- 夏休みといっても高校生から大人向け
- おもしろいけど、長い!
- 長期休暇に腰を落ち着けて読むシリーズ
- おススメ度:それぞれ
このサイトのもう片一方のライターの成城氏が「夏休みに読みたい短編」という内容で、記事を書いていたので、私もそれに倣って(?)長編を選んでみたい。と、いっても成城氏とは違い、過去に紹介した作品ばかりなので、再読になっている。これは、同意する方は少ないかもしれないが、お気に入りの長編を再読するというのは、一種の素晴らしい娯楽だと思っている。定期的に読み返したい、そんな本があるのは幸せである。
「姑獲鳥の夏」。過去記事はこちら。京極夏彦=長編小説といっても過言ではないくらい、長い小説が多い。このシリーズは百鬼夜行シリーズと呼ばれているが、正編9巻(8話)、外伝5巻という冊数で、どれもが連続・関連した話になっているのはもちろん、一巻一巻のボリュームが半端ない。この最初の「姑獲鳥の夏」でも十分分厚いのだが元の新書版は通称「レンガ本」。中身は戦後間もない昭和を舞台に、次々と起こる猟奇殺人を妖怪に絡めて描く内容で、ホラーとしても読める。残念ながら、まだ未完で終わっているのだが、ぜひ、最後まで読んでみたいと切に思っている。ちなみに「鉄鼠の檻」あたりで振り落とされる可能性が高い。
「ザ・スタンド」元記事はこちら。紹介記事も5冊分に分けて紹介しているが、キング作品初期の傑作長編である。ウイルスが蔓延して人類が滅びかかった世界を舞台に、様々な人間模様と、善と悪の対決を壮大に描く一遍。キング作品でもいまだに一、二の人気を争う作品で、少し古いが一読の価値あり。一巻でハマれば5巻まで一気読みできる内容だと思う。個人的におススメ。
「指輪物語」元記事はこちら。そのスティーブン・キングが強く影響を受けたといわれるのが本書。実際にダーク・タワーシリーズは、キングなりの指輪物語として描かれている(と本人が述べている)。ロード・オブ・ザ・リングとして有名になってしまったが、原著には映画にない魅力がいっぱいある。珍しい「です・ます」調の文章は、最初は堅苦しくて読みにくいかもしれない。しかし、その格調高い文章と物語は全巻を読みとおす価値のある内容だと思う。3、4回ほど再読したが、読むたびに新しい発見がある。やはりアラゴルンは「ストライダー」より「馳夫」、スティングより「つらぬき丸」がしっくり来たりする。ぜひ、ご一読を。
「模倣犯」元記事はこちら。ミステリとしては、他に類を見ない完成度と緊迫感を持った傑作だと思っている。宮部みゆきの作品はこれが基準になっているので、他の作品はどうも物足りない。人間の愛像と悲哀が存分に描かれた本作は「映画は無視して」ぜひ、原著で味わって頂きたい。5巻もあるが、ほとんどダレルことはないはず。内容的にはミステリというよりサスペンスかもしれないが、あまりこの界隈の本を読まない私でも記憶に残っている作品。
「ファントム」元記事はこちら。最後は比較的短い(といっても上下巻ある)クーンツの作品を。本国ではキングと並び称されるモダンホラー作家のクーンツ。この作品は初期の傑作で、冒頭からラストまで一気に読ませる勢いのあるストーリーが特徴。ラストはなんだかよくわからないところもあるのだが、とにかく、正統派モダンホラーとして、楽しく読める一冊。若い姉妹が主人公でハラハラする。手に入りにくいかもしれないが、機会があればぜひ。
と、いうわけで、とりあえず、すぐに思い浮かんだ長編作品を挙げてみたが、長編といっても長さはまちまち。この中では京極夏彦の作品が群を抜いて長いと思う(途中で挫折する確率も高い)。ちなみに私の本棚にある最も長いひとつながりの物語はグイン・サーガで、栗本薫の原著で外伝含め150冊以上あったと思う。ただ、こちらは後半グダグダになるので、いまいちお勧めできないが途中までは面白い。
ではまた次の記事で。
(きうら)