★★★★☆

レオン 完全版 (リュック・ベッソン監督) ~あらすじと感想

投稿日:2017年7月4日 更新日:

  • 孤独な殺し屋と不幸な少女の純愛ストーリー
  • リュックベッソン奇跡の一本
  • 主演二人の出世作
  • おススメ度:★★★★☆

最近、やたらと古い映画が観たくなる。先日は「Shall we ダンス? [DVD]」なんて観ていたし「ロボコップ」なども、もう何回目になるか分からないが見直し、「やはりポール・バーフォーベンは偉大な変態紳士だ」と実感せずにはいられない。そういう流れで、本作の紹介に入る。

(あらすじ)凄腕だが、私生活は質素で孤独な生活を送っている謎の暗殺者・レオン(ジャン・レノ)、彼は少し「足りない」のをいいことに、町のマフィアにいいように使われている。一方、麻薬に手を出すチンピラを親に持ったマチルダ(ナタリー・ポートマン)は、ある日、家族を皆殺しにされ、隣の部屋に住んでいたレオンに助けてもらうのだが、彼女も「殺し屋」になりたいと言い出し……というストーリー。居間で堂々と観ていたら、子どもが怖がったので、家人に注意された。確かに、ゲイリー・オールドマンが散弾銃をぶっ放して冒頭から人を殺しまくるんだから、小学生が観ていい映画ではないだろう。

とはいえ、映画の主題はレオンとマチルダの心の交流なので、殺人シーンやアクションシーンはあくまでも必要な時だけ展開される。この映画の魅力は、凄腕の殺人者だが、子どものような純粋な心を持ったレオンと、大人びたマチルダの疑似的な親子と恋人の間の関係性に尽きる。両者とも、この演技しかないというほど「ハマった」演技をしており、ストーリーそのものはそれほど複雑ではないものの、ついつい見続けてしまう魅力がある。

それにしても今を時めくナタリー・ポートマンを見出したのが、リュック・ベッソン監督の最大の功績だろう。彼の映画は後に何作も観たが、この作品だけが特別で、あとはそれほど傑作揃いというわけでもないので、まさに三人が奇跡の融合を果たした一作と言える。こんなことを書いては怒られると思うが、監督もやはりある程度のロリコンであるのは間違いないだろう。WASABIで広末涼子を口説いたという話は有名だ。ある種の変態気質がプラスに作用して、本作のような「奇跡の一本」が生まれたと推測される。

特別編となっているのは、公開時にカットされたシーンが入っているためで、主に印象に残っているのは、レオンとマチルダの交流の場面だろう。これは後から考えると、なくてもいいかなと思わないでもないのだが、二人に感情移入している観客にとってはいいシーンかもしれない。最高に切ないラストシーンへの伏線となっているので、必要かもしれないが個人的にはやはりなくてもいい。

とにかく、男性視点で見ると、ナタリー・ポートマンの演技が素晴らしい。「タイガー・モス」号に乗り込んだラピュタのシータのように、時には大胆に、時には女性らしく振舞うさまは永遠にスクリーンの中に残り続けるだろう。今の自分が一番泣けるシーンは、冒頭のナタリーの「大人になっても人生は辛い?」という質問に「辛いさ」と答えるジャン・レノの何気ないセリフ。人生、本当にそうだよな。そういったディティールの良さも含め、いい映画だと思う。

「怖い本」的には結構直接的な殺人シーンがあるので、間違っても家族と一緒に見たりはしないほうがいいと思う。性的なシーンも若干ある。しかし、そんなナタリー・ポートマンも立派な女優になった。なかなか感慨深いものがある。

(きうら)



レオン 完全版 [ ジャン・レノ ]

-★★★★☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

洞爺丸はなぜ沈んだか(上前淳一郎/文春文庫) ~あらましと感想、阪神淡路大震災の記憶

日本史上最大の海難事故の記録 冷静で客体化された文章 極限状態での人間の本性を垣間見る おススメ度:★★★★☆ (あらまし)洞爺丸の事故(wiki)と言えば、昭和29年(1954年)に起こった死者・行 …

黒い森の記憶(赤川次郎/角川ホラー文庫)

田舎に隠棲した元医者と少女連続殺人事件 老人の謎めいた過去と行動 ミステリよりもサイコホラーっぽい おススメ度:★★★★☆ 時代は昭和50年前後。元医者の老人は、娘婿夫婦に病院を任せ、田舎に質素なコテ …

絡新婦の理 (京極夏彦/講談社文庫) ~あらすじと感想、ネタバレあり(後編)

目潰し魔と絞殺魔の事件を繋ぐ糸とは 魅力的なキャラクターたち ネタバレありの感想 おススメ度:★★★★☆ この作品については、前編に引き続いて感想を書いていきたいと思う。前回は今まで通り概要を紹介した …

赤目四十八瀧心中未遂(車谷長吉/文藝春秋)

昭和の尼崎で臓物をさばく堕ちたインテリの悲哀 とにかく猥雑。あらゆる人間の醜さが描かれる 異様な文章力で一度囚われると離れられない おススメ度:★★★★☆ 久しぶりにとんでもないものを読んでしまったな …

人生論 (トルストイ[著]、原卓也[訳]/新潮文庫)

悩める30代以降に トルストイの「幸福論」 難解だが私は腑に落ちた おススメ度:★★★★☆ 怖い本のサイトととはいえ、時々(結構?)管理人の趣味でそれ以外のジャンルの本にも手を伸ばす本サイト。今回はロ …

アーカイブ