至るまで敵対関係は続いている。上等なメロンなど余りに甘いので油断できなが、皮に近付くとその本性を即座に現す。幸い、玉ねぎやジャガイモ程の汎用性を持っていないのが奴の弱点であるので、大人になってからは華麗にスルーしている。唯一奴の潜伏の判断に苦しむのが回転ずしの「サラダ寿司」だ。回っていることもあるし、正にロシアン・ルーレットだ。

このように無駄に力を込めて罵倒するのは、真面目なホラー小説ファンの方、キュウリに好意を持っている方には申し訳ない気持ちでいっぱいであるが、ホテルのビュッフェでキュウリがあると、部屋に入った瞬間に分かる私には未だに重大な問題である。その辺の胡瓜好きの方よりも遥かに素早く胡瓜に反応する。時に峻烈な憎悪は愛をも上回るというのだろうか。ならば真の愛とは……?

などと、ひたすら無駄な文章を書いているうちにだいぶ文字数をオーバーしたのでいい加減、本題に移ります。結論は「好き嫌いは良くない」。

先週の記事

2017年10月
15日 ゴドーを待ちながら (★★★) S
16日 この一週間を振り返って(2017年10月8日~10月14日) K
17日 鍵-自選短編集 (★★★★) K
18日 乱歩と正史 (★★★) S
19日 黒猫・黄金虫 (★★★) K
20日 抗生物質と人間 (★★★★) S
21日  (★★★★) K

総評

先々週はホラーというよりSF強化週間のような感じで不評だったが、先週は「乱歩と正史」にホラー要素があるとして、一応半分はホラー小説(評論)だった。この中では筒井康隆の自選短編ホラー小説「鍵」が面白かった。ちょっと不条理ではあるが、最後の「二度死んだ少年」だけでも読む価値があるほど面白かった。もし、古本ででも拾えるのなら、読んでみて頂きたい。
非ホラー系としては主に成城氏の評論による戯曲の名作「ゴトーを待ちながら」、現実的な問題として怖い「抗生物質と人間」などがあったが、その成城氏推薦による「愛」が、破滅的な作風だった。彼は「なんか作った砂の城を盛大に毀(こわ)したいというか毀すのが自然のような」と表現しているが、正にそんな感じのぶっ飛んだ作品。
因みにホラー強化と言いつつ、俄かファンの汚名を覚悟して、カズオ・イシグロ氏の「忘れられた巨人」を買ってみた。今から読んでみたい。楽しみだ。

今週の一冊

(ウラジーミル・ソローキン (著), 亀山 郁夫 (翻訳)/文学の冒険シリーズ)

と、いう訳で、今週の一冊は「あまりの過激さに植字工が活字に組むことを拒否したとされる」(笑)ロシアからの前衛文学の刺客、ウラジーミル・ソローキンの「愛」を選ぶしかない。万人向けではないので★4としたが、そのインパクトたるや、ホラー云々を抜きにしてすべての良識の「ない」読書好きにはご一読頂きたい。前半で綺麗に作ったボトルシップを、後半で全力で壁に叩き付けるが如き作風。似たような作品も読んだことはあるが、ここまで徹底されると、むしろポップでファンキーなロシア魂(?)を感じることができる。高い本だが、文学的評価は無駄に高いのでぜひ、お近くの図書館で探してみて欲しい。こんな作風の小説をいっぱい読みたいわけではないし、これが主流になるとは絶対に思えないが、読んだら人に語らずにはいられないイカれ具合である。後で読み返したくなる中毒性もあるので「平凡な読書には飽き飽きした」方などに特におすすめ。ただし、あくまで自己責任で、どんなに後悔しても責任は持てないので、その点だけは明記しておきたい。本当に。

(きうら)

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