★★★★☆

ぼっけえ、きょうてえ(岩井志麻子/角川ホラー文庫)

投稿日:2016年12月11日 更新日:

  • 短編だが、グロテスクでゾッと来る恐怖感
  • 巧みな岡山弁での語りが魅力的
  • 表題作以外はいま一つ
  • おススメ度:★★★★☆

あちこちの書評で「怖いホラー小説」の話題になると、必ず選ばれているのが、この「ぼっけえ、きょうてえ」だ。意味は「凄く怖い」ということらしいが、表題作に関しては、タイトル通りの逸品だ。

怖さにも色々種類があるが、本作、感覚的・視覚的な恐怖やグロテスクな表現でジワジワ追い詰められて、最後にいきなり「気持ち」を突き刺されるようなそんな恐怖を味わえる。この鮮烈さは特筆物で、鋭い刃物で切りつけられるよう。何を書いてもネタバレになるので、まずは一読を。

本作品は色々現代的なアレンジがされているが、骨子は伝統的な怪談話だ。岡山弁での語りが巧みで、作品に飲まれてしまう。ただ、この小説には4篇の短編小説が収録されているが、表題作に比べるとその他3篇は少々劣る印象だ。

どこかで「もうこの本を読みたくないどころか、表紙に触りたくもない」という感想を読んだが、「できれば忘れてしまいたいような怖い話」なんて中々見つからないと思う。ホラーファン必読の一冊。

(きうら)


ぼっけえ、きょうてえ【電子書籍】[ 岩井 志麻子 ]

-★★★★☆
-, ,

執筆者:

関連記事

地を這う虫 (高村薫/文春文庫)

報われない男の諦めない物語 4つの短編を収録 人生は勝ち負けではない おススメ度:★★★★✩ (あらまし)「人生の大きさは悔しさの大きさで計るんだ」。文庫本の裏面にあるフレーズ。最近気が付いたが、人生 …

無限の住人(沙村広明/KCデラックスアフタヌーン) ~原作コミックスの概要と映画化についての意見

不死の肉体を持つ男のアクション時代劇 緻密な作画とストーリー展開 スプラッターと言える描写多数。しかもギャグも混在する。 おススメ度:★★★★☆ 来月にはひょっとしたらエラい騒ぎになっているかもしれな …

新世界より(貴志祐介/講談社)

ホラー要素満載の傑作SFエンターテイメント 知的ゲーム的な要素も面白い 残酷描写も多いので注意 おススメ度:★★★★☆ 時は未来。人間たちは「呪力」という超能力を手にしていた。その力によって、様々な文 …

ヒトでなし: 金剛界の章 (京極夏彦/新潮文庫)

不幸な男が非積極的に人を救う話 ヒトでなしとは善で悪でも無い極北のこと 異様にハマってしまった おススメ度:★★★★☆ 久しぶりに本を読んでいて心地良かった。読まなければならない、という主体性を求めら …

玉藻の前 岡本綺堂伝奇小説集(岡本綺堂 /原書房)

妖怪をテーマにした悲恋 古典調だが読みやすい 予想以上に二転三転する物語 おススメ度:★★★★☆ 玉藻の前といえば、妖怪ファンにはお馴染みの九尾の狐、そして那須の殺生石。文学全集にも名を連ねる岡本綺堂 …

アーカイブ