★☆☆☆☆

雀蜂 (貴志祐介/角川ホラー文庫)

投稿日:2017年4月3日 更新日:

  • 雪山山荘に閉じ込められた男が雀蜂におそわれる
  • ワンシチュエーション・サスペンス&ミステリ
  • 普通の尺度だと凡作、作者としては大駄作
  • おススメ度:★☆☆☆☆

私は「黒い家」のレビューでも書いたが、作者によってホラー小説というジャンルに目覚めたようなもので、当然大ファンだ。既刊著作はほとんど読んでいると思う。その私から見てこの作品は、超絶駄作だと思う。何か大人の都合で無理やり書かされたのか、ゴーストライターが書いたのか、どっちかだと信じたい。例の「ガンジーが助走つけて殴るレベル」という表現風にすると「蜜蜂マーヤが一生巣に閉じこもっているレベル」のくだらなさ。わかりにくいか。とにかく当時の私の事前の期待値は最高に高かったので「ブルジュ・ハリファ(828.0m)から突き落とされた」気分だった。とにかく、けなすだけけなします。

(あらすじ)大雪の山荘に閉じ込められた小説家が、なぜがスズメバチに襲われて、一人で対抗する。最後にはどんでん返しっぽいものがあるが、もう本当にそれだけ。なぜこれがダメなのか理由を5つ書く。
1.大雪の山荘という安直な設定。何で今さらそんな当たり前な場所を舞台にする? ひねりなさすぎ。
2.主人公が小説家。私小説じゃあるまいし、設定が安直過ぎませんかね、先生。
3.敵が弱い。いくら狂暴と言っても敵は蜂。怖くないよ。アナフィラキシーショックでもない限り、早々死ぬもんじゃないし。まだ、ゴキブリとかの方がキモくてマシだと思う。
4.展開が強引。いくらでも逃げられるのに、わざとやってるとしか思えない。
5.オチが陳腐。こんなの他の作家もさんざんやってる。何を今さら。

もう、当時は貴志祐介は終わったと確信したくらいショックを受けた。その後「新世界より」で実力を見せくれたが「狐火の家」などの凡作も混じるようになってしまった。ホームランを打ち続けるのは難しいし、締め切りもあるだろう。でも、ファンが求めているのは、こんな「誰でも書ける話」じゃない。もっとこう、著者ならではの緻密でグロい世界が見たいんですよ。

以上、偉そうに批判しましたが、あくまでも貴志祐介氏全体のレベルから見ればという評価で、これが新人作家なら、大賞は無理でも何らかの賞を受賞してもおかしくないレベルだと思う。2時間ドラマのオチもこんなもんだし、決して素人小説ではないので、何も知らなければ「普通だな」で終わる程度です。

ただ、何度も書いて申し訳ないが、貴志祐介氏の真の実力ははこんなもんじゃない。連載もされているようだし、期待してます。青春殺人ストーリー「青い炎」やグロくて有名な「天使の囀り」もそのうち紹介する予定です。氏のご活躍を心からご祈念いたします。

(きうら)


雀蜂【電子書籍】[ 貴志 祐介 ]


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