★★☆☆☆

いきはよいよいかえりはこわい (鎌田敏夫/ハルキ・ホラー文庫)~あらすじとそれに関する軽いネタバレ、感想

投稿日:2017年2月27日 更新日:

  • セックス描写の多い、オカルト的サスペンス
  • 謎の理由が不可解
  • 内容と真逆の純愛もの
  • おススメ度:★★☆☆☆

お話の導入はありがちだが面白い。広告代理店に勤めている由紀恵という主人公は、都心に格安マンションがあること知って引っ越した。もちろんいわくつき。かつて、その部屋で女性が惨殺されたことがあったのだ。しかも、大矢ささんには「部屋に鏡を置かないこと」という忠告を受ける。しかし、女性として姿見がないのは不便なので、思わず買ってしまう。最初は何事もないと思っていたが、友達の女性が引っ越してきて……。

と、「姿見を置いてはいけない」→「置いてしまう」という、ホラー映画のテンプレートのような展開で、不幸が襲ってくる。まず、その点にあまり同情できない。更にセックスシーンが出てくるのだが、これがイマイチ、ピンとこない。その必然性とさらに言えば「あまりエロくない」と思うのだ。もちろん、ホラー小説なので、必要以上にエロティックである必要はないが、そんなに興奮するようなものでもないので、それが目的ならもっと別の小説を読んだ方がいい。

更に中盤、鏡の謎についての言及があるのだが、これが何とも不可解だ。話が飛び過ぎて、説得力がない。一応理由は書かれるが、鏡との関係性もはっきりしない。話のオチも同様だ。つまり、オカルト的な仕掛けもうまく機能していないように思える。

「ホラーXエロ要素」は、映画などでは定番なので、需要はあると思うのだが、どうも期待していたものと違うというのが私の感想だ。本の裏表紙には「感動の結末」と書かれているが、それはちょっと……。結局、怖さも、エロさも中途半端で何ともモヤモヤする一冊だった。

ちなみに、題名の「いきはよいよいかえりはこわい」は、有名な「通りゃんせ」の一説で、著作権が切れているようなので、全文掲載してみる

----------------
通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ
----------------

作品のテーマだとは思うが、やっぱりイマイチしっくりこない。
※ちなみに今現在絶版で、古本で買うしかない。

(きうら)


-★★☆☆☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

ペスト(カミュ[著]・宮崎嶺雄[訳]/新潮文庫) ~あらましと軽いネタバレ

ペストに襲われた町の、約一年の記録。 登場人物数人の奮闘と、心境の変化が中心に描かれる。 翻訳の日本語文が読みにくいので、あまりおススメしない。 おススメ度:★★☆☆☆ 実際に本書を読むまでは、なぜか …

世界の果て(中村文則/文春文庫) ~あらましと感想、軽いネタばれ

暗くて生硬な文章。 ちょっとしたユーモア(のある作品)もある。 面白い本を読みたい人には、おススメしない。 おススメ度:★★☆☆☆ 中村文則の作品を最初に読んだのは、芥川賞受賞作『土の中の子供』で、一 …

パワープレイ―気づかれずに相手を操る悪魔の心理術(内藤誼人/ソフトバンククリエイティブ)

主にビジネスの対人用心理戦のコツ 使えん。が、ごく一部参考になることも でも、これするとただの嫌な奴じゃあないか オススメ度:★★☆☆☆ 純粋な技術書ではなく、何らかのコツを紹介するハウツー本は基本読 …

ジェノサイド(高野和明/角川文庫)

傭兵と薬学の大学院生が同じ真相に導かれるサスペンス 興味深い設定と読みやすい文章 オチが人によっては評価が割れる。私はだめだった おススメ度:★★☆☆☆ 以前、★5つで紹介した「13階段」というサスペ …

ゴジラが来る夜に 「思考をせまる怪獣」の現代史(高橋敏夫/集英社文庫)

ゴジラの存在意義を問う評論本 ゴジラによって変容する評論というもの 怪獣好きなら読んで退屈しないが…… おススメ度:★★☆☆☆ 今月、新作「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を観た。その出来には正直 …

アーカイブ