★★☆☆☆

ハプニング (M・ナイト・シャマラン[監督]) ~感想と完全なネタバレ

投稿日:2017年7月24日 更新日:

  • アメリカで謎の大量自殺が次々と発生。原因は?
  • 設定ありきの大味ホラー
  • 監督名を観れば納得。
  • おススメ度:★★☆☆☆

最初に断っておきたいが、実はこの映画はそれほど嫌いではない。むしろ、監督を考えると微笑ましい気分で観られる映画だ。ただ、正統派のサスペンスムービー、あるいはディザスター、ホラーとして観るには穴が多すぎて、本体が無くなるほどの欠陥が多い。過去に同監督の脱力系映画を何作か観た方には、一種のギャグ映画として観られるので、そういう点で微笑ましい。

(あらすじ)アメリカ、NYの公園・セントラルパークで人々が突然意味不明な行動(方向感覚と言語感覚を無くす)をとり始め、唐突に自殺するという大事件が発生。いきなり首を髪留めで刺す、ビルから飛び降りる、銃で自殺するなど。この現象は初めテロとして報道されるが、やがて被害が拡大し、深刻な事態に陥っていく。フィラデルフィアで高校教師をしているエリオットを主人公に、この現象の謎について究明されていく……というプロット。

実はこの映画の構造は、ミステリでもディザスターでもなく、ロードムービー風のホラー・サスペンスであって、同じような構造、同じような落ち、そして「監督の頭に明確なイメージはあるが細かい矛盾点はスルー」という点で、トム・クルーズが主演した「宇宙戦争(Wiki)」とそっくりだ。鑑賞後の脱力感まで一緒だと思う。

ネタバレと言えばネタバレなので、これからこの映画を観ようという方は以下はスルーして今すぐ観て欲しいが、そういう人も少ないと予想されるので、このまま続けて書いてしまおう。

実はこの現象は「植物が出す特殊な化学物質が原因」であることが、割と早めに明らかにされるのだが、それに関する発展的な落ちやメカニズムの説明、細かい設定などをすべて投げ出しているので、最初は冗談だと思って聞いていたら、最後までその設定で押し切られるという展開を見せる。その核を抜いて描写されるのは、どこかで見たことのある家族ドラマとギャグ一歩手前の残酷描写という内容。最近は「スプリット」という映画で、ようやく「シックスセンスだけの一発屋」という汚名を返上した監督だが、この出来で何がしたかったのかは深く疑問だ。

演出的な手腕はそれなりにあるので、テンポがよく、全く観られないこともない。ただ、どうしても「風に乗ってやってくる化学物質」が「窓を閉め切っただけで遮断」できるのか、同じ風に当たっているのに発動したりしなかったりするのはなぜなのか納得できないまま、話は家族ドラマの方向に進んでいく。そもそも、窓を閉め切っても自殺するという描写をわざわざ挟んでいるのに、それを否定するシーンを入れるのが良く分からない。窓で防げるなら、目に見えるほどの粒子(花粉並)じゃないかと思うが、そういう描写もない。要は映画的ビジュアルだけで押し切る映画なのである。

以上、ネタバレしても意味がないが、そういう映画なので、日曜日の午後など、比較的穏やかな気分で何もすることが無くなった時に、古いネタ映画として観るのが正しい見方だと思う。実際、Amazon Primeで観ました。

(きうら)



ハプニング【Blu-ray】 [ マーク・ウォールバーグ ]

-★★☆☆☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

家(栗本薫/角川ホラー文庫) ~感想と軽いネタバレ

新築の家と、家族にまつわる恐怖。 一人の主婦を襲う怪奇現象。 たいして怖くはない。 おススメ度:★★☆☆☆ 専業主婦の「規子」が、念願のマイホームを、郊外の新興住宅地に新築し(資金は夫が出したものだが …

樹海考(村田らむ/晶文社)

「樹海」とは、すなわち青木ヶ原樹海のこと 樹海の観光案内的な 樹海に眠る死体(自殺遺体)の探索的な おススメ度:★★☆☆☆ 【はじめに】 本書は、富士山の裾野にひろがる青木ヶ原樹海の軽い観光案内である …

怪奇博物館(赤川次郎/角川文庫) ~あらましと感想、軽いネタバレ

非常に軽い内容のホラー風短編 大学教授と助手のコンビ連作と独立した短編 肩透かし、あるいは息抜き? おススメ度:★★☆☆☆ (あらまし)ドラキュラや謎の箱、呪いなどにテーマを取った7つの短編を収録。同 …

急いで喉を裂け~駕籠真太郎ホラーエクスタシー短編集(駕籠真太郎/Kindle版) ~紹介と感想、一部ネタバレ

時事ネタ+猟奇的描写のコミック 題材はファンタジーから風刺まで様々 現代版「カストリ雑誌」的漫画? おススメ度:★★☆☆☆ 久しぶりにホラー的な漫画を読んでみた。理由は簡単で、Kindle Unlim …

慈恩保の怪談話(慈恩保/Kindle版)~感想と軽いネタバレ

いわゆる実話ベースの現代怪談 20編の短編集。ラスト3話は連作 全話ほぼパターンが一緒 おススメ度:★★☆☆☆ こんなことを書いては著者に失礼だが、時々、気軽に「よくある怪談」を読みたくなる。技巧を凝 …

アーカイブ