★★★★☆

酔拳(ジャッキー・チェン[監督]、 ユエン・ウーピン [監督])

投稿日:2018年3月17日 更新日:

  • まさに初期ジャッキー功夫の集大成
  • 明るく楽しい作風で抜群の娯楽性
  • 誰が見ても楽しめる普遍性
  • おススメ度:★★★★☆

また、怖い本を読まずにこんな映画を紹介し申し訳ないが、その辺は勘弁して欲しい。体の中に遺伝子とも呼べる作品があって突発的に観たくなる時がやってくるで……先日は、小学3年生の娘とほぼ一気に観たが、会話の内容がまるで昭和で笑ってしまった。

(あらすじ)カンフー道場の息子であるウォン・フェイフォンは豊かな才能を持ちながら真面目に練習をせず、先輩弟子をいじってみたり、街に出ては喧嘩騒動を起こしたり。挙句の果てにはそれと知らずに姪にちょっかいを出してその母親(叔母)にコテンパンにやられたり。しかし、道場を追い出された(飛び出した)ウォンは、師匠となる酔拳の使い手ソウ・ハッイーと出会い、紆余曲折の末に酔拳を身に着けるのであった。

と、いうだけの話で、正直、字幕が無くても分かるくらい単純なストーリーだ。大した理由もなく、いたるところでカンフー勝負が始まる様子は、まるで村人全員が敵キャラのRPGのようでそれだけで笑えるのだが、とにかく、この戦闘一つ一つに心血がそそがれていて、たとえモブとの闘いであっても、いろんなアイデアが詰め込まれている。

例えば、姪にちょっかいを出すシーンは非常にコミカルなのだが、その後、起こったおばさんが超かっこいい。足の動きが半端なく、これは「鶴拳」系だなと、勝手に納得してしまった。その後、ウォンはこのおばさんにバレるのだが、そのシーンも中々面白いシークエンスになっている。

また、師匠と無銭飲食をするシーン(これは犯罪だと思うが)もあるが、ジャッキーの動きは言うに及ばず、師匠の背負っているゴザを巧みに使った防御などは、見ていてほれぼれするような滑らかさ。もちろん、CGなど一切ない時代なので、早回しなどはあったとしても、基本は全て人がやっているのであるから、それに感心する。

ジャッキーのカンフー映画は、勝敗の優劣がちゃんと分かるところが素晴らしい。具体的には、最初は決まらなかった技が徐々に相手に決まるようになってくるのである。これは逆もある。欧米系アクションのように、一瞬で勝敗が決しない、よく言えば攻防のある、悪く言えばのんびりした戦いなのである。

これはいわゆる組手となっており、単純な暴力というより、駆け引きの要素が強く、その合間に細かなギャグや感情の起伏を入れてくるところが特徴だと思う。徐々に勝負の趨勢が決する様はまるで一人でやっている合戦のようであり、ここが最大の魅力だと思っている。

もちろん、時代が時代なので、ストーリーのゆるさやご都合主義は仕方ないが、それでも、ジャッキーが己の未熟さに気づき、修行に励むシーンなどは中々に熱いものがある。敵の大ボスは蹴りの使い手だが、死人が出るのは冒頭と、最後のこのボス(明確ではないが)だけなので、小学生でも安心の残虐描写のなさがいい。

師匠が明らかにアルコール依存症だとか、さっきの無銭飲食とか、今見ると色々問題があるのだろうが、昭和の映画にそんなつっこみは無粋だ。漫画で言えばドラゴンボールやらんま1/2を始め、日本のこういったカンフーカルチャーに与えた影響は計り知れず、色々な再発見があるだろう。しかし、この映画にみる中国は平和そのもので、私の中国観は長くこの映画で描かれる平和な寒村そのものだった。

映画終了後は、娘と「ペンギン拳」や「キリン拳」を編み出して、戦ったりして、清く正しい昭和の光景が再現されたのであった。

ちなみに、この姉妹編にあたり、ほぼ同じキャストで撮られている「蛇拳」も傑作なので、そちらもどうぞ。こちらは、まんま「白桃桃」が出てくるので笑う(バーチャーファイター2のラウ)。

時々場面のつなぎが怪しい場面があるが、基本CG抜きの体力勝負でやっていた戦闘シーンは、最近見たSW8のチャンバラシーンを遥に凌駕すると言っても良い。怖い本という文脈ではお勧めしないが、男の子ならぜひ一度見て欲しい映画である。ちなみに酔拳2は飛ばしていいと思う。

(きうら)


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