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四日間の奇跡(浅倉卓弥/宝島社文庫) ~あらすじと簡単なネタバレ、罵倒

投稿日:2017年4月18日 更新日:

  • 魂入れ替わり系の「感動」的なストーリー
  • 音楽にテーマを取った作品
  • 作品そのものよりも「このミス」に猛烈な悪意を感じる
  • おススメ度:★✩✩✩✩

(あらすじ)脳に障害を負った少女と、ピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇するある奇跡。それは青年を初恋の人と慕う女性がその少女と魂だけが入れ替わってしまうというものだった、4日後にはいったい何が起こるのか?

どこかで聞いたことがあるような設定だが、それはまあいい。ただ、この小説は猛烈にくだらない。今回は罵倒すると書いたから以下、口汚く罵る。これは「童貞野郎が書いた都合の良すぎるキモチノワルイ変態悪ノリ小説」だ。以上。作者及びこの本に感動した人、映画化した関係者の方、反論が有れば受けて立ちますよ。

ただ、それ以上に腹が立つのが「第1回『このミステリーがすごい!』大賞」が金賞を与えたことだ。当時(2004年)に純真な心でこの小説を期待して読んだ私は、煽り文句とのあまりの落差に怒りを覚えた。どんなにくだらない本でもたいていは笑って済ませるが、これは本当に瞋恚に燃えた。

当時買った本の帯にこうある。「感動の涙が止まらない。魂の救いのファンタジー」「この本に出合えてありがとうと言いたい」。人を馬鹿にするのも大概にしろ。美男美女、しかも障碍者でロリコンだって? こんな下種なネタを引いてきて感動できるかスットコドッコイ。これのどこがミステリーだよ、言って見ろ! エボシ御前(もののけ姫)の言葉を引けば「賢しらに僅かな不運を見せびらかすな」だ。

だいたいこれはSF要素のある至極単純なラブストーリーだろ。最初からそう言えば何も文句はない。出来はいいとは思わないが、笑って済ませて納得する。でくの坊と醜女のラブストーリーなんてこっちから願い下げだ。自分に見る目がなかったのも悪い。ただ、この本をこういった手法で読者を「だまして」売った野郎には心底腹が立つ。私がこんなちっぽけなブログで煽ったわけじゃないんだ。もっと選者としてのプライドはなかったのか? それとも本当に無能だったのか?

Wikiによると127万部も売れているそうだが、これが「売れているけど面白くない本」の代表の一つだ。ただ、だ。私はそう思うが、そう思わない人も多数いるだろう。それは認める。逃げるつもりは毛頭ないが、個人によって感想は変わるのは当たり前だ。例えば「若い無知な恋人と自分を好きな別な女性がいる将来の夢を失った美しい男性ピアニスト」が読んだら感動するかもしれない。

このできごと以来「江戸川乱歩賞」など昔からある賞を除き「何々大賞(たとえば、本屋大賞など)」を一切、信用しないことにしている。私は直接、人に薦められたらその本は必ず読む。だが「経済的な理由で」本を薦めてくる人間は絶対に信用しない。面白い本を探すのは難しい。だが、私は自分の目で見て、テーマと作者の実績を鑑み、数ページ読んで文体を確認して選んだ本は十中八九外さないようになった。後悔もしない。

以上、乱暴な言葉で申し訳ないと思うし、著者に何の恨みもないのだが「第1回『このミステリーがすごい!』大賞」の責任者だけは今でも許せない。お前、商売のためにこんなことしたんだろ?

(きうら)

(楽天/DVD)


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