★☆☆☆☆

アウトブレイク( ウォルフガング・ペーターゼン監督/1995)

投稿日:2020年2月10日 更新日:

  • エボラ出血熱の流行を扱った古い映画
  • 1994年のベストセラー「ホット・ゾーン」のブームに乗った感
  • 酷い脚本だ(演技は悪くない)
  • おススメ度:★☆☆☆☆

2020年の2月8日現在、最もホットな話題は「新型コロナウイルス」で、だいたいニュースもこの関連の報道がトップに来ている。今はクルーズ船が入港できないという段階だ。数年後、この記事を読み返した時、どういう風に感じるかに興味はあるが、今はまだ日本で流行するかどうかはっきりしておらず、中国の都市閉鎖などの施策ばかりが取り上げられている。そんな中、私の頭をよぎったのは「ホット・ゾーン(Amazon)」というノンフィクションだった。

この「ホット・ゾーン」は、エボラ出血熱を扱ったノンフィクションであるが、当時はちょっとしたブームになったほどヒットした。1994年に発刊されていて、私も日本語訳版をその数年以内に読んでいる。ちょうど20歳くらいの時か。もちろん詳しい内容は忘れているが「全身から血を流して死ぬ恐怖の殺人ウイルス」という印象はその後の人生でも忘れることが無く、アフリカで2014年にも流行した時も「あのエボラか」という感じだった。このウイルスの特徴は高い致死率で50-80%とある。空気感染はせず、接触感染(ということになっている)。全身の血管及び臓器を攻撃し破壊することから罹患者の姿は衝撃的である。あまり思い出したくない。

そして、その第一次エボラブームを受けて制作されたのが、本作「アウトブレイク」だ。アウトブレイクという言葉は、Wikipediaによれば、「悪疫(たちの悪い流行病)・感染症の突発的発生をいう」とある。ちなみにコロナウイルスで連呼されているパンデミック(Wikipedia)は「ある病気(感染症)が国中あるいは世界中で流行すること」らしい。実際、その用語は出てこないが、アウトブレイクからパンデミックを防げるか、というのが映画のテーマになっている。

主演は名優・ダンスティン・ホフマンで、監督がウォルフガング・ペーターゼン。知っている映画は多数あったが一番ピンと来たのが「ネバーエンディングストーリー」だ。一般的には「ザ・シークレット・サービス」かも知れない。ま、ネバーエンディングストーリーの出来から考えると、本作の内容も推して知るべし、というところ。脚本家もほとんどこの作品しか参加してないし、戦犯はこのあたりだ。

あらすじを短くまとめてみよう。映画の始まりは、エボラ出血熱(劇中ではモターバ・ウイルスと呼称)が1967年に流行した村から始める。軍用ヘリに乗って仰々しい装備でやってくるアメリカ陸軍の二人。現場の惨状を見た二人は、躊躇なく気化爆弾で村を焼き払う。

村 を 焼 き 払 う !

何という直線思考。私は不謹慎を承知で笑ってしまった。いま、こんな描写を入れたら違う意味で大炎上するだろう。バタリアンよろしくゾンビに形を変えて同じ描写は続いているが、とにかくアメリカは爆弾で焼き払うのが大好き♡というのは良く分かった。

そして舞台は1995年のカルフォルニア州。アメリカ陸軍所属の研究機関で働く主人公・サム・ダニエルズ大佐は、モターバ川流域で発生した伝染病の調査に向かう。そこで、直感的に危険を察した大佐は、軍上部とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)に協力を要請するが、なぜか動きが鈍い。ちなみに、大佐とCDCで働く嫁は離婚直後にある(どうでもいい)。

動きが鈍いのは当然であった。軍は1697年の事件で検体からウイルスを細菌兵器として研究し、血清まで用意していたのである。村を焼き払っておきながら、兵器は開発したという秘密が漏れたらまずいのだ。

その後の展開は、とある町に拡大するウイルスの惨状、宿主である猿を探し回る大佐、嫁も含めてウイルスに感染しまくるチームの仲間、というような経緯を経て、再び軍は「町を焼き払え!」という決断を下す。んん? いくらインターネットがない時代とはいえ、アメリカ軍が自国の町に爆弾を投下するだろうか? この辺が滅茶苦茶で、脇役として出てくるモーガン・フリーマンのムダ使いである。そして、主人公は呑気に田舎で猿を見つけたかと思うと、僅か数時間で特効薬を作って、真っ先に死にかけた妻に投与して「俺たちやり直さないか?」というエンディング。その間に、悪い少将が乗った「ヘリチェイス」を入れるのも忘れていない。主人公たちのヘリはもちろん軍からパクったものなので、いつまでも燃料が切れない驚異の性能に終始驚かされていたのであった。

もしDVDを買っていたら二階の窓から投げ捨てていたと思うが、残念ながらサブスクリプションだ。

新型コロナウイルス(そのうち呼び名は変わるかも)の患者が最初に日本で確認されたのは「奈良在住」のバス運転手の方だった。実は私は奈良県に住んでいる。そういうこともあり、何か有用な知見が得られるかと思ったのだが、まったく何もない。対策が焼き払うか謎技術の特効薬開発と、ある意味、ほっとするような馬鹿ばかしさだ。

あと、ディザスタームービーによくある離婚しそうな夫婦が災難を経て復縁、というのはアメリカ人的には心打たれるポイントなのだろうか? 「宇宙戦争」や「ゴジラ」でも見た気がするが、当山の金さん的時代劇のような鉄板のパターンなのだろうか?

などという、見た瞬間から忘れてしまいたいような内容の映画なので、見るだけ時間の無駄である。私も興味本位で貴重な2時間を棒に振った。ただ、昔も見た気がするので私の記憶力のなさも相当だ。

ちなみに、マスクでウイルスは防げるか? という問題だが、たぶん、無理。あれは他人にうつさないようにつけるアイテムで、本気で防ごうと思ったら、息苦しいほどのちゃんとしたマスクでないといけないし、日常生活に戻るときにきちんと検疫しないとだめだ。もし、空気感染するウイルス保持者が目の前にいて、くしゃみをしたとする。そうするとその空間にウイルスが飛散するわけで、手や服、マスク以外の顔にも着くだろう。マスクを外すときも完璧に殺菌した手で、手袋をして、そのまま手袋ごと密閉し、全身を消毒しないといけないと思う。簡易マスクだけではだめだというのは、この映画を観て納得した。あと、転売屋は昔で言う「悪徳商人」そのものなので、そのうち自分にその「業」が跳ね返ってくると思うが、余計なお世話だな。

(きうら)

20200212 我ながら誤字の多さにびっくりした。脚本も酷いが私の文章もひどい。反省して修正しました。


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