★★★☆☆

ゴーストバスターズ2016 (ポール・フェイグ監督)  ~概要と感想、若干のネタバレ

投稿日:2017年5月12日 更新日:

  • 愛のあるリブート。4人の女性がゴースト退治
  • 下品でお馬鹿で露悪的なコメディ
  • オリジナルを愛しすぎている
  • オススメ度:★★★☆☆

オリジナルのゴーストバスターズが公開されたのは1984年で、ちょうど小学3年生だった。科学とゴーストをクロスオーバーさせ、さらにコメディタッチに描くというスタイルは斬新で、当時から怪談好きな私も熱狂した。しかし時に昭和の地方都市は「映画館」というものは存在せず、また小学校低学年に都会に出るお小遣いもなく、ただゴーストバスターズ下敷きだけを持って、我が身の悲嘆を託ちつつ、まだ見ぬ「最新」映画に果てしない想像を巡らせるのであった。

(あらすじ)ニューヨークにゴースト絡みの事件が発生。過去に幽霊絡みの本を書いた黒歴史を持つ学者エリン、その元親友で科学者のアビー、その同僚で天才物理学者のボルツマン、歴女の黒人パティに脳みそ空っぽの美男子ケヴィンがゴースト退治に乗り出すが……。主要キャストを女性に入れ替えての力の入ったリブート作品。

数年後、オリジナルのゴーストバスターズをテレビの地上波で観た小学生の私の感想は「まあ面白い」だった。想像以上でも想像以下でもなかった。それもそのはず、この映画には大人向けのお下劣ギャグが満載だったからだ。

時は変わって2016のゴーストバスターズも基本は同じ。VFXは割とトゥーンぽさの残るもので、当時の驚きはない。ただ、ストーリーに下ネタを仕込みつつ、基本は王道のエンターテイメントを目指して作られている。例えば、

・幽霊探知機がもろ女性器。探知すると開く

・何度もあるぶっかけシーン。完全にメタファー。

・ケビィンが完全に男性性のアイコン。

などなど枚挙に暇ない。ただ観ていて不快になる程でもなく、大人の観客なら笑って許せる範囲だろう。ストーリーもオリジナルを意識しつつも、今風に改良されており、後には何も残らないが、一通り楽しめる出来栄え。

特に皆んなが気になるラストの「あれ」はこれしかないというネタで乗り切っている。まあ納得だ。ただ「大傑作」に至るには細かい不満点も多く、原作への愛情も暴走気味だ。これも例を挙げると、

・主人公たちの困窮ぶりが今ひとつ伝わらない。

・ゴーストのデザインが貧弱。特に百鬼夜行のシーンでのバリエーションの陳腐さは致命的。モンスターデザインに定評のあるギレルモ・デルトロ監督や伝説のH・R・ギーガー、お化け大好き宮崎駿や「平成狸合戦ぽんぽこ」の高畑監督と比しても大きく劣る。せっかくのおいしいネタが無駄遣い

・エンディングの冗長さなど「愛ゆえに」余分なシーンが多い。

他にも、国家安全局の二人のキャラが軽かったり、ハルトマンのキャラが浮いていたり、変に感動物を意識しすぎたりと色々ある。

映画サイトの評価は60点台で落ちついたそうだが、妥当なところだろう。それでも先日観た日本のクズ映画に比べれば、原典へのリスペクトという点では文句が無い。特にオリジナルファンであれば、カメオ出演を観ているだけでニヤニヤできるだろう。元が好きなら、むしろ積極的にお勧めしたいくらいだ。

フェミニストがどうの、人種がどうのというのは筋違い。これはディズニー映画じゃないんだから。そういうものへの不謹慎な笑いがオリジナルの持ち味だったはず。むしろ批判するならそこまで吹っ切れていないことを指摘すべき。中途半端なレズビアン設定や黒人キャラへの配慮はいらない。

だってこれは、ゴーストが飛び回るお馬鹿映画なんだからさ!

楽しめればいいのさ。不満も多いが、私はけっこう気に入った。

(きうら)



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