「 文学 」 一覧

吉野大夫『後藤明生コレクション・3』(後藤明生/国書刊行会)

「吉野大夫」という人物をめぐるお話 ノンフィクションの体をとった小説 「吉野大夫」を探るうちに、わけいる謎 個人的オモシロ度:★★★★☆ 【1】 今年は後藤明生の没後20年である。去年このブログにも書 …

20世紀ラテンアメリカ短篇選(野谷文昭[編・訳]/岩波文庫)~読書メモ(38)

読書メモ(038) ラテンアメリカ文学の、とっかかりとしては良い短編集 ホラー短篇集として読める おススメ度:★★★★☆ 【はじめに】 本書は、ラテンアメリカ文学者16人の、短篇をあつめたもの。ラテン …

燃える風(津島佑子/中公文庫)~読書メモ(36)

読書メモ(036) 少女のやり場のない憤懣を、様々な暴力として表現 「死」のありさまを夢想する少女 おススメ度:★★★☆☆ 【はじめに】 おそらく、これが平成最後の投稿になるかと思います。私は、人生の …

赤目四十八瀧心中未遂(車谷長吉/文藝春秋)

昭和の尼崎で臓物をさばく堕ちたインテリの悲哀 とにかく猥雑。あらゆる人間の醜さが描かれる 異様な文章力で一度囚われると離れられない おススメ度:★★★★☆ 久しぶりにとんでもないものを読んでしまったな …

五重塔 (幸田露伴/岩波文庫)

五重塔建立にかける「のっそり」の執念 人間のエゴとプライド 擬古典調の文語体は読み辛いかも おススメ度:★★★☆☆ こんなサイトをやっているが、一応「文学」というジャンルもごくたまに読む。共同執筆者の …

この道(古井由吉/講談社)

現代日本最高峰の散文の更新 現代日本最高峰の、老いの繰り言 現在と過去との交歓 おススメ度:特になし(もはや、お薦めする/しない、という次元の問題ではない) 古井由吉の新刊。これが小説なのかどうか分か …

凍(トーマス・ベルンハルト、池田信雄[訳]/河出書房新社)

ベルンハルトの長編小説第1作 研修医が、とある画家を観察する 何もかもが凍てついた集落での呪詛のごとき言葉 おススメ度:★★★★☆ 【はじめに、本書紹介など】 トーマス・ベルンハルト(1931-198 …

カフカの父親(トンマーゾ・ランドルフィ、米川良夫・竹山博英・和田忠彦・柱本元彦[訳]/白水Uブックス)

かなり狂ってる人が登場する 奇想とユーモアとナンセンスとシュルレアリスムと 語り手の饒舌さ 奇妙さ:★★★★☆ 【はじめに】 トンマーゾ・ランドルフィ(1908-1979)は、イタリアの文学者。いつか …

現代の地獄への旅(ディーノ・ブッツァーティ、長野徹[訳]/東宣出版)~読書メモ(28)

読書メモ(028) ブッツァーティ未邦訳短篇集第二弾 日常に潜む陥穽と幻想と おススメ度:★★★★☆ 【はじめに】 本作品は、一年ぶりのブッツァーティ短篇集。内容は、変身譚・復讐譚・昔話のようなノリな …

ロマン【1・2】(ウラジーミル・ソローキン、望月哲男[訳]/国書刊行会-文学の冒険シリーズ)

  ソローキンの傑作 前半は、ロシア文学の系譜に連なるロマン 後半は、すべてが解体されていく おススメ度:★★★★☆ 【はじめに】 ソローキンの『ロマン(POMAH)』は、傑作(怪作・快作)ですので、 …

多和田葉子をおすすめしてみる(成城比丘太郎のコラム-08)

「コラム」という名のおすすめ記事 多和田葉子作品の中で、最初に読むにはどれがいいか 最新作『穴あきエフの初恋祭り』についても おススメ度:★★★★☆ 【はじめに】 先日、多和田葉子の『献灯使』(過去記 …

わたしたちが火の中で失くしたもの(マリアーナ・エンリケス、安藤哲行[訳]/河出書房新社)

「ホラーのプリンセス」の名を持つ著者による短篇集 文学にホラー要素を組みこんだもの 現代社会の情勢を取りこんでいる おススメ度:★★★★☆ 【はじめに】 著者は、現代アルゼンチンの作家で、本短篇集で「 …

オブ・ザ・ベースボール(円城塔/文春文庫)

一年に一回人が落ちてくる。それをバットで打ち返す人の話 不条理小説とも単純な人生の比喩とも取れる シャープな文章。怖くはないが少しだけグロイ所も おススメ度:★★★☆☆ 文學界新人賞受賞作、ということ …

魔法の庭・空を見上げる部族(カルヴィーノ、和田忠彦[訳]/岩波文庫)~(020)

読書メモ(20) カルヴィーノの初期短篇集 ユーモア、かなしさ、明るさ、ちょっとした不安あり(目立った怖さはない) おススメ度:★★★☆☆ 以前、『魔法の庭』として単行本とちくま文庫から出されていたも …

サロメ(ワイルド (著)、福田恒存(翻訳)/岩波文庫) ~何が怖いかを考える

ユダヤの王の美しい娘の残酷な要求を描く一幕劇 あとがきにある通り、セリフ中心の運命悲劇 現代的な怪談とは程遠い不思議な世界をのぞき見 おススメ度:★★★☆☆ 名前だけ知っていて中身を知らない本というも …

メメント・モリ(後藤明生/中央公論社)

「私の食道手術体験」という副題 自らの「入院雑記」を基に再構成したもの 後藤式に綴られる入院体験など おススメ度:★★★☆☆ 【私と後藤明生との出会い】 後藤明生(ごとうめいせい)は、日本の小説家で、 …

櫛の火(古井由吉/新潮文庫)

死んだ女性を裡に秘めつつ、生きる女性と交わる 『行隠れ』の発展的変奏 古井文学的には過渡期にあたるものか おススメ度:★★★☆☆ 【はじめに】 本書は、古井由吉が出した単行本としては、『杳子・妻隠(過 …

ガルヴェイアスの犬(ジョゼ・ルイス・ペイショット、木下眞穂[訳]/新潮クレスト・ブックス)

ペイショット作品の初邦訳 ポルトガルの一寒村に落下した物体(のにおい)があばく村人の生活 土地に積み重ねられた記憶の層と、生命のつながり おススメ度:★★★★☆ 一九八四年一月、ポルトガルの寒村である …

短篇集-死神とのインタヴュー(ノサック、神品芳夫〔訳〕/岩波文庫)

ノサックの第二次大戦から戦後(西)ドイツを舞台にした作品集 SFや寓話や神話の読み替えまで、ヴァラエティーに富む 喪失や窮乏にさらされた人々 おススメ度:★★★★☆ 岩波書店から無料配布(?)されてい …

奪われた家/天国の扉-動物寓話集(コルタサル、寺尾隆吉〔訳〕/光文社古典新訳文庫)

コルタサルの「真の処女作」にして、最適な入門書 都市生活者の不安とペーソスをかんじとれる 解釈は読み手次第 おススメ度:★★★★☆ アルゼンチンの作家フリオ・コルタサルの短篇集。この『動物寓話集』は、 …

アーカイブ