★★☆☆☆

マチネの終わりに(監督/西谷弘)

投稿日:2019年11月11日 更新日:

  • 天才ギタリストとジャーナリストの純愛(?)
  • 綺麗に出来ているが大迷惑な話である
  • ラブストーリーの本質的な矛盾感
  • おススメ度:★★☆☆☆

たぶん、日本の恋愛映画を意識的に鑑賞したのは人生で初めてだ。もちろん、観る気は全くなかった。主演が福山雅治・石田ゆり子で、監督が(アマルフィ女神の報酬/昼顔)と聞けば、私が興味をそそられる要素は皆無である。酷いことを書くが、何が悲しゅうてアラ50に入った私が全盛期を過ぎた福山の映画を観なならんのだ、というのが本音だ。等とクドクド前置きしていても仕方ない。観てしまった以上、感想を書く。

話は超シンプルだ。何か知らんがスランプに陥っているらしい天才ソロギタリストの福山が、その講演会にたまたま来た国際ジャーナリストの石田ゆり子に一目惚れ。だが、石田には婚約者がいてもうすぐ結婚。間に密かに思いを寄せる福山のマネージャー(桜井ユキ)がいるという典型的な三角関係。この三人がごちゃごちゃして、最後は結局……という、何の意外性もないお話である。

ストーリーはパリに帰った石田との遠距離恋愛、挫折を繰り返す福山、二人の交感、すれ違い、(一応)衝撃的な展開、ラストとなる。けっこう長い。パリのテロやギタリストの苦悩が語られるが、福山がいかに石田を口説くか、というのがほとんどのシーンである。演奏シーンにも力を入れているが、別に音楽を聴きに来たわけではないので、どうでもよろしい。それより終始流れるギターが邪魔だった。

そもそも衰えたとはいえ、あれ程の男前である。しかも才能あふれるギタリスト。こんなキャラクターにオッサンが共感できるわけがない。相手の石田ゆり子もそうだ。才女でパリ在住、何にも困っていない(敢えて書くが)中年女である。これも正直、この人がタイプでないと、何の興味も湧かない。つまり、私は全くの他人が、好きだとか、嫌いだとか言っているシーンを2時間以上眺めていた。それなりにストーリーに起伏があるので、退屈するほどではなかったが、終始場違い感が凄かった。

じゃあ、何で見たのかと言われれば、断れない状況で誘われたからである。うーむ。

私がこの手の映画(話)を好まないのは、その内容に人間に関する素晴らしい考察があったとしても、結論が「好きか」「嫌いか」という極個人的な所感に還元されてしまうスケール感のなさである。好きな人は、登場人物に何らかの感情移入をして見るのだろうとは思うが、結局は過程を楽しむ映画なのである。

本作のラストは素晴らしいとの感想をよく見るが、私は大失敗だと思っている。あれは恋に狂った大人のエゴである。もっと言えば性欲の結晶だ。両者とも捨てるべきではないものを捨てた。「未来が過去を変えられる」という理屈で、現在の自分を正当化する。でも、二人ともそれぞれの家庭と関係性を破壊した。そりゃまあ、第2の人生を送る二人は幸せだろうが、周りは大迷惑。あそこで、どちらかが来なければ私は評価した。でも、あれで台無し。ハイハイよかったね、で終わり。福山雅治は嫌いではないが、やはりこんなアイドル的な役回り、気取った台詞、大甘なラストでは真に評価されないだろう。絵空事だ。

しかし、である。リアルな失敗など映画館で観たいはずもなく、結局、この手の映画はいかに美しい「他人の恋愛」を表現するかが命なのだろう。

私には需要と供給が合致しない映画であったが、映画館では結構多くの人が入っていた。興行的には悪くないんじゃないかな。

ホラー・サスペンス好きが、恋愛映画を観ると何を思うか、という例でした。

(きうら)
※原作は未読です。


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