- 悪側(ファーストオーダー)と善側の全面対決が主軸
- 単純に面白いが、寂しさを感じる展開
- ラストのクレジットは泣ける
- 期待度:★★★☆☆
おススメ度:★★★★☆
いや、もう昨日の夜までは絶対に観ないつもりだったんですよ。いまさらスター・ウォーズも無かろうと。しかし、テレビでやっていた過去作を娘と観ているうちに、どこかにスター・ウォーズの「何か」が体の中に入り込んできたのでしょう。実は朝から別の記事を投稿したのですが、目覚めると共に観よう! と思い、記事は急遽、差し替えました(4日後に再掲載)。でも、朝の8:50、平日、奈良。いったいどれくらいの人が観に来ているのか分かりませんが、なぜだか観なければならないという使命感を感じます。何しろ、ルーク・スカイウォーカーですよ? そりゃ文体も変わろうというものです。では、今から観に行って、できるだけ早めに感想を書いてみたいと思います。因みに前作までは全て観てますが、予備知識は全くありません。
(あらすじというか前提=エピソード7を観てない方は注意)
エピソード6で帝国軍を破った反乱同盟軍の「エンドアの戦い」から30年。再び台頭してきた悪の軍勢スノーク率いる「ファースト・オーダー」とレイア姫率いるレジスタンスは戦っていた。レイアの双子の兄・ルーク・スカイウォーカーは所在不明。エピソード7の大筋はレジスタンスがデス・スターの進化版と言われるスター・キラー基地を破壊し一応勝利を収める点、レイアとハン・ソロの息子ベンがカイロ・レンと名乗り悪役として登場し、父親のハン・ソロを殺害すること。そして、それに拮抗する存在として孤独な少女レイがフォースに目覚めるところである。そして、ラストシーン、彼女は最期のジェダイであるルークと再会を果たすが……。
>ネタバレなしの感想=予告程度の知識
エピソード8は、SFアクション映画としては、十分に面白かったのではないだろうか? 実は、私は評判の良かった前作にそれほど感銘を受けなかったが、少なくともそれ以上には面白かった。観客が期待するものはほぼすべて見せてくれるし、いちいち「お約束」を叩き壊していく展開も映画単体としては良い出来だ。しかし、釈然としないものがある。それを書くとネタバレになるので、それは後半に書きたい。
エピソード7の話をすると、旧キャラクターが登場するシーンは中々泣けたが、それ以外は普通のドンパチ映画という感じだった。特にこの映画の主役の二人にあまり魅力を感じなかった。つまり、レイとカイロ・レンである。前者はエピソード4における女性版のルーク・スカイウォーカーであり、ほぼ同じことをなぞっていくので、既視感しかなかった。
一方、カイロ・レンは自らが認める通りダース・ベイダーのコピーであり、やはり焼き直し感は否めない。前述の旧キャラクター、レイア姫やハン・ソロ、C-3PO、R2-D2、チューバッカ、そしてルークの登場には感銘を受けたが、どうも新キャラクターのレイや仲間のフィンやポーに、同じ立ち位置であったハン・ソロやチューバッカ級の愛着を感じなかったのもある。R2にあたるBB8も可愛いがやはりどこか、なじめなかった。
ただ、もし私のように40代で初代のエピソード4をリアルタイムといかないまでも幼少時に観ていた人は、見る価値があると思う。できればエピソード1~3も観ておいた方がいいが、必須ではない。ただ、注意するまでもないが、エピソード7だけは観ておかないと、チンプンカンプンになるのは間違いない。
総じて、いい意味でも悪い意味でも期待を裏切るストーリー展開で、先が読めないという意味ではシリーズ最強の脚本だったのではないだろうか? 私は最後までハラハラして観られたし、周りの観客(3割程度の入りだったが)の反応も良かった。随所に泣けるシーンもある。ただ、とにかく後半で書く理由で、釈然としない人もいると思う。あくまでもルーカスが創造したスター・ウォーズの資産の上にある映画ではあるが、観て損はないと思う。
因みに良かった点はやはり脚本、悪い点は「いかにも」なかわいいキャラクターを前面に出したりしていることだ。まあ、配給がディズニーだし仕方ない。個人的には今回もしっかりと見せ場を作ってくれるチューバッカがお気に入りである。
以上、極力ネタバレのない感想でした。
(ネタばれありの感想)
ここからは、話の核心に触れるので、空白を多めに開けますので、続きは下にスクロールしてください。。ネタバレが嫌いな方はここで読みのを止めて、映画をご覧ください。
とにかく、本作のストーリーに意外性があるのは、思った以上に色々「消費」していく点である。基本的にはレジスタンス側の負け戦を描いているのだが、とにかく、最初の作戦も含め、やることなすこと上手くいかない。ワープで逃げようとすれば追跡され、その窮地を救おうとしたサブキャラのスタンドプレーは失敗し、最期の脱出作戦もほぼ壊滅させられる始末である。
それを結果的に救うのが皮肉にも悪役であるカイロ・レンである点がストーリーとしては斬新だ。どちらにしても、三部作であることは分かっているのだから、このエピソードでは少なくとも善側に戻ることはないのは分かっていたが、ああいう形でスノークを打ち破るとは思わなかった。その点だけは驚いた。あとから考えるとそうするしかないのだが、物語後半に向けて盛り上がるシーンだった。
それにしてもルークの扱いが途中までは最低である。彼もまた、かつてのエピソード4でのオビワン、5でのヨーダを演じているのであった。いかにジェダイが古臭いものか、自分が無力であるかを語る。カイロ・レンを生み出したという自責の念は分かるが、あの緑のライトセーバーを振って敵をなぎ倒したルークの姿がほとんど無いのは残念だった。
サブキャラにも触れておこう。一応新キャラとしては、黒人俳優のフィンと同行するアジア系の女性整備士ローズがいるのだが、これが日本的な視点から言うと、何とも形容しがたい容姿で、頭には「女芸人」の文字が……いや、これは差別ではないが、どうも欧米人が思うアジア系美女は、日本人の感性とはズレている気がする(フォレストガンプのダン曹長の奥さんとか)。反乱軍の面々もいいキャラが多いが、結局、散っていくキャラがほとんど。これはストーリー上仕方ないのかも知れない。
さて、クライマックスは当然、最期のジェダイこと、ルーク・スカイウォーカーが登場するのだが、実はフォースの力で幻影として戦っていたという斬新(?)な設定である。これはある意味、良く考えられたシチュエーションで、カイロ・レンに直接負けるわけにはいかない(仮にもスカイウォーカーが新参者に負けられない)が、ストーリー的にはここで消えないと盛り上がらない。その、苦肉の策がフォースの幻影として戦うという反則業である。ただこれが通るなら、もっと最初のエピソードでヨーダが使っていてもおかしくなかったはず。カイロ・レンにとっては非常にダメージのあるシーンだったが、観客にとってもダメージのあるシーンだった。
そうなのである。ルークは力を使い果たして、死んでしまう(というかヨーダやオビワンと同じく消える)。それもエピソード4でも印象的だった夕日を見つめて……ここはさすがにぐっと来た。SF映画最大の英雄と言ってもいいルーク・スカイウォーカーの散り様としては、十分なシーンだったように思う。
ただ、である。とにかく頭ではわかっていても、こうやって次々とエピソード4~6のキャラクターを「消費」して行く進行には、どこか釈然としないものがある。前作のハン・ソロもそうだが、メインキャラクターの死で盛り上げるのは、手法として好きじゃない。今回は新キャラに魅力がイマイチ感じないのでその感想はなおさら募る。ロボットたちや異星人を除くと、残るはレイア姫だけなのだが、皮肉なことに映画では生き残ったレイア姫こと、キャリー・フィッシャーが現実では亡くなってしまったのも悲しいことだ。最終作にも出番が必要だと思うが、CGでごまかすのか、死んだことにして始まるのか、とにかく、映画の面白さは認めつつも、全体的には、古参ファンには哀愁漂う内容だった。
老害と言われるかもしれないが、我々の世代はスター・ウォーズのルークやハン・ソロに、自らのヒーロー像を重ねて観ていたのだ。仕方ないかも知れないが、この「店じまい」感の寂しさこそ、釈然としないという私の本音である。極端な話、エピソード7以降は幻でも良かった。誰だってヒーローの末期は観たくない。それが自分のあこがれならなおさらだ。
最期に、現役時代は「ゴリラ姫」などと散々馬鹿にしていた、レイア姫ことキャリー・フィッシャー。エンドロールで絶対何か触れると思っていたが、案の定、次のようなクレジットがメインキャストの紹介の最期にあった。
「In loving memory of our princess Carrie Fisher」
英語は苦手だが「私たちが愛したお姫様、キャリフィッシャーへ捧ぐ」となるのだろうか。彼女の人生も波瀾万丈だったが、今は「Our princess」へ、私からも心よりの感謝と哀悼の念を送りたい。彼女がいなければスター・ウォーズは無かった。
そうそう、R2がルークを説得するために、エピソード4にあったレイア姫の3D映像を再生する場面があるのだが、そこでルークは「それは反則だ」といったように思う。私も同感だ。
過ぎ去っていく時代を感じるエピソード8。自らの人生を重ねて感慨深い人も多いはず。次回作は覚醒したレイが反撃に出るはずだがどうなることやら。ちなみにエピソード9は2019年公開。心配なのはあれだけ引っ張ているレイの両親の正体。がっかりしそうな予感。
とにかく、皆さんも「フォースと共にあらんことを」。
(きうら)