3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★★☆

学生の時に読んだ本、新入生の時に読みたかった本(成城のコラムー29)

投稿日:2021年3月18日 更新日:

  • 新入生で読みたかった本
  • 学生時代に読んだ本
  • 新入生でなくとも読んでください
  • オススメ度:★★★★☆

【前口上】

『東大教師が新入生にすすめる本』という新書を久しぶりにパラ読みしていました。ほんで、自分なら新入生にどんな本をすすめるか考えたけど、私はそんなとくにエラソーな身分でもないので、自分が学生の時に読んだ本や、新入生の時に読みたかった本のことを書きます。

これからウキウキワクワクドキドキソワソワツンツンデレデレアバババの入学をひかえた新入生とか、読書初心者の役に立つかはわかりませんが、何かの役に立つかもしれませんので、最後までお読みいただければありがたいです。

【小説~エンタメ】

・パトリック・ジュースキント『香水』(文春文庫)

とりあえず、この作品を物差しにすればいいかと思われます。エンタメとしてこれより面白いか面白くないかの、何らかの基準にできるかと思います。これより面白い作品にたくさん出会えたなら、皆様の読書人生はさらに最高なものになるでしょう。

【小説~ホラー】

正直、怪奇幻想小説ですすめるならまずは『フランケンシュタイン』でいいのではないかと。創元推理文庫と新潮文庫のどちらでもいいです。光文社古典新訳文庫版はまだ読んでないので、近々読んでみたいです。

『フランケンシュタイン』を読んだ後に、廣野由美子『批評理論入門』(中公新書)を読んでみてください。『フランケンシュタイン』読解を通して、小説の書き方や読み解き方が学べます。文学作品を読んで色々考えたいなら、読んでみてください。

それと、エドガー・アラン・ポーさん。ポーの作品にはあらゆるものが詰まっています。たぶん、エンタメ的なものの源流にあるのが、このポーでしょう。

【陰キャ向け?】

・ドストエフスキー『地下室の手記』(光文社古典新訳文庫ほか)

自分はたまに他人と関わりたくないイタイ十代に、そんな日々を送っていた時に読んで、なんか響きました。現在の巣ごもり生活を余儀なくされた人向けにはシンドイかもしれませんが、軽いヒッキー傾向がある人は共感できるかも。

たまに孤高にひたりたい人には、アンソニー・ストー『孤独』もいいかもしれません。孤独は決して否定されるべきではありません。たまの孤独もいいものです。これを読んで孤独を飼い慣らしましょう。そしたら、巣ごもり生活も少しは耐えられるかもしれません。

それと、近々シオランの『生誕の災厄』の新装版が出版されるようです。活字もキレイになるのでしょう(買いまっせ)。学生時代に、シオランの言葉に比肩できるような、そんな一節をひとつでもうみだすことができるかどうか。もしそんなフレーズをうみだせたなら、その人の人生がより豊饒なものになるという保証はできません。

【世界の見方を変える】

・ユクスキュル『生物から見た世界』(岩波文庫)

これは、ページ数も少ないので、落ち着いて読めます。読んだ人の、世界の見方が変わることでしょう。文系の方は、物理学や宇宙や生物関係の入門書を(わからなくとも)とりあえず読んでおけば、何かの役に立つような気がします。

【哲学関係】

哲学に関しては、最近入門書やらがたくさんあるので、今の学生さんがうらやましい。個人的に、最初に影響を受けたのは、中島義道『哲学の教科書』(講談社学術文庫)です。この本では、哲学書がなぜあれほど難しく書かれているのかを教えてくれました。この本をとくに読む必要はないかもしれませんが、自分にとってのファーストインパクトな哲学入門書だったです。

【古典とか詩歌】

めんどくさくなったので、適当に書きます。万葉集とかだと気楽?に読めます。方丈記は、短い方なので、原文を声に出して読んでみるとカッコイイかも。
それと、人間って、結局何かの役を演じる生き物だとしたら、『風姿花伝』(現代語訳でもよいと思います)を読んだらいいのではないかと思います。まあ、能に関する本を読んだらいいのではと思う次第です。

現代詩なら、まずはとりあえず谷川俊太郎で。集英社文庫から選集が出てるので、本物の(?)現代日本語に触れておくのもいいかもしれません。

【競馬の本】

現在好評配信中の、「ウマ娘」のアプリゲームをプレイして、その影響で実際の競馬をはじめた人もいるかもしれません(馬券購入は二十歳からです)。そんな人に、古井由吉『こんな日もある』を読んで、競馬予想の奥深さを知ってもらいたい。著者が30年以上にわたって競馬場に足を運んだ記録です。古井由吉の文学は難しいわー、という人にも読めます。競馬本の名を借りた人生論でもあります。

『こんな日もある』の解説で高橋源一郎も書いてますけど、競馬新聞やスポーツ新聞の競馬欄には「物語」が詰まっています。馬名や数字で埋め尽くされた競馬新聞に書かれているのは、過去の物語です。そして、それを読み解くのは現在であり、かつそこから導き出されるのは、レース結果です。それはすなわち、記号と数字が書かれた競馬新聞から、未来を視るということなのです。それが競馬予想なのです。

競馬欄の馬柱の文字をじっと見ていると、そこから未来のレース結果が見える気がする時があります。この現象を、予想のゾーンに入ったと勝手によんでいます。なぜだかわからないけどわけもなく上位に来るであろう馬の名前が、馬柱から浮かんでくる錯覚に陥るのです。で、その選ばれし馬で決着することが、週に1回はあるのです。これは予想ではなくて、単なる勘なのですが、しかしそういった感覚に陥るレースはいくつもあるので、結局のところ当てずっぽうでしかないかもしれませんけど。

まあ、一番興奮するのは、きちんとした予想で、思ったその通りに決着した時です。ほんまに、最高の瞬間です。今を生きてる感がすんごくてやめられへん。

【まとめ】

まあ、「大学生 おすすめ 本」で検索したらイクラでもでてくるので、それらのうちからおもろそうなのを読んだらいいかと思います。私の書いた記事で、星4つ以上のものなら、それなりにオススメできます。若いうちに色々読んでおけば何かに役立ちます、きっと。

(成城比丘太郎)


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