★★★★☆

クリムゾンの迷宮 (貴志裕介/角川文庫) ~簡単なあらすじと感想

投稿日:2017年2月7日 更新日:

  • 隔離された舞台での頭脳戦を描くサバイバルホラー
  • 非常にゲームを意識した展開。結末に物足りなさも
  • 痛い描写も多数あるので、苦手な方は注意
  • おススメ度:★★★★☆

表紙の写真にあるようなまるで火星のような閉鎖された空間に突然放り込まれた登場人物が、生き残りを模索するサバイバル的ホラー。生き残りのヒントが「ゲームボーイ」的なデバイスに、ミッ〇ーマ〇スを模したキャラクターから送られてくるというのがユニーク。参加者は、使用方法の不明な「アイテム」を一つ選び、この不条理で絶望的なゲームに参加させられる。

主人公は一見平凡だがクールで聡明なイメージの男<藤木>で、謎の女性と一緒に、他の参加者との攻防や脱出の方法を探る構成。舞台設定に余計な設定が与えられておらず、ひたすら「生き残る」ことに頭を使うシーンを楽しむ小説だ。最初からゲームと割り切っているので、アクション映画を観るような娯楽性が高い。ゲームと言っても昨今のコンピューターゲームというより、懐かしいゲームブックを小説で読んでいるような感覚だ。リメイクするならデバイスはスマホになるだろう。

そういう意味では少しセンスが古いのかも知れないし、この手の「限定された空間でのゼロサムゲーム」は娯楽小説の定番であるので、新鮮味はないかも知れない。ただ、とにかく文章の読みやすさと構成が巧みで、話の先が気になって仕方のない作品だ。一体主人公はどうなるのか。ヒロインの正体は。結末は―-。作者が得意とする残虐描写も相まって、最後まで緊張感のある展開が楽しめる。

結末には賛否あるだろうが、私は非常に気に入っている。貴志裕介氏の作品は何冊か紹介したが、個人的にはベストスリーに入ると思っている。

(きうら)


クリムゾンの迷宮 [ 貴志祐介 ]


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