読書メモ

とある10月の読書日録-その他~読書メモ(021)

投稿日:2018年10月21日 更新日:

  • 読書メモ(21)
  • 戦後日本の右翼に関する本を読む
  • とあるブックガイド番組と、東京ジャズをみる
  • おススメ度:特になし

【読書日録から】

(10/12・金曜日)『「右翼」の戦後史』(安田浩一・著、講談社現代新書)を読み終わる。戦後から現代までの、日本の右翼に関することがらを、おもしろインタビューをまじえながら簡潔にまとめている。それなりにおもしろいところもあったが、後半のふたつの章に関しては、アレレと思う。その前に、個人的に興味深かったことを。

1945年8月24日、島根県で起こった「松江騒擾事件」のこと。一応、戦後すぐに全国各地で発生したクーデター的なもののひとつ。詳細はウィキペディアにも載っているが、本書によれば、いろいろハプニングが起こったよう。それも計画に不備がありまくりだったせいで、結構ずさんだったようだ。それはいいのだが、知らなかったのは次のこと。この事件のリーダーだった岡崎功が、湘南高校(現・立正大湘南高校)の創立者となり、その高校は近年まで愛国教育をしていたようだ(現在は行われていない)。この高校には、岡崎が現役のころに、生徒からの発案で三島由紀夫と森田必勝の顕彰碑が建立されていたのだ。へぇ、といったかんじ。たぶん今でもこの碑はあるのだろう(写真があるくらいだから)。

本書には右翼の変容のことも述べられている。個人的に右翼というと、何度もいくつかの右翼事務所に集金に行った昔の記憶がよみがえる。とくになんの支障もなく、滞りなく作業は済んだし、右翼の人と話したこともあるが「話したら分かる」といったかんじだった(経験上)。それよりも、一般市民(?)の方が、やっかいだった。金払いは悪く、すぐにゴネてクレームはふっかけるし、ほんま難儀した。今の右翼がどうなのかは知らない。しかし、そんな右翼もクレーマーになることがある。

私が直接経験したわけではない。出版社に勤めていた知人が、教科書検定の際に、会社事務所に右翼連中が押し寄せて話し合いの場を持ったことを聞いたことがある(今でも話を聞く)。たまたま、知人のところのものは右翼的に問題がなく、ちょっと話しあって帰ったそう。その一方で、かなりのクレームを受けて、その後に倒産した出版社のことを間接的に聞いたことがある。そのことも本書に書かれているのだが、その是非については本書には書かれていないのである。伝え聞く話では、失職した人が大勢出たし(退職金は出たのだろうか)、もちろんそうなるとその家族も大変なのだが、そのことには全く触れていない(本書とは関係ないからか)。著者は、倒産の原因(教科書採択に当たって、採択数が減らされた)を、「つくる会」や「日本会議」が醸成した「自虐史観」批判にあったというのである。ここでよく分からないのは、著者は、はっきりとどこが悪いのか書かないのである。先に「アレレ」と思ったと書いたのは、この「日本会議」について書かれた章を含む後の章のことなのである。その辺りをはっきりとつっこんで書いてほしい。よく分からないので。教育委員会が右翼の抗議に屈したとでもいうのか?それとも検定不合格にならずとも、それを使ってはいけないというどこからかの圧力でもあったのか?よくわからん。もしあったのなら、そのことを批判しないと。ヘイトスピーチを取り上げた著者ならば。

さらに「アレレ」と思ったのが、著者の(ネット右翼を含む)ヘイトスピーチ批判が書かれた章である。著者は、ここで今までの(一応)抑制的で中立的だと思われるトーンをかなぐり捨てて、感情的になるのである。もちろん、ヘイトスピーチには、なんの酌量の余地はないのは当たり前だが、急になされる著者の、唾でもはき捨てるような感情的な書きぶりには、正直おそろしさを感じる。何かあったのだろうか。

なんというか、最後の二章を読んでいて思うのは、もし「日本会議=悪の権化」と思っている人がここを読んだら、そのことをさらに助長するようにも読めるような著者の書きぶりもあり、またそれが著者のネット右翼批判と繋がっているように思えて、なんだかなぁと思う次第なのである(違ってたらすんません)。なんだろう。著者の見解には、自身の無謬性への疑問がまったくないように思えて、正直怖い(何度も言うが、違ってたらすんません)。《※1》
まあ、著者が書く「ネット右翼」や現在の「社会の極右化」についてはイマイチなので、またの機会にでも詳しく書いてほしいと思う次第(どっちでもいいが)。

《※1》今朝(10/16)のM紙のとある記事で、現政権のメディア戦略批判が識者を交えて書かれている。まあどうでもいいことばかりだが、とある識者に「ヘイトに親和的ともみられている政権の状況が浮き彫りになっている」と言わせている。へぇ、そうなのか。知らなかった。もしそうなら大問題なので、その辺りをはっきりとつっこんで書いてほしい(そもそも、このM紙はこの前も、「安倍政権を応援する雑誌は部数を伸ばしている」というようなある識者のコメントを、記事の内容とは関係ない文脈で、何の脈略もなく挿入していたから、どうでもいいし、私の書き方もかなり恣意的なのでそれもありか)。それから、この前の総裁選でこのM紙は首相にインタビューを申し込んだが応じてもらえなかったという。そのことについて、別の識者が「[それも]私たちが知るべき情報の一つだ」と述べている。ならば、どうしてそうなのかを、詳しく書いてみるべきだろう(すでに書いていたらすんません)。なぜ応じなかったは、見当がつくのでどうでもいいが。要は、隠し事はいけないのだろう。その件で疑問点がある。今読んでる『日本の税金-第3版』(三木義一・著、岩波新書)には、この著者が消費税についてのコメントを新聞に求められた際に、「軽減税率の問題点を何度も指摘してきたが、新聞協会の方針という理由で常に最終的にはその部分を削られてしまった。新聞社は軽減税率の問題点を一切報道せず、その必要性を煽った」と書いている。その後、「突如、週二回以上発行される新聞にも軽減税率が適用されることになった」という。新聞への適用を私は知っていたのだが、この著者が言うことが本当だとしたら、なぜ新聞は著者の意見を載せなかったのだろう。まあ、どこの新聞社のことか知らないし、著者もかなり憤慨している(恨みごと)ようなので、話半分に聞くとしても、私はあまりこのことを積極的に知ろうとしなかったので、よく知らない。これが「知るべき情報」なのかどうか分からないが、まあ、どこの組織にも自分の都合はあるよねって話でした(なげやり)。

【ブックガイド番組について】

(10/13・土曜日)テレビ番組で、「東京ジャズ」をみようとしたら、その番組の前に「推しボン!」という、ブックガイド的な番組がやっていたのでみることにする。俳優の東出昌大が松岡正剛といっしょに、東出が呼びたかったゲスト三人とともに、それぞれの本棚を公開して、本にまつわる人生話を聞いていくという内容だった。まず一人目のゲストである、朝井リョウにびっくりする。というか、笑ってしまった。

朝井リョウのことは知っていたが、著作は読んだことがなかった。どうやら直木賞作家のよう。この朝井リョウという作家の本棚は、ほとんどが現代日本の作家の小説ばかりで(とくに吉田修一ばかり)、それだけを読んで直木賞をとったのに驚く。海外文学など何も読まなくて、現代の日本語作品(小説)のものを読むだけでOKってことは、この人物がそれだけある種の才能があるというか、日本文学を受容する側のレベルを示しているような気もする。なんだろう、読書の質的に浅い量といったかんじだが、おそらくこの作家はこれからも現代の売れている作品からうまく売れる要素だけを抽出して如才なく作品を生みだしていくのだろう。なるほど、こんな作家がいたとは。これなら、又吉直樹や平野啓一郎の方がよく本を読んでいるだろうし、文学のことを真剣に考えているだろう(たぶん)。松岡正剛も、番組の終りに、こういった作家がいることに驚いたように話していたように思う(忖度)。

笑ってしまったというのは、この朝井リョウのこと。例えるなら、東出と松岡が上司と部下といったかんじで話しているところへ、部下の友人であるチャラい若者が現れて、上司にはまったく顧慮せずに己の見解を開陳するような様子に見えるのが笑えた。そして、若者二人の会話においてけぼりにされた上司が、ポツンと居心地が悪くなって話になかなか入れないように見えるところは、もっと笑えた(失礼)。まあ、松岡正剛が偉いというわけではないが、それにしてもブックガイド番組でこんなに笑ったのは、なかなかない。

その後に出てきた二人のゲストは、まあ選書的にはまとも(?)だった。なんにせよ、この番組、次いつやるのか分からないが、また見てみたいと思う。

【東京ジャズについて】

ブックガイド番組の後に、東京ジャズをみる。日本のジャズフェスはこれしかみないので、一応たのしみにみる。なんというか、いつもみるメンバーが多いなぁというかんじだが、ハービー・ハンコックは昔出ていた時よりも、丸くなったというか今回は分かりやすくなってたし、見た目はまだ若いな。コーネリアスを二曲放送するなら、ロバート・グラスパーをもっと放送してくれよと思うが、まだ放送があるのでそこでやるのかもしれん。まあ、一応ラジオ放送を録音しているのでそれを聴けばいいんだが。それより、「ドーモアリガト」というのが曲中にサンプリングされてたと思うが笑ってしまった。一日目の放送としては、まあまあなので、なんというか、録音したやつを聴かなあかんなと思った次第。ところで、松岡正剛を見た後にジョン・スコフィールドを見たら、なんか顔がかぶって見えた。松岡正剛はなんか尺八が似合いそうだなと思った(また失礼)。さて、おそらく東京ジャズに一度もJoey-Defrancescoは出演したことはないと思うが、一回みてみたい(聴いてみたい)。

(成城比丘太郎)


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