★★★★☆

「新」怪奇現象41の真相(ASIOS/彩図社)

投稿日:2018年8月12日 更新日:

  • 実際に起こった怪奇現象を科学的に分析
  • 短いコラム風で非常に読みやすい
  • 笑えるものから、ちょっと考えさせらるものまで
  • おススメ度:★★★★☆

実際に起こった怪奇現象や伝説の正体を、真面目に追及するという内容で、以前に紹介した「謎解き 超常現象2」の続編にあたるもの。執筆者は多彩になっているが、編集方針は同じである。

構成としては、世界各国の怪奇現象や伝説をそのまま紹介し、次にその真相について調査するというもの。この手のサイトを運営しているものとしてはどうかと思わないでもないが、私も完全にこの手の現象や伝聞については懐疑派である。そういう考え方なので、様々にばら撒かれている嘘を見破るという意味で、爽快な気分が味わる楽しい読み物である。

今回のくくりとしては、

1.世界を騒然とさせた「怪奇・超常現象」
2.宇宙からの来訪者「UFO事件」の真相 その1
3.人類の未来を見通す「大予言」の真相
4.宇宙からの来訪者「UFO事件」の真相 その2
5.未知の怪生物との遭遇「UMA」の真相
6.歴史を変える大発見!?「超古代文明の真相」

の6章からなり、全部で題名通り41のエピソードが収録されている。

例えば、「マヤのピラミッドから伸びる光の柱」「黒騎士の衛星は存在するか」「イルカの大量座礁死は大地震の前兆か?」「太陽から給油する超巨大UFO」「謎のミイラ『アカタマ・ヒューマノイド』」「ドワーフの都市マクハニックは実存する?」などなど。この手の話が好きな方なら、思わず読みたいと思ってしまうような内容ばかりではないだろうか? 私もタイトルだけ書いていると実にワクワクする。この手の「怪しい話」は、昔は日本のテレビなどでも大真面目に取り上げられていたものだった。感性が昭和すぎるだろうか?

ただ、詳しくは書けないが、インターネットの発達した現代では、この手の話は実にもろく崩壊する。多分、本書を読まなくても上記のタイトルを検索するだけである程度真相は分かるのではないだろうか。事実、本書でもインターネットでの調査が多用されており、あっさり正体が判明するものも多い。ありていに言ってしまえば、ほとんどがデマか作り話、あるいは誤解、何らかの物理現象なのである。読む方もそういう気分で読むので、どういうがっかりな落ちが待っているかと想像するという、ある種の「怪奇ばなし好き」「それを究明する」というプロレスである。まあ、うまく言えないがある種の「ロマン」と言っても過言ではない。

ただ、そんな中にもキラリと光るエピソードもあり、印象に残っているのは「勝手う動くブランコ」(何年間も動いていて、よく住人が目撃する)、伸長15センチで6、7歳というアカタマ・ヒューマノイドのミイラのエピソードである。前者は大体想像はつくと思うが、そのメカニズムの解明が詳しく書かれていて非常に勉強になった。科学的な視点で物事を見ることの重要性が分かる。後者は結論がはっきり出ていないという点で興味深い。ほとんど嘘が一刀両断されている本書では珍しいエピソードであった。

ただ、遠野に出現した河童が、遠野物語も読まずに出てきたとか、地球性UFOの撃墜写真の正体が○○だったとか、思わず力が抜けてしまうような結論も多く、似た落ちのエピソードも多い。なので、一気に読むというよりは、失礼ながら「暇つぶし」にピッタリというのが正直なところだ。お盆休みなど、長期休暇にちょこちょこ読むには、最適な一冊と言える。

何にしても、小学生時代の自分がいかにメディアに騙されていたかが良く分かる一冊である。科学を妄信するのは良くないが、何でもかんでも怪奇現象だと思い込むのも危ないと思う。どちらにしても、ちゃんと自分で調べることが大事だということだろう。

(きうら)


-★★★★☆
-, , ,

執筆者:

関連記事

ブラッドボーン(PS4/フロム・ソフトウェア)

ホラーアクションRPG 細部までこだわった世界美術 遊べば遊ぶほど良さがわかる おススメ度:★★★★☆ (あらまし)19世紀ヴィクトリア朝をモチーフにした血みどろアクションRPG。このシリーズでは「ダ …

凍(トーマス・ベルンハルト、池田信雄[訳]/河出書房新社)

ベルンハルトの長編小説第1作 研修医が、とある画家を観察する 何もかもが凍てついた集落での呪詛のごとき言葉 おススメ度:★★★★☆ 【はじめに、本書紹介など】 トーマス・ベルンハルト(1931-198 …

クージョ(スティーヴン・キング、永井淳〔訳〕/新潮文庫)

狂犬病にかかった犬がもたらす恐怖 恐怖を中心にして描かれる家族のありよう 日常に潜む崩壊は、ふとしたときに身を寄せてくる おススメ度:★★★★☆ 一か月前の投稿で、「スティーヴン・キングはあまり読む気 …

オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険( 鈴木光太郎/新曜社)~内容の紹介と感想

心理学的「エセ科学」を真面目に検証・解説 やや専門的で難解な描写もあるが、科学読み物として面白い テーマに興味が有ればおススメの一冊 おススメ度:★★★★☆ この本に興味を持ったのは、自分のこの手の「 …

原民喜(梯久美子/岩波新書)~読書メモ(012)

読書メモ(12) 原民喜の「死と愛と孤独の肖像」 様々な「死」に囲繞された人生 おススメ度:★★★★☆ 原民喜は1905年生まれということで、私の曾祖母と同年生まれ(ちなみに曾祖母は10年前に他界)な …

アーカイブ