★★☆☆☆

死国(坂東真砂子/角川書店)

投稿日:2016年12月21日 更新日:

  • 心霊系恋愛小説
  • 四国の土俗的文化がベース
  • ホラーとしてはおすすめできない
  • おススメ度:★★☆☆☆

注・ここから先、ネタばれあり

過去に「猫殺し」の一件で話題になった坂東氏による「死国」は、死者の甦りと四国の土着文化をテーマにしており、文庫本の帯では「伝奇ロマン」と紹介されていた。問題はこの伝奇とロマンの比重だが「ほとんどロマン」といった感じで、三角関係がテーマの恋愛物になっている。

この三角関係の一角が死人という点がこの本の売りだと思うのだが、女性の愛憎渦巻く恋愛物のようで、見事に肩透かしを食らった感じ。また「霊魂が存在する」ことが前提になっているので、リアリティを欠く。

死者の甦り系のお話として「猿の手」という古典的なお話がある。死者への切ない思いと冒涜行為が交錯して悲劇的な結末を生む、というのが基本的なプロットだ。この「死国」もそういった要素もあるが、甦った死者が取った行動が「ヒロインとの男の取り合い」な所が、トホホ感いっぱいで「けっきょく痴話喧嘩かよ!」と、思わず突っ込んでしまった。

テーマである四国の土俗的文化についても、それほど突っ込まれておらず、中途半端感は否めない。期待して読んだだけに、どうにもお薦めしにくい一冊というのが今回の感想だ。

(きうら)


死国 [ 坂東眞砂子 ]


-★★☆☆☆
-, ,

執筆者:

関連記事

狐火の家 (貴志祐介/角川文庫) ~簡単なあらすじの紹介と感想

作者の前作「硝子のハンマー」に続く短編集 前作を読んでいることが前提なので注意。 作者の持ち味と作品のテーマがずれている気がする おススメ度:★★☆☆☆ 前作・密室の謎を解く正統派ミステリー「硝子のハ …

ブラッドハーレーの馬車(沙村広明/太田出版)

少女趣味と人体欠損要素あり 全体的に鬱展開で救いがない 絵は作者特有の緻密な画風 おススメ度:★★☆☆☆【閲覧注意】 とある資産家のブラッドハレー家では「慈善事業」と称して、孤児院から少女を選び、養女 …

この世の春(上・中・下) (宮部みゆき/新潮文庫)※完全ネタバレありの感想

   時代劇ミステリ・サスペンス 小さな世界で話が終始する 書きたいものは分かるが…… おススメ度:★★☆☆☆ このところ「これは!」という作品との出会いがない。本作も期待して読んだのだが、どうしても …

ファントム・ピークス(北林一光/角川文庫)~ネタバレなしのモヤモヤする感想

山で起こる謎の失踪事件を追う 可もなく不可もない文章 オチにはちょっとがっかり おススメ度:★★☆☆☆ 困った。ジャンル分けや詳しい感想を書くと、ネタバレに直結するという本なので、非常に扱いづらい。し …

プルトニウムと半月(沙藤一樹/角川ホラー文庫)

原発事故地帯に住む姉妹の青春小説風 残酷描写は多め、重い展開 説明不足で不親切な構成 オススメ度:★★☆☆☆ 原発事故によって双子の姉妹の華織と紗織はバラバラになった。封鎖された30キロメートルの範囲 …

アーカイブ