★★★★☆

メイド・イン・アビス(つくしあきひと[原作]・小島正幸[監督]アニメ版) ~感想と軽いネタバレ

投稿日:

  • 少女と少年(半ロボット?)が深い穴に潜るファンタジー
  • 目的は少女の母親の探索
  • 可愛い絵柄ながらグロテスクな描写へ踏み込む
  • おススメ度:★★★★☆

このあいだ「今期[2017年7~9月]アニメ感想まとめ」で、成城氏が紹介していたので、娘と一緒に観た一本(全13話)。クロスレビューとなるが、私なりに感じたことを書いてみたい。

あらすじは、重複するので成城氏の文章を上記のまとめから引用します。

「アビス」と呼ばれるこの大穴は何層にも分かれているものの、その深さは定かではなく、そこへ「探窟家」と呼ばれる冒険者たちが日々「遺物」探しやアビス探求に向かっています。主人公の「リコ」は、ある日出会った(拾った)「レグ」とともに、アビスで待つという母親のもとへと向かうため、アビス下降を決行します。このリコは探窟家のランクでは一番下(見習い)だと思うのですが、彼女は自らの実力不足について何らかの躊躇いも、それほどの恐れも見せることもなく、呼ばれるようにアビスの闇へ降りていきます(この辺りのことは後に明らかになります)。リコのこの人間らしからぬ(?)ところは観ていて少し怖いところです。むしろロボットのレグの方が泣いたり怒ったりと、より人間らしい反応を見せます。

と、あるように少年少女が主人公で、絵柄が非常に可愛い。背景描写も精緻で、一見子供向けの優しいファンタジーのように思えるが、

二人はまずおそろしい数々のモンスターに出会いますが、さらにもっとおそろしい「アビスの呪い」と呼ばれる、「上昇負荷」の実態を知ることになります。アビスは明らかに深海探査と類似的ですが、上昇負荷は潜水病(減圧病)などよりももっと苛酷であることが徐々に明らかになります。上昇負荷によるアビスの呪いは身体に様々な障害を引き起こすのです。これは実際に見てのお楽しみです。

と、あるように、この「モンスター」と「上昇負荷」という二つの設定によって、後半のイメージはがらりと変わる。正視に堪えないような残酷なシーンが、アニメで許される限り忠実に描かれるようになる。成城氏はその後の展開も紹介しているので、興味があれば上記のまとめを見て頂きたい。

私が付け加えるなら、最近のアニメとしては「萌え」という要素を超えて、けっこう性的にあけっぴろげな描写をしているシーンが多かったのも印象的だ。風呂もないような場所に探検に出るのだから、当然、身体的な汚れが出てくると思うが、そういったシーンも避けずに描いている。また、無邪気にではあるが、ちょくちょく局部の描写があるので、ただの「ほんわかアニメ」だと思って観ていた人は、不穏な気配を感じ取ったはずだ。

ネタバレなるかどうかは分からないが、配信のタイトル一覧を見るだけで大体分かるので書いてしまう――この物語はアニメでは全く完結していない。大小さまざまな謎を解き明かさないまま、まさに「続く」という形で終わっている。映画版の「ナウシカ」がイメージに近いかも知れないが、あれよりもずっと途中で途切れた感じがする。果たして続編は作られるのだろうか?

その点を成城氏に確認してみると「円盤(DVD/BD)の売り上げ次第」ということなので、人気次第ということか。昔はワンクール26話とかいうレベルだったが、最近は人気を計りながらアニメの制作を決めているのだろう。何となく寂しい気がするが、続きは見てみたいので、ぜひ、売れて欲しいなと思う。

ジャンルとしては、ロストテクノロジー要素はあるとはいえ、ハイ・ファンタジーと言っていいと思うので、私の好みに近い。キャラクター造形と物語のシリアスさがマッチしていないという気もするが、これぐらいでないと、誰も観ないとも思う。露骨な萌えアニメは苦手な大人でも楽しく観られる範囲だと思う。

最後に原作(もとはWEB漫画)を少しだけ読んだが、絵が驚くほど精緻でびっくりした。経歴を拝見するとちゃんと美術系の学校を卒業されているようで納得した。絵が上手い人は本当にすごいなと思う。

ちなみに、今現在、2017年10月18日現在「コミックガンマ」でアンコール連載されているので(未完結)、興味がある方はぜひ、そちらもどうぞ。もし、掲載が終わってたらごめんなさい。

(きうら)





メイドインアビス Blu-ray BOX 上巻【Blu-ray】 [ 富田美憂 ]

-★★★★☆
-, ,

執筆者:

関連記事

黒い家(貴志裕介/角川ホラー文庫)

「やっぱり生きた人間が一番怖い」をたっぷり楽しめる リアルな設定と抑えた文章 スリリングな展開で抜群の没入感 おススメ度:★★★★☆ 保険会社に支払査定主任として勤める主人公とその顧客である不気味な登 …

動きの悪魔(ステファン・グラビンスキ、芝田文乃〔訳〕/国書刊行会) ~ネタバレあり感想

グラビンスキ短篇集の本格的な初邦訳 鉄道にまつわる(神秘主義的)怪談集 鉄道のもつ「動き」や怖さが感じられる おススメ度:★★★★☆ 【まえがき】 グラビンスキという、「ポーランド文学史上ほぼ唯一の恐 …

ナイトランド(ウィリアム・ホープホジスン/原書房)※絶版本~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

長編ファンタジーにホラー要素の加わった冒険譚 得たいの知れない怪物のオンパレード 愛する女性をおもいやる男の一途な想い。いい意味で おススメ度:★★★★☆ イギリスの怪奇小説家ホジスンの最高傑作。舞台 …

原民喜(梯久美子/岩波新書)~読書メモ(012)

読書メモ(12) 原民喜の「死と愛と孤独の肖像」 様々な「死」に囲繞された人生 おススメ度:★★★★☆ 原民喜は1905年生まれということで、私の曾祖母と同年生まれ(ちなみに曾祖母は10年前に他界)な …

死ねばいいのに(京極夏彦/講談社)~あらましと感想

殺害された女性を取り巻く人間たちの業を描く 一種のミステリで、一定のパターンを繰り返す 京極作品としては珍しい作風と独特の読後感 おススメ度:★★★★☆ インパクトの強いタイトルだが、これがメインテー …

アーカイブ