- 軽いノリのTV昔語り
- 心霊写真に怯えた日々
- 世界はどこへ向うのか
- おススメ度:特になし
気が付けば、今年の夏も大詰めに差しかかかっている。コロナ騒ぎのせいで、夏らしいことは何もなく、今日も暑いあついと言いながら、家でゴロゴロしているという体たらくである。おまけに夏バテ気味で、意欲も出ず、結局この手の記事になってしまった。
それはもう、昭和の話になるが、平成も1ケタ台までは、テレビでも結構な頻度で「心霊もの」を扱っていたように思う。代表的なのは、心霊写真を扱ったもので「この写真に写っている〇〇は、大蛇の呪いにかかっている!」などと、胡臭いヒトビトが力強く騙っていたものである。
他にも失踪した家族を探すドキュメンタリー風のものや、類似するUFOやUMAを扱った番組も多かった。基本的に当時の視聴者は純粋で「カメラに写っているものは真実」という単純な信仰を持っていたので成立していたのだろう。それがインターネットによる情報の氾濫とデジタルカメラ(スマホ)によるレタッチが一般化すると、基本的にカメラに写っているもは「加工されているもの」という認識に変わっていった。
映画も同じで、昔は派手なスタントシーンを見ると、どうやって撮影したのかドキドキしたものだが、いまは「まあまあのCGだな」で終わってしまう。心霊写真と同じく「特撮」も一緒に過去の遺物となってしまったのだ。
基本的に心霊は優しいと思う。そりゃ、人に祟って殺してしまったり、体調不良を起こさせたり、行方不明者を生んだりするかもしれないが、絶対に「大量殺人」をしない。「村を住人ごと火炎放射器で薙ぎ払った」亡霊なんて聞いたことがないし、「今日は亡霊が原因と思われる行方不明者が460人おり、うち45名が新たに見つかりました」などというニュースが流れてくることもない。彼らはひっそりと、かなり狭い範囲で活動しているのである。
私の小学生時代、夏休みになると必ずやっていたお昼のワイドショーの怪奇特集が大好きだった。新聞のテレビ欄で「心霊特集」の文字を見つけると、キッチリその時間にブラウン管の前に正座し、息をのんでその「真実の恐怖体験」に見入っていたものである。たいていは、義母の怨念とか、そういう俗なものだったが、それでも再現ドラマをハラハラして見ていた。「あなたの知らない世界」というのは、そういった番組の中でもとくに有名な「コーナー名」である。今回のビデオは関係ないと思うが「知らない世界」を追い求めて、結構長い間観ていたような気がする。
UFOやUMA関連の番組は少し違って、必ず煽るだけ煽ってから「この件については当テレビスタッフが更に新たな資料を入手し、現在検証中である!!」などと、番組最後のナレーションで胡麻かされたりしていた。結局、何らかの結論が出ることはほとんどなかった。
それだけ平和な時代だったのかもしれない。いや、世間や人生は今と変わらず厳しかったかもしれないが、少年時代というものは、そういうフィクションの闇に怯えるという「特権」が与えられていたのである。大人になって、徐々にそれに対する恐怖心が薄れてくるのは、フィクションではない真の闇=人間というものの存在の真実について知るようになるからではないだろうか。
戦争、テロ、はやり病に交通事故、心の病や差別に偏見と「優しい心霊たち」とは比べ物にならないほど、残酷な結末を運んでくる死神が跳梁跋扈している。私がホラーを読むとき、むしろホッとするのは、そういう現実の恐怖から一種、隔離されるからではないだろうか。
と、いうわけで、いろんな事情で少しサイトが止まっているが、基本的にホラーを求めているのは間違いないので、また、初心に帰ってページを開いてみたい。ひょっとしたら、そこはまだ見ぬ楽園なのかもしれない。
45回目の夏の終わりに。
(きうら)