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★★★☆☆ 読書メモ

『フォンターネ』(パオロ・コニェッティ、関口英子〔訳〕/新潮クレストブックス)~「読書メモ(70)」

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  • 「読書メモ070」
  • 「山小屋の生活」
  • 山には人の歴史あり
  • オススメ度:★★★☆☆

【本書について】

著者のパオロ・コニェッティは、現代イタリアの作家です。本書『フォンターネ』(2013年)は、代表作の『帰れない山』の三年前に書かれたものだそうです。本書の原題(イタリア語)をそのまま訳すと「野生の若者ー山の日誌」というものになるようです。

「山の日誌」とありますから山での生活が書かれたものです。内容的には、著者のコニェッティ自身が山小屋生活をしながら大自然や、山に住む人々との交流を綴ったものです。作家としてスランプに陥ったコニェッティが、山にのぼり孤独と対話することで何かを得ることができたという感じの内容です。要は、都会の生活に疲れたからちょっと山にこもって大自然や孤独と向き合い、やがて回復して山を下りようというところまでを書いたものです。元気になってよかったねー。

山に孤独でいると、そのうち人恋しくなる。そのことは、作中の「僕」だけでなく、山に暮らす人たちも独りは寂しいものと思っているように読めまする。でも、たまに山や田舎にこもって自然と戯れるのもいいよねー。

ところで、本書カバーの裏には、「スマホを捨てよ、山へ出よう。」と書かれてますけど、なるべくスマホは捨てない方がいいですよー。まあ、『ゆるキャン△』の拡大バージョンとして読んでもいいかも。スマホなどの文明の利器(?)を都会に置いて、山にキャンプに行ってみない?みたいな気分で読めます。もしくは、作品で「僕」が向かうのはアルプス山麓なので、アルプスの少女ハイジのアニメを思い浮かべてもいいかも。あるいは、自然描写に関しては、『赤毛のアン』のアニメを思い出してもいいかも。まあ、少女はこの作品にはほぼでてこないけど。

【隙あらば自分語り】

私の祖父母が住んでいた所は、山の方のド田舎だったので、その場所を思い出しながら読んでいました。その田舎には、祖父母の家から歩いて20分くらいかけて行く畑がありました。しかし、その畑は20年くらい前にはすでに放棄されていて、おそらく現在は森に侵略(?)されてることでしょう。というか、人伝てに聞いたところでは、その畑に通じる道自体が森で閉ざされているようです。私も20年以上その畑に行っていませんので。

この自分語り(?)から何が言いたいかというと、山の景色というのはその多くに人の手が入っているということです。山の自然はその多くが人為的だということです。手付かずの(?)自然ならともかく、ふだん人が入る山の景色は人が造り出したものです。山の暮らしの光景には、多くの人の歴史が折り畳まれているとも言えます。

「樹木や草原や渓流からなる、一見したところひどく手つかずで野性的に見える景色も、実のところ人間の手によって何世紀もかけて造りあげられたもので、都会のそれと変わらぬ人工的な風景なのだ。もし人間がいなかったら、山の上のものはひとつとして現在とおなじ姿をしていなかっただろう」(本書、p.28)

山や里山の景色は多くの人間の手によって何百年もかけて造られたものだということは、日本も同じものだということです。『おもひでぽろぽろ』でも登場人物が似たようなことを言ってましたねー。今ある形に造ってくれた、山の人たちに感謝。サンキューでーす。

私がいつも歩いている公園も、人の手によって整備されています。整備してくれてる人たちにも感謝デース。いつも素敵な公園をつくって下さってありがとうごじゃいマース。とはいえ、杉とヒノキの植林ばかりなのも困る部分はあるけど。

とにかく、現代の山の景色にはこれまでの人々の歴史が重なっています。歴史を知るにはまずその土地(地理)を知ることが重要でもありますデース。土地を知るにはやはり地図を見るのが手っ取り早いデース。

私自身は、『地図で訪ねる歴史の舞台(日本)』(帝国書院)という地図を手元に置いてマース。その他にも、歴史地図みたいな本はたくさんありますよー。

(成城比丘太郎)


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