- 非常に軽い内容のホラー風短編
- 大学教授と助手のコンビ連作と独立した短編
- 肩透かし、あるいは息抜き?
- おススメ度:★★☆☆☆
(あらまし)ドラキュラや謎の箱、呪いなどにテーマを取った7つの短編を収録。同じコンビを主役に据えた連作の間に独立したストーリーが挟まる構成。とにもかくにも赤川次郎。酒で言うなら非常に軽い食前酒のようなもの。
巻末にはホラー小説とあるが、半分はホラー風ミステリで純粋なホラーではない。基本は怪奇現象を理詰めで解説する謎解きの形を取る話も多いが、最終的に超常現象を認めて決着する話もあり、どうも座りが悪い。
文体はもう赤川次郎以外にないと言う文体で、知らずに読んでも多分「赤川次郎か素人が書いたもの」と思うだろう。軽妙洒脱と言えば聞こえがいいが、良くも悪くも何も残らない小説だ。オチもトリックも強引で、なるほど、力が入っていないのがよくわかる。
途中の娘を亡くした母親の話はそれなりに感慨もあったが、あとはもう「赤川次郎だから」で押し切る凡作、駄作揃い。決して嫌いではないのだが、これが著者の最良の仕事とは思えない。どうしても、暇なら、軽い気持ちで、と三重の前置きをしてから読まれた方がいいだろう。
多作で知られる著者であるから、こういう話もよく混ざるのかも知れないが、20年前に文芸雑誌に載っていたら、損も得も感じずに読み終わる、という所では無いだろうか。つまり、オススメしない。
(きうら)