- 災難に会いやすい少年のオカルト系ジュブナイル小説
- 色々と評価不能
- ……コメントできない感じ
- おススメ度:評価不能
うーむ、困った。久しぶりにコメントに困る小説を読んでしまった。このサイトではおなじみの角川ホラー文庫から出ていたので、軽い気持ちで読んでみたのだが、正直、全く物語が頭に入ってこない。表紙からジュブナイル小説(ラノベ)系の話だとは知っていたが、ここまで合わないとは。
(あらすじ・本の裏より転記)小学六年生の山内くんは生まれもっての災難体質。昔そんな彼にお守りをくれたのは、口から火を吹く不思議な子・紺だった。「おまえに見せてやるよ。あっち側の世界を。隠り世を」紺と再会した山内くんは、彼女によってこの世ならぬものが見える目にされてしまう。紺とその仲間たちと一緒に、次々奇妙な事件に遭遇する山内くん。友情、呪い、神かくし、そして恋―忘れられない夏がはじまる。青春オカルトファンタジー。
内容的には上記で間違っていない、と思う……が、一つ重大なミスというか、落ち度がある。この話は本書では完結せず、後半(山内くんの呪禁の夏。 夏の夕べに約束を)を読まないと、話の全容が分からないという状態なのだが、どこにもその表記がない。なので、最後のページで正にブツリと途切れる。続くという案内もないし、完結もしていないし、単にいきなり終わった感じでどうも納得できない。それはないよというのが、正直なところ。
とはいえ、内容を正確に把握できているかというと正直怪しい。序章で火事のシーンがあるのだが、主人公の父親が二階の窓からバイクで犬を助けて飛び出して姫路城の堀に落ちる。父親は元ヤンキーで今は喫茶店のマスターで、身長2メートルと書かれている。この時点で私の思考は停止した。以後、田舎に行って、口から火を吐く少年と見せかけた少女・紺(こん)と出会って、呪いやトラブルに巻き込まれるのだが、本当にうわべしか覚えていない。
つまりこれは、読むべき人間が読まなければ全く意味のない小説、ではないかと思う。具体的に言えば、小4の娘が、半日くらいで読破していたので、つまりはそういう年代に向けた小説であり、いい年したおっさんが読むべきものではないのだ。因みに娘に感想を聞いてみると「山内君が最初は呪いとか言ってたのに、途中から格闘ものになっていきなり終わった。最初の目的と違う」と、いう感想。これは高く評価していないのではないかと思うが、最後まで読んでいたのでそれなりに読めたのではないかとは思う。
これでも一応、萌えという概念は理解しているので、上記の紺と山内くんのやりとりに惹かれる人もいるのではないかと思うが、何しろ、人物の背景がほとんどないので「そういうキャラがいる」という段階で止まっているのではないかと思う。まあ、味のしないガムを噛んでいたようで、噛み終わったのかどうかも分からない、そんな状態でこの文章を書いている。というわけで、正確に理解できないものを評価することはできないので、評価不能としたが、断片的な感想では、あまりおススメはできない。と、思ってAmazonの評価を見てみると★5の人が二人感想を書いているではないか。
うーむ、というわけで、最初に戻ってコメントに困っている状態。読んで損したとは思わないが、普段からこのサイトのおススメを信じてくれている方は読まれない方がよかろう。もっと別にいいホラーがあるはずだ……。「が、」が多い文章で読みにくくなったのは申し訳ない。
(きうら)