- 率直な内容のモダンホラーの古典
- キリスト教的世界観は日本時にはなじみが薄い
- 妊娠中の方は特にお勧めできない
- おススメ度:★★☆☆☆
モダン・ホラーの元祖として名高い本作品は、恐らく映画の方が有名だと思う。モダン・ホラーとは、直接的な残酷描写より、内面の恐怖を描いた作品らしいのだが、確かにこの作品も、一部に血や残酷描写があるものの妊婦の不安定な精神状態が主な「怖がらせ」のテーマになってる。
妊娠→出産の流れは非常にリアルに感じられ、主人公のローズマリーが感じる妊娠への恐怖がそのまま伝わってきて気持ちが悪かった。妊娠前後の母体は非常にデリケートな状態で、しかも、病気・事故などを除けば、人間が生命の危機にさらされる数少ないシチュエーションだ。この点に着目した作者の視点は、確かにモダン・ホラーの先駆けとして、秀逸なテーマだと感じた。
日本人からすると、テーマになっているキリスト教的世界観に実感がわかないので、今ひとつ怖さが伝わらないところもある。オチについても、最近の二段オチ、三段オチに慣れていると、少し物足りないが、中盤以降の徐々に人間不信に陥っていく様子はページを繰る手止まらない。妊婦や出産を経験していると怖さが倍増するだろう。
和風ホラーや心霊モノに飽きたら、一度手にとって見てはいかがだろうか。
(きうら)