★★★☆☆

『ゆるキャン△』と「日常感」(1) ゆるキャン△(あfろ/芳文社)<前篇>

投稿日:2018年2月8日 更新日:

  • アニメの背景美術にみる「日常感」。
  • どこでもない場所における、誰でもない人たちによる、放縦で平和な会話です。
  • かなり主観的な長文感想です(二部構成)。
  • おススメ度:★★★☆☆

<前篇>

【登場人物】
弟(俺)……高校生。名前はK太。まあまあのオタク。
父(私)……40代。
姉(あたし)……大学生。まあまあの読書家。

【場面はリビング、時間は夜中の12時過ぎ、父登場】
《父》:二人ともまだ起きてるんか、もう夜中の1時前やで。
《姉》:うん、いつもはもう寝るんだけど、これからテレビ観るから。
《弟》:そうそう、これからやるアニメを観ないと一週間が終わらないっていうか、なんというか、まあはっきり言うと、どーでもええアニメなんやけど、観なあかんっていうか、友達も観てるしな。
《父》:へぇ、二人してリビングにおるってことは、おもろいアニメじゃないんかいな。
《弟》:いや、まあ、おろもいかどうかは人それぞれかな。な、姉―ちゃん。
《姉》:そやね。あたし的には、まったくのクソみたいな内容で、笑われへんけど、なんか観ずにはおれんかんじ。
《父》:へぇ、それはちょっと観てみような。
《弟》:いや、やめたほうがええかも、ってお父さん、なんで起きてきたん?もしかしていつもの発作?
《父》:うん、ちょっとそれで寝てられなくて、なんかテレビでも観て、気分を落ち着けようかと思ったんやけど。
《姉》:そうなん?大丈夫、パパ?薬でも飲むん?
《父》:いや、飲むほどでもないから、なんかテレビでも観ようと思って。
《姉》:そうなん、じゃあいいけど、それじゃあなにか飲みもんでも淹れよか。
《父》:あっ、ありがと、じゃあココアちょーだい。
《姉》:わかった、ちょっと待っといて。

【最近何読んだ?】
《父》:(姉からココアを受け取る)あんがと、で、お姉ちゃんはこの前の本読んだ?
《姉》:あっ、『ずっとお城で暮らしてる』でしょ、まだ読んでない、今、別のやつ読んでるから、っていうか、この前のあのブログ記事は何なん?あれじゃあ、あたしが何かへんなバイトでもやってるみたいやん。それに、なんか変なことばかり言ってるしさぁ。ちょっとあんなのやめてくれへん。世間に変な感じに受けとられるやんか。
《父》:(アハハハ)ごめんごめん、なんか筆がすべったというか、でも大丈夫やと思うで。読者12人くらいしかおらへんから。あんなん、誰も気にせえへんって。
《弟》:えっ、12人って、少なっ。それだけしかおらへんの?
《父》:いやもう少しいるかな。
《弟》:20人くらい?
《父》:いや、15人くらいかな。
《姉》:そんなん、どっちでもええけど、ちょっとあたしたち出す時は、ふつうにしてくれへん?ってゆーか、12人でも読んでる人がおるんやったら、その人らのためにも、きちんと書かなあかんちゃうん?
《父》:そうやね、わかった、これからきちんとするよ。で、お姉ちゃんは今何読んでるの?
《姉》:(カバンから本を取り出す)これ読んでるねん。『トマス・アクィナス』(山本芳久・著)ってやつ。
《父》:へぇ、トマスさんかいな。これまた渋いの読んでるなぁ。あれやろ、『神学大全』書いた人やろ。
《弟》:(本の表紙を見ながら)「理性と神秘」やって。キリスト教の人?
《姉》:うん、中世ヨーロッパイタリアの神学者で、哲学者みたいやね。なんか、アリストテレス哲学とキリスト教神学とを架橋したみたいで、その注釈っていうのが、著者が言うには、現代の学者にも劣らへんねんて。で、『神学大全』っていうのを書いたんやけど、それが全45巻で、それだけでも全著作の約7分の一らしくて、とにかく膨大な量の書きものしたらしいねん。
《父》:おもしろそう?
《姉》:うん、おもろいけど、これ、入門書やねんけど、結構難しいところあるねんけど、それでも、何よりトマスの思想が現代の色んな側面でどういう意味として問い直されるか書かれてて、そこがええねん。具体例もいっぱい挙げられてて、分かりやすいし、何より、「この世界をどのように受け止めて生きていくか」(「解説」)を教えてくれる、っていうところがイイわ。あれやね、これは、『ハイデガー=存在神秘の哲学』(古東哲明・著)を読んだ時の感動に近いかも。でも、『トマス・アクィナス』はきちんとした入門書やけどね。
《父》:へえ、じゃあ次読ませてもらおうかな。って、あっそうか、だから、この前、お姉ちゃんが『ずっとお城で暮らしてる』の記事で、「アルベルトゥス・マグヌス」って言ってたんやな。
《姉》:いや、あれ、パパの創作やんか。
《父》:あっ、そうか、じゃあ偶然か。
《弟》:なんか、その本、むずそうやな。俺にも分かる本ってないん?
《姉》:(カバンをまさぐり)じゃあ、これなんかええんちゃうか。
《弟》:(本を受け取る)なになに、『榎本武揚と明治維新』(黒瀧秀久・著)って、どんなやつなん?
《姉》:それ、中高生向けのやつやけど、ちょっとムズいとこもあるけど、まああんたやったら読めるやろ。ほんで、あんた今、西郷隆盛ドラマ観てるやろ。ちょうどええんちゃう。幕末から明治っつたら、西郷さんとか竜馬とか勝海舟とか大久保利通とか伊藤博文とかがでてくるやろうけど、この榎本さんの、明治の近代にどんだけ貢献したかっつーのも見逃したあかんで。
《父》:榎本武揚っていったら、まあ、変節漢とか言われてたけど、それは違うんやったけな。
《姉》:なんか違うというか、どれだけ明治の殖産興業に、榎本さんの、オランダ留学で培った技術が必要やったかが、よう分かる本やわ。いまの東京農業大学を創立したりしてるし、まあ、いろんなもんを造ってるわ。ほんで、最初に日本にビールを輸入したかもしれへんねって。
《父》:いわば、技術者として生かされたわけやね。
《姉》:そうやね。榎本は最初切腹しようとしたんやけど、それを仲間に止められて、そのあとは、黒田清隆の助命嘆願の奔走もあって助かるんやけど、それから榎本さんは国のために身を捧げるってかんじやな。外交とかにも貢献してるし。だから、裏切ったってわけではなさそうやな。そもそも主君が逃げだしたから、しゃーなく北に逃れたわけやし。この本では、福沢諭吉の批判への反批判ものせてるし。それやと決してその批判は当たらないみたいやな。
《父》:へー、おもろそうやね。榎本が東京農大に関わってたってのも、知らんかったわ。
《弟》:なんか二人で盛り上がってるけど、じゃあ読んでみるわ。あっ、もうそろそろアニメが始まんで。

【真夜中一時からはじまるアニメ鑑賞】
《父》:どれどれ、観せてもらおうか、新しいアニメの性能とやらを。
《弟》:シャアか、いやフル・フロンタルかよ。って、そんな期待せんほうがええで。しかも、精神面にあかん影響があるかもしれへんし。
《姉》:まあ、でも古いパロディとかもあるし、パパなら楽しめるんちゃうかな。
《父》:じゃあ、楽しめそうやね。おっ、始まった。なになに、ポプ…ポプテ、『ポプテピピック』、何このタイトル。ギャグアニメか。うわ、なんじゃこれ、なんでこんなに作画崩壊すんねん。あっ、これあのゲームやんけ、懐かしい。このセリフはあのやつやんけ、なんで声優の声変えるねん、ってこれセルとフリーザやんけ……(一人もだえる)
《姉&弟》:(父の反応を見ている)
(そして、30分の鑑賞タイム終了)
《父》:うーん、これなんといっていいのか。これは、クソアニメじゃないよな。
《姉》:いや、クソアニメでしょ。
《父》:うんまあ、現象的にはクソなんやけど、これまで数々のクソアニメ観てきた経験から言うと、十分観られるクソさやな。ほんまにクソなやつは、誰も観いひんし、誰も話題にもあげへんからな。いいクソさやな、これ。なかなか好きやで、ちょっと観ただけやけど。でも、なんでパートごとに声優変えるんやろ。
《姉》:たぶん、省エネかなんかやと思うけど。
《父》:ああ、15分ぶんだけつくったら、いいからか。
《弟》:まあ、それもあると思うけど、たぶん、パートごとに声優変えることで、これだけ印象が違ってくるっていうのを示してるんかもしれんし。それにこういったアニメを今作れること自体が、日本のアニメ業界が自由ってこともあるやろうし、日本のアングラを含むポップカルチャーが成熟してきたってことなんやろうし、まあかなりの柔軟性があるっていうことやろうな。
《姉》:なるほど、それは制作する側だけじゃなくて、視聴者側にもいえることやろうな。この楽しみ方は、内容的に、記号表現の戯れを楽しむもんなんか、それともデリダのいう脱構築のアニメ的表現なんかなぁ。
《弟》:ちょっと何言ってるんか分からへんけど、まあ俺的には、Bパートで、セリフをまるっきり変えたら、もっと別もんになって、おもろいと思うんやけどな。言ってることは同じやしな。これは、俺の友達も言ってたんやけど。
《父》:まあデリダはともかく、それこそお姉ちゃんが言ってる、脱構築的解釈はおもろいかもね。ここでは、声優が女性/男性の順になってるけど、そういった二項対立を解消させる契機を孕んでるんを、このアニメで実践的に描こうとしてるのかもな。つまり、そうすると、キャラの外見の性別が女性に見えても、だからといって女性だけが声をあてるわけではない、そういったものはひとつの臆見(ドクサ)にすぎんっちゅうことで、観てるほうはそのことに気付かされるつーことかな。だとすると、このアニメが胚胎してる意味はそれ以外にもありそうやし、思想的にもっと大きくなりそうやな。まあ、K太はそう言うけど、同じ内容であるということは、そういうことを表してると読んだら、おもろいかもな。まあでも、アニメとしては、ほとんどパロディコラージュっぽいのばかりで、ナンセンスな内容やし、なんかおもろいけどすぐに忘れそうやけど。まあ、そこがええのかな。
《姉》:なるほどそうなんかな、そこまでは考えすぎやと思うんやけど、でも興味深いかもね。
《弟》:ほんま二人とも何言ってんのかさっぱりやけど。
《姉》:まあ難しく考えんと、上辺だけ、アニメを表層的な受けとりとして、ひとまずは楽しめってことやろ。それか、本歌取りばっかやる作品とみてもええし。
《父》:まあ、それだけでもいいんやけど、もっと観てみたら、何か他に読み取れるもんがあるかもしれんってことだけは、あるかもね。
《弟》:表層的なもんをなぞれって、この会話みたいやんけ。
《父》:まあ、そうやな、関西人の会話ってこんなもんやろ。
《姉》:そうそう、それがおもろい、つーか。
《弟》:じゃあ、とりあえず、おもろいってことだけは間違いないんやな。
《姉》:いやいや、あたしは、これ言うとくけどおもろないで。なんでこんなんがおもろいんか分からんわ。
《父》:じゃあなんで観てるの?
《弟》:姉ちゃんがこれ観てるの、ただ、さっき観てたアニメに何らかの異化効果をもたらすためだけに観てるんやって。
《姉》:そうそう、まあ異化というより、あたしの内面的な変化を促してくれるってとこやねんけど。ほんまは『3月のライオン』観たら部屋に上がってたんやけど、これ観たら、『3月のライオン』観たときの印象が変わってしまって、それがおもろいねん、じつは。
《父》:なるほど、それは印象論やけど、なんかおもろそうなかんじやね。
《姉》:そうやねん。『3月のライオン』って、コメディっぽいところもあるけど基本シリアスやし、登場人物がみんな一生懸命生きようとしてるねんけど、この『ポプテピピック』観たら、それが全部崩壊してしまうねん。みんな、そんなに一生懸命生きんでもええやろ、もっと肩の力抜いて生きろやって思ってしまうねん。それがな、めっちゃあたしのなかで笑えるねん。ああ、もうそれがほんまにおもろいねんて。
《弟》:姉ちゃん、ほんまこわいな。そんな観方誰もしてへんで。
《父》:それはアニメの鑑賞方法としては独特やけど、でも、単なる消費じゃないよね。シリアスでしゃちほこばったアニメの中に伏在する、ストレスフルでクソみたいな現実での生活世界を、本当のクソアニメが和らげるというのかな、そういう意味だと、これっていわゆる癒しアニメになるんかな。
《弟》:いや、姉ちゃんがクソなだけやと思うけど。
《姉》:うるせぇ、K太。てめぇは、まだ世間の厳しさを知らんのだよ。
《弟》:姉ちゃんもたいして世間のこと知らんやろ。そんなんやから……
《姉》:そんなんやから、なんやねん、言うてみいや!?
《弟》:いえ……なんでもないでござるよ、ニンニン。
《父》:まあまあ、二人とも。アニメのことでいがみあわんでも。それより、私はまだ起きてるんやけど、なんか落ち着くアニメでもないかな。

【日常系アニメとは?アニメのジャンル分けとは?】
《弟》:ああ、お父さんは、発作が起こったときは、ゆるーいまったりアニメ観るんだったっけ?
《姉》:なにそれ、そんなん、はじめてきいたけど。
《弟》:姉ちゃんは、あんま日常系アニメ観ないから知らんけど、俺、お父さんにこれまで色々気分が落ち着く日常アニメを教えてたんやで。
《姉》:ふーん、そうやったんや、知らんかったわ。
《父》:まあそうやね、そんな人に言うことでもあらへんし。
《姉》:で、日常系アニメの鑑賞会がはじまるってわけやな。あたしも眠たないし、観ていこ。パパが何観るんか興味あるし。ところで、日常系アニメって何なん?あたし、よお知らんのやけど、例えば『サザエさん』もそうなんかな。
《弟》:ああ、だいたい深夜枠のことが対象やから、それは入らへんのちゃうかな、分らんけど。
《父》:(本を本棚から取り出す)えーとな、『教養としての10年代アニメ』(町口哲生・著)によると、「日常生活を延々と描いた作品」で、特徴としては、「1・四コママンガ原作が多い。この原作は「萌え四コマ」と呼称。/2・物語性の排除。短いエピソードを連続して描く。/3・本格的な恋愛の排除、葛藤の不在、複数の美少女キャラの配置など。美少女には性の匂いを消したキャラが多く、百合(フェム=女役の女性)的といえどもピュア。/4・部活ものが多い。」とあるね。これは、「セカイ系」でいうところの家族や社会といった媒介項を排除した「きみとぼく」関係があるよね、それを社会も世界もすっとばした「わたしたち」の関係だけに読み替えるんな、ほんで、そうやって取り出した、ただ「近景」としての「わたしたち」関係の繋がりだけを描いたものと、簡単に定義できそうやね。
《姉》:えらい長い説明やな。でも、なんとなく分かったわ、あれやね、あたしが観たやつやと、『けいおん!』がそうやな。あれも。何てことない日常ばっかやったし、とくに葛藤もないし、部活ものやし。
《弟》:いや、俺からしたら、あれ、日常系ちゃうで。もちろんその定義にあてはまるんやけど、あれって日常のことを描いたつーより、完全なファンタジーやで。あんな楽曲作れるわけないやろ。ほんで、基本金持ちのお嬢さんばっかやし。
《姉》:いやいや、そういったファンタジー込みで、日常系ちゃうんか。それに『けいおん!』で描かれてる日常系と、金持ちかどうかは、関係ないやろ。
《父》:私もあれは日常系とは呼びたくないな。確かに一期はそれなりに「日常系」感があったけど、二期は完全にK太の言うように、ファンタジーというか、全然入りこめなかったんやけどな。
《姉》:じゃあそれ、日常系かどうかの判断とは何の関係もあらへんやんけ。ただ、気に入らんかっただけやん。そんなん、自分の好みで定義を歪めたらあかんやん。
《父》:まあ、そうなんやけど、じゃあ『けいおん!』は日常系ってことでええんかな。一応高校生活と受験と別れっていうのはあるけど、物語性はあまりないし、恋愛もかけらもないし、家族のことは出てくるけど、社会やセカイといった大きな項は出てこないしな。
《姉》:うんじゃあ、それでいいけど、ところでさっき出てきた「セカイ系」ってのは何なのよ。そのあたりがよく分からへんのやけど。
《弟》:「セカイ系」っていうのは、「きみとぼく」といった二人だけの問題、多くは恋愛の問題やけど、それが社会とかの中間項を欠いたまま、「世界の危機」とか「この世の終わり」といった抽象的な問題に繋がる作品ってことだけど(『セカイ系とは何か』前島賢・著)、これは明確な定義がなされたわけではないみたいやし、なんか言葉面の雰囲気だけで使われてるかんじやな。俺もあんまこんな用語は使わんし。
《姉》:なるほど、小さな関係性が、とてつもなくでかいものと、何も媒介せずに直接つながってるってわけね。そこには何の必然性もないってことなんかな。
《弟》:外在的な必然性は、必ずしも伴わないんかな。だからこそ、小さな関係が不意に大きな世界に通じるってゆう、「セカイ系」特有の味があるんやろな。
《父》:(別の本を本棚から取り出して)二人の話を聞いてて気付いたんやけど、20年前に奥泉光が『ビルマの竪琴』読解に関して話したことなんやけど、「人間は具体的な集団のなかで個として存在している。実生活の重要な部分は集団と個の関係の中で推移しているにもかかわらず、日本の近代文学は集団のレヴェルを描くことができない。個が、いわば集団から切り離され浮遊するところに、僕は日本の近代文学の典型的な個の位相があると思う。それは集団の水準をすっとばして、普遍的なものと結びつきやすいんじゃないかと思うんです。個が無媒介に普遍と結びつく構造は、われわれ、日本の文学的伝統の中でなじんでいます。それは、そのまま『ビルマの竪琴』の世界につながると思いましたね。」(『戦争文学を読む』朝日文庫)って言ってるんやけど、これってまさしく「セカイ系」的な心理構造なんじゃないやろか。「個」っていうのを「セカイ系」でいう二人だけの関係性に置き換えて、それが無媒介につながる「普遍」っていうのが、「世界の危機」とかの大きな問題だとすると、こういった心性は、現代アニメで出てきた問題、つまり現代人の問題ではなく、明治以降、いや、少なくとも戦後の日本人に通じることなのかもしれへんで。
《姉》:つまりこういうこと?今の「セカイ系」っていうトレンドは、決して現代だから出てきた問題ではないってことやね。それは、パパが言うように、戦後文学から通じてる、ひとつの日本人の心性であって、アニメの「セカイ系」っていうジャンルは、その流れから出てきたひとつの分流ってことやね。
《弟》:うん?分流っていうか、「セカイ系」自体よくわからんジャンル分けやからな。ほんで、さっき俺が言った「セカイ系」の暫定的な定義にしても、ほとんど何も語ってないと思うねん。なんでって、「セカイ系」っぽい作品は、なにも日本だけのものじゃないと思うし、時代的にもそういったことってあったと思うし、付会的に使おうと思えば何にでも使える概念っぽいしな。だから、一世風靡しただけの徒花的な用語ちゃうんかな。
《姉》:でも、それがアニメの批評で用いられたってことには、なんかの意味があるわけやろ?それを追究するんも、ひとつの姿勢としてはありなんちゃうん?
《弟》:まあ、俺も無駄なもんとは思わんよ。キャッチーであるんは認めるし、個人的にはもう少し経ってから、これをまとめてみたらおもろいとは思うで。
(その後、姉と弟で言い合う)
《父》:いやぁ、なかなかおもろいことになってきたけど、この話はちょっとまた今度にして、アニメ観ない?このままやと朝まで続きそうやし、なんか、答えはでなさそうやし。
《姉》:そうやな、あたしも別にあんま興味ないし。
《弟》:俺はもうちょっと話したかったんやけど、まあ、お父さんの言うように、きりがなさそうやしな。
《父》:じゃあ、ちょっと「日常感」のあるやつ教えてくれん?

(つづく)

(成城比丘太郎)

※編者注 ここで続くのか!?






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