- 先日の記事についての補足。
- 三国志関連の本を読んだ。
- 三国志の武将の中で誰が好きかで、何か分かることがあるのか。
- おススメ度:特になし。
【先日の記事への補足】
先日(9/4)に投稿した記事「かけがえのなさについて」への補足です。そこで私は、「個別性を超えたかけがえのない何か」について書きましたが、野矢茂樹は、『そっとページをめくる』の中で、それが何なのかについて示唆を与えてくれることを書いています。野矢は、「個別性」が成立する前に、「だいじに思う気持ち」があるのではないかと書いています。野矢は、「個別性=かけがえのなさ-だいじに思う気持ち」と書いています。つまり、「だいじに思う気持ち」こそが「個別性」を超えるものとして措定されるかもしれないのです。しかし私としてはあまりピンとこない。なぜならその「だいじに思う気持ち」は必ずしも良い意味だけで用いられるとは思わないからです(それがなぜなのかは書きませんが)。しかも、身近な存在でないものへも「だいじに思う気持ち」を抱くことができるように思うからです。さらに、「かけがえのなさ」の(思いの)中には「だいじに思う気持ち」が含まれることが多いと思うからです。まあでも、これは(一種の)思考の補助線として、何らかの考察への一助になるような気がします。
以上、補足でした。
【三国志の本を読んだ】
久しぶりに三国志関連の本を読みました。箱崎みどり『愛と欲望の三国志』(講談社現代新書)です。著者はアナウンサーで、三国志の研究をしているようです。本書には、彼女の少女時代からの、「三国志」愛にまつわる遍歴が書かれています。それのみならず、「三国志」研究もフンダンに書かれています。万葉集にもあらわれるとされる「三国志」の影響から、とくに近世になってからの「三国志」受容の多様さや、日中戦争期の「三国志」ブームまで、日本でいかに「三国志」が影響を与えてきたのかが、書かれています。本書のはじめは軽い読み物かなと思ってましたが、結構硬軟取り混ぜたなかなかの面白さ。
著者は、NHKの人形劇から「三国志」にハマったといいます。それは私も同様です。私はその後、横山光輝の漫画から吉川英治版や柴錬三国志やゲームなどに進みました。著者は、主に文芸作品しか取り上げていませんが、それは本書の分量を考えると仕方ないか。ところで、柴錬三国志の性描写のすごさが本書には書かれていますが、私は中学生の頃それを読んだ時びっくりした。他には、本書では、様々な日本版「三国志」について細かく紹介しているので、初心者がどの「三国志」から入ればいいのかを教えてくれます。私としては、アニメやマンガでもいいとは思いますが。
著者の、「三国志」への「愛と欲望」に満ちた本書。「三国志」を軸にした日本文学史や思想史も垣間見えるので、なかなかおもしろかった。というか、久々に「三国志」を読み返したくなった。
【三国志の武将で誰が好き?】
他人と「三国志」の話になると止まらなくなる、という経験はけっこうあると思います。とくに武将の話になると収拾がつかなくなることうけあいでしょう。とにかく「三国志」の魅力は登場人物によってたつところが大きいでしょう。著者も書いているように、まずは劉備・曹操・孫権の三者をおぼえて、彼らを取り巻く武将たちを少しずつおぼえていけば、広大な「三国志」ワールドに自然と巻き込まれていけるのですから。天下三分の計とは、ほんと便利な構図です。
本書で著者は、最初に好きになった武将について書いています。私は誰だっただろうと思いだそうとしましたが、思いだせなかった。おそらく、蜀よりも呉のほうが好きだったのをおぼえています。孫権の世代になってからの呉です。「三国志」で一番有名な劉備・関羽・張飛を特別好きになったことはないです。趙雲はまあ好きですが(ゲームでも)。
ところで、ちょっとネット検索で、「三国志」の武将占いとか、「武将で分かる性格診断」とか調べたら、結構ヒットしました。それらがどんなものかは見てないので分りませんが、三国志本にもこういった武将で分かるあなたの性格みたいなのはあるので、キャラクター人気はやはりすごいなと改めて思いました。
ここでちょっと、(私の好きなのを含む)魏呉蜀の何人かの武将を取り上げて、何が分かるかを、以下に適当に書いてみたいと思います。
『甘寧』・・・誰が一番好きかと訊かれたら、まず出てくるのが甘寧の名前。他人の同意を得ることはあまりないけど、重要な人物。元はゴロツキだったろうけど、孫権に仕えてからは結構大事な働きをした。一応死後に神さまになったけど、どのくらいの神格かは分らない。
『趙雲』・・・オールマイティな人物とされる。誰もが一度は趙雲好きになるのではないだろうか。正史ではあまり評価されてないみたいだけども、それでも、演義には出てこない陳到にくらべればまし。両者とも劉備を支えたのに。もしかして両者を合わせた功績が趙雲ひとりに背負わされてるのか、どうか。
『張遼・夏侯惇・徐盛・丁奉』・・・関羽や張飛や趙雲に飽きてくると(?)、これらの武将に目がいくと思う。とくに夏侯惇は、戦場の人生に明け暮れたものの、めずらしく(?)天寿を全うした。かなりすぐれた人だったのではないかと考えている。アニメ『ゆゆ式』では「トンさん」として有名。張遼や徐盛は、個人的に好き。
『李典・樂進・馬岱・向寵・諸葛瑾』・・・中間管理職的な境遇にある人が好きな武将っていると思います。これらはいずれも重要な人物なので、中間管理職に甘んじたわけではないけども、向寵なんかはきちんとした評価がなされていないと思う。ゲームとかでは(おそらく)。埋もれた(?)人物を発掘してきて好きになるのが「三国志」ファンの極意。
『曹丕』・・・彼のことを好きな人っているのだろうか。おそらく彼が皇帝に就いたことは、魏が司馬一族にのっとられた発端になったと思う。
『黄忠・厳顔』・・・江戸時代には、「三国志」の武将を女性化した文芸作品とかあったみたい。現在もそういうゲームとかあるけど。今も昔も変わらない。さて現在、このふたりの老将をカップリングさせて何か書いてる人はいるだろうか。
『張任』・・・蜀の武将の中では名将とされてるけど、よく分からない人物。正史では劉備にあっさり敗北してるみたいだが。年齢もよく分からない。もし結構なお取り寄りだったとして、さらに劉備に仕えていたら、黄忠や厳顔とともに老将トリオを組んでいたのだろうか。
『張松』・・・頭頂部がさびしくなった人にはなじむ人物か。あまり人気ないと思うけど、気になる人物。
『魯粛・法正』・・・魯粛に関しては評価が上がってきてるみたいだけど、法正は、孔明のせいで(?)あまり有名になれていない。龐統(ほうとう)が生きてたらどうなってたか分からないけど、個人的には、法正は蜀漢一の軍師ではないかと思っている(孔明ではなく)。法正は人物に問題があったらしいが、それを上回るほどの優秀さがあったはず。彼が長生きしていれば蜀の滅亡も遅くなったかも。
『ゴツ突骨』・・・たまに、「ゴツトツコツ、ゴツトツコツ」と言いたくなりますよね。
(成城比丘太郎)