- 爽快感のあるバツグンの操作性
- 物語性は濃くはないが、印象に残るキャラクター
- ダンジョンが少々難しい
- おススメ度:★★★★☆
前回、2017年6月15日に1時間ほど遊んだ感想と回顧録的な感想(前回の記事)を書いたのだが、昨日ようやくガノン(大ボス)を倒しエンディングを見たので、クリア後のレビューも書いてみたい。Nintendo Swich(とWiiU)のゲームなので、怖い話とは全く関係ない。コンピューターゲームをしない人には何のことか分からないと思うので、一応、ストーリーと概要を改めて最初に紹介したい。
(おはなし)100年前に厄災ガノンという魔物が襲い掛かったハイラル王国。その魔物から国を守ろうとしたゼルダ姫と4英傑、そして主人公のリンクは、国を守るはずのガーディアンという機械兵器的な神獣を逆に乗っ取られ追いつめられる。しかし、封印の力を持つゼルダ姫によって、ガノンはハイラル城に閉じ込められる。そして、その後、100年に渡ってゼルダ姫はガノンを封印し続けているが、世界に平和は戻っておらず、ガノンはハイラル城に巣くったまま。かつての繁栄を誇ったハイラルも見る影はない。そんな中、100年の眠りから目覚めた主人公のリンクは再びガノン討伐のために世界を冒険する……というのが大筋のストーリーだ。
(概要)システム的には、いわゆる3Dのオープンワールドという手法を取っており、ストーリーに沿ってムービーなどが間に挟まってゲームが展開するというものではなく、基本的にどこでも自由に行ける。これまでのゼルダの伝説も基本的にはどこでも行けるような作りだったが、実質上はアイテムによってクリアする順番がある程度固定されていた。ところが、今回のゼルダは完全に自由に行動できる。具体的には目に見える景色は基本的に必ず行ける。絶対登れそうもない断崖絶壁などもゲームを進めると乗り越えられるようなる。武器や防具、回復アイテムも多彩だ。
遊んでいる感覚としては非常に斬新な感じだった。過去のオープンワールドと比べてもバツグンに自由度が高く、移動にストレスが少ない。とても広い世界だが、馬を使って移動したり、パラセールという滑空アクションのおかげで、まさに「駆け回る」という表現がぴったりの軽快な行動ができる。また、武器に耐久度があるのだが、これが結構低く設定されており、伝説の武器だろうがその辺のこん棒だろうが耐久力が切れると容赦なく粉砕する。楯も同様で、しかも耐久力を回復するという概念がない。必然的に敵と戦い、その武器を奪いながら攻略するという、これまでのゼルダにはない大胆な設定になっている。これはRPG全体から見ても珍しい仕様で(ないわけではないが)、これほど容赦なく武器が壊れるゲームは見たことが無い。経験値という概念がないゲームなので、ゲームプレイを単調にしないための設定だと思うが、これでちゃんとゲームが成立しているのはすごい点だと思う。
しかし、とにかく神獣ダンジョンが難しかった。これまでも、ゼルダの伝説の謎ときは「解決方法がひらめかなければ、どれだけ時間をかけても絶対に分からない」ものだったが、今回はそれが顕著で、メインの4つのダンジョンはほぼノーヒント。しかも、これまでにない、ダンジョンそのものを操作して謎を解くという方式なので、とにかく見えていても辿り着けないし、何度やっても解決しない。正にファミコン時代のゲーム並で、ゲーム好きとしては反則だと自覚しつつ、ネットの攻略を見てしまったりした。この辺は、もっと若い年齢のゲーマーだと問題が無いのだろうか? そもそもこの年齢でゲームなど真剣に遊んでいる(あまつさえ感想文まで書いている!)のは問題ではないかと思うが、あまりその辺は鋭く追及しないことにしたい。また、これは個人的な技術の問題でもあるのだが、しゃがむ動作と移動、弓矢とズームの動作が同じスティックで行う(傾けると移動、押し込むとしゃがんだりズームする)ので、力が入ると頻繁に誤動作して困った。これだけが個人的には残念だった。
怖い話のサイトなので、お話に触れておくと、メインストーリーを始め、全体的に切ない展開が多い。オープンワールドとストーリーを両立するために、ある地点に経つと過去の記憶が蘇るというシステムなのだが、ほとんどがゼルダ姫が自らに能力が無いのを嘆く内容で、悲しいお話なのである(もちろん、伏線としてラストで回収されるので陰鬱な話ではない)。また、共に戦った4英傑は既に100年前に死んで魂だけになってしまっている。中にはリンクに恋をしていたキャラクターもいて、何とも言えない哀切が漂っている。この辺の甘いだけではないストーリー設定が、ゼルダの伝説らしい。
さて、クリアはしてみたものの、やりこみ要素は膨大で、全てのクエスト、アイテム、中ボス攻略などをこなそうとするとまだまだ100時間以上かかりそうな状態だ。ボリューム的にも十分で、近年のゼルダの伝説としては「時のオカリナ」以来の高評価だと聞く。1986年の第1作から長い時間遊び続けていたシリーズなので、マンネリ化せずに新しい「遊び」が創造されたことは驚嘆に値すると思うし素直に拍手を送りたい。この時代にコンピューターゲームで新しい遊びを作り出すのは非常に難しい事だと思っている。本や映画で楽しむ物語も楽しいが、こういったゲームで体験するストーリーはまた違った味わいがあるので、機会が有ればぜひ遊んでみてもらいたい。ちなみに、結構怖い要素(真っ暗な森や不気味なキャラクター)もあるので、ホラー的な視点でも楽しめるはず。
(きうら)