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【番外編】はじめの一歩(124) (森川ジョージ/講談社コミックス)

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  • 興味のある人だけ読んで下さい
  • 溜めているのか棄てているのか危ういタイトロープ・ダンシング
  • さあ、ロックンロールのはじまりだ(漫画「日常」より)
  • おススメ度:評価不能

本来更新するつもりが無かったので、番外編ということで、ほとんどの人が興味がないと思われる「はじめの一歩」の最新刊の短い感想を書いてみたい。真面目な文章はここまで。

いやまあ、別に暴力事件をギャグに転嫁させるのはいいと思うんけど、やっぱり長いと思うんだ。「あしたのジョー」も力石線の後、ジョーが落ちぶれる様子はもどかしかったが、それでも意味のある内容だった。まあ、一応、人間としての主人公の成長というテーマを追っているつもりのようだが、Amazonの批判を見る限り、それが功奏しているとは思えん。とにかく、もどかしくてイライラする。フラストレーションをためてからの爆発は作劇の基本だけど、それでも、もうちょっと何とかならんのか。

いや、部分部分はいうほど悪くないと思うんだ。素人の喧嘩に現れる元日本チャンピオンとか、シチュエーションはいい。それだけに、だ。読者にもう少し希望を見せて欲しいというか、復帰するならする、しないならしないで変なフリは止めて欲しい。このどっちつかずの状態で、フワフワしたエピソードを重ねられても困る。ジョーには必ず復帰するだろうという予兆というか確信があった。それがない。本当に引退して終わるんじゃないかと思う不安がよぎる。物理的にも打ち切られたり、連載が休止したりするんじゃないかと思うととても信じられない。

要するに、熱が伝わってこない。

まあ、するんだろうとは思うけど、この後、少なくとも5巻~10巻はこの状態だろう。プロット的には200巻位で完結を目指しているように思えるので、全体から見ればたった数パーセントの停滞ということになる(もっと前から迷走していたが)。ただ、あと76巻を書き終えるには、年に4冊出たとしても20年かかる。130巻で作者が逝去し、本人による完結が不可能となったグイン・サーガを知っているので、私はそれでもかまわないとちょっと思っているが、さっきのAmazonの反応から見ると相当読者が離れている。本当に連載してくれるのかどうかも不安だ。とにかく、このモヤモヤをスッキリさせてくれ。

あと、下品なギャグシーンは不要だと思うし、一歩とヒロインの久美の恋愛もそろそろ次の段階に進めないといけない。というか、この作品の一番の欠点はこの恋愛シーンだ。何だあのキスシーンは。正視に堪えないシチュエーション、しかも、何の意味もない。こういう時こそ、ボクシング以外の要素で引っ張るしかないのだが、ギャグもラブコメも不発なれば、正道に戻るしかないだろう。

というか戻ってくれ。

次巻も必ず買う。何だかまた、サブキャラの試合を挟むようだが、それはもう飽きた。どうせなら、強烈な悪役でも登場させて、それをモチベーションとして復帰させよう。ベタだが、それでいい。あとは順当にライバルたちと戦って、世界線まで行ってくれれば……。

状態はいつ打ち切られるのかというタイトロープ・ダンシング。しかし、見方を変えれば、ボクシング漫画で好き勝手やっている真に自由な作品かも知れない。

さあ、ロックンロールの始まりだ(なげやり)。

(きうら)

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