- 初代を彷彿とさせる厳しい難易度。死にまくる
- 再序盤。派手さはないが、物理演算が地味に面白い
- ゼルダでもあり、ゼルダでもなし
- おススメ度:★★★★☆
(はじまり)今回のリンクは、どうやら100年の永い眠りから覚めたようだ。謎のハイバネーションシステムから覚醒したリンクは、全ての記憶を失い、パンツ一枚からのスタート。例によってゼルダの声に導かれながら、冒険はスタートする……。スマホ(WiiU?)を思わせるガジェットを操るロストテクノロジー的な要素を持つ世界で、やはり宿敵ガノンを追うリンクの冒険はどこへ向かうのか――。
初めてディスクシステムで遊んだゼルダの伝説は正に衝撃的な作品だった。何に驚いたのか? それはオープニングの重厚なFM音源(死語)のテーマ曲だった。その響きは軽薄なPCM音源を遥に凌駕し、これから始まる壮大な冒険を予感させるものだった。今でいえば、ショボいドット絵のリンクは、当時の小学生にとって、まさに異次元の存在だった。ゼルダの伝説は実は、生みの親の宮本茂は「RPG」とは定義しておらず「アクション・アドベンチャー」と位置付けていた。そのため、そのころ一般的になりつつあった経験値が存在しないという特徴があった。さらに、プレイヤーに「工夫」させるという新しいアプローチは、「クリア」を前提としたゲームに新しい概念を持ち込んだのだった。時に1986年。2017年から遡れば、実に約30年前のお話だ。
そして、最新作「ブレス オブ ザ ワイルド」は、初代の再現のようにいきなり世界に放り出される。誰もいない荒涼とした大地に、導き手として出てくるの謎の爺さんだけ。裸一貫で始まり、武器や食料(ライフ回復)アイテムを手に入れるが、すぐに壊れたりなくなったり。この「勝手にやって下さい」感は、実に原点回帰的。「ゼルダの当り前を壊す」というのが今回のテーマだったらしいが、結局、一周回って元に戻った感がある。
前作「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」は、ある意味「箱庭ゼルダ」として完成された作品だった。それまでに蓄えたゼルダ的ノウハウを最大限ユーザーに還元し、モーションコントロールという操作で革命を狙っていた。しかし、連綿と続く「ゼルダ」に、長年のファンは激しい既視感に襲われ、その「様式美」がひたすら苦痛になっていた。ゼルダ姫は、歴代のゼルダ姫の中でも抜群に可愛かったのだが……。
まだ1時間程度しか遊んでいないので、クリアしてから完全なレビューを書きたいと思うが、長年のファンとしては、ゼルダとスカイリム(オープンワールド(Wiki))が混じった世界は中々新鮮で面白い。大量の敵が出てこないところや草刈り要素は残しつつ、武器の耐久度やアイテムの使用感を大幅に刷新し、新しいゼルダの演出に挑んでいる。そして、長年のファンはいわゆる効果音「ごまだれ」を聞いてこれがゼルダだと納得するようになっている。
ただ、グラフィックは、最新のゲームに慣れたファンには物足りないものがある。Nintendo Switch(WiiUコンパチ)ということを考慮しても、前世代的に感じる。センス自体は素晴らしいので、ゲームをする上では気にならないが、口さがない連中には「トゥーンに逃げた」と言われるだろう。ここは正面突破して、時代の最先端を突っ走っていたころの任天堂に戻って欲しいとは思う。
初代から始まって、冒険、神々のトライフォース、夢を見る島、不思議のぼうし、大地の章、時のオカリナ、トワイライト、夢幻の砂時計、風のタクト、神々のトライフォース2……自分のゲーム人生はだいたいゼルダと共に進行している。
もう一度初代の感動がよみがえるのか。それは、もう少し遊んでから結論を出したい。
(きうら)