- 無難にまとまりすぎて印象薄
- ラスボス復活は禁じ手では!?
- スター・ウォーズに限りなく近いスター・ウォーズもどき
- おススメ度:★★★☆☆
私のスター・ウォーズ観はEP8の時の記事にほぼ書いているので、純粋にEP9の感想を書きたい。
去年末の大作映画だったが、イマイチ盛り上がらなかった。これは制作のディズニーも認めている通り、スター・ウォーズ関連作品を乱発しすぎた(ハン・ソロの失敗は記憶に新しい)。私も盛り上がらなかった一人で、今頃、サブスクリプション系からレンタルして観ている始末だ。
内容もご察しの通り、実にスター・ウォーズらしい…というか必死にスター・ウォーズらしさを出そうとしている。レイア姫も奇跡の復活で前半に出てくるし、派手な空中戦から懐かしのスピーダー風バイクでのチェイスもある。これだけ観るとスター・ウォーズなのだが、やはり主役のレイとカイロ・レンがネック。この二人も血縁と思わせておいて、実は善悪裏返った出自を持つ設定、というのはかまわない。
しかし、最大のネックは、二人とも「弱そう」なのである。私が感じていたSWの大きな魅力はライトセイバーという光の剣による華麗な剣劇である。とにもかくにも、ジェダイがライトセイバーを抜いたら無敵というのが王道であった。そして、雑魚敵をなぎ倒したら相手の手強いライトセイバー使いが登場するというのもお約束だったのである。
この映画に足りないのは、やはりジェダイマスターなのだ。これまでのシリーズには少なくとも、ヨーダやオビ=ワン・ケノービ、クワイ=ガン・ジン、ダースベイダーやダースモールなどの手練れがいた。EP2のグリーヴァス将軍なども、ジェダイではないが、少なくとも強そうには見えた。今回、空中戦はよくできているが、ライトセイバーのシーンにカタルシスが全くない。特に時空を超えてレイとカイロ・レンがライトセイバーをやり取りするのも軽い印象に拍車をかける。要するにジェダイのいないスター・ウォーズはやはり面白くない。
悪役のシスのクローンとかも、安直すぎて覚めた。画面的には派手だが、そりゃないよ、というのが本音である。あんなバリバリ謎の電撃を出せるならさっさと使えと言いたい。ジェダイでもないハン・ソロが幻影で現れたり、C3-POの記憶喪失設定が滑ってたりするなど、随所に綻びが目立つのが残念だった。
とはいえ、監督のJ・J・エイブラムスはよくやったとは思う。この作品のコアなファンの意地悪な批判に耐え、一応、破綻しない形でシリーズを一旦完結に導いた。それだけでもファンは満足すべきなのかもしれない。
結局、若き日のジョージ・ルーカスのパッションが爆発したEP4-6が伝説的なのであり、その情熱を「再現」したEP1-3は蛇足であり、EP7-9は「別物」だということだろう。ディズニーは続きを作るつもりだったらしいが、昨今のコロナ騒ぎでエンタメ業界は大打撃を受けている。もし、コロナが1年早ければ、EP9は幻に終わったかもしれない。
今後も大作映画が続々延期されている今、EP9が一応ちゃんと終わったのは良かったかもしれない。
ここからは個人的な雑感。
見せ場は少ないが、圧倒的な存在感で、ジェダイを体現するEP4のオビ=ワン・ケノービが一番好きなキャラクターだ。雑魚が出てきた時の落ち着きぶりなど、素晴らしいと思う。
また、ラストはレイアとルークだけ出てきたのでがっかりしたが、歴代ジェダイ総結集というのもカッコ悪いのでまあ仕方ない。
ハン・ソロは切られ損だな。あそこでレンに殺させたのは明らかなミステイクだろう。実は生きていた設定で、幻影じゃなくて、本物が止めに来たらまだ盛り上がった。
また、思い出したら何か書きます。
そんなわけで、これまでのシリーズにケリをつけるためにみてもいいかな、程度です。(またホラーじゃないけど…)
(きうら)