★★★☆☆

ギガントマキア(三浦建太郎/ジェッツコミックス) ~あらすじと感想、軽いネタバレ

投稿日:2017年8月23日 更新日:

  • ベルセルクの作者による異色格闘漫画
  • 恐らくプロレスとロリータが描きたかったと思われる
  • 一巻だけで完結。少し惜しい気も。
  • おススメ度:★★★☆☆

前に紹介した「ベルセルク」の作者による一巻限りの読み切りコミック。実に説明しずらい内容だが、泥労守(デロス)という体格のいい若者が、風炉芽(プロメ)という謎の少女(見た目は10歳くらい)と旅をしているところから始まる。あたりは一面の砂漠、そこで、巨大な昆虫のような生物にまたがった異人種に捕らわれ、なんとなく行きがかり上、肉弾戦に突入するという内容。やがて、その異人種たちを襲う真の巨人が現れ……と、紹介しても「?」なイメージしかわかないだろう。自分でも書いていて良く分からなくなってきた。

ただ、コミックとしての見どころは単純で、要は結構本格的な格闘漫画なのである。大きく分けて最初に書いた格闘シーンと、後半にある格闘シーンの二つがあるが、ほとんどが泥労守(デロス)の戦闘シーンだ。世界観はSF調というかいうか、巨大化した昆虫や不気味な生物が跳梁跋扈するイメージで、この辺はちょっとホラー的でもある。実際、ベルセルクの様な激しい残酷描写などもあるので、ダークというほどでもないが、苦手な方は避けた方が無難だろう。ちなみに本の紹介には次のように書いてある。

数億年に一度繰り返される地球規模の大災厄の彼方。その変わり果てた世界を舞台に語られる生命群の激突。神話の巨人を擁する帝国に、ただ一組の男女が挑む。男の名は「泥労守(ルビ・デロス)」、女の名は「風炉芽(ルビ・プロメ)」。彼らの目的と、この世界の成り立ちとは…?圧倒的な想像力と筆力で描かれたSFロマン開幕!!

この本が刊行されたのは2014年なのだが、たぶん、作者の三浦建太郎氏は「ベルセルク」を書き続けることに疲れていたんだと思う。この物語自体、いくらでも話は続けられるようなフォーマットになっているし、主人公二人の関係や力の発現の仕方など、全く説明されていない部分も多い。著者の特徴である緻密な画風で描かれる巨人同士のバトルは迫力があるが、言ってしまえばそれだけなのだ。当時のコミックスの帯には本人の言葉として、

「脳細胞が老いる前に、やっておかねばならないことが在る!!」

と、力強く書かれているが、ずっと同じ話(ベルセルク)を描き続けているうちに、鬱屈したパッションが蓄積した結果、このような作品が突発的に出来上がったのではないかと思われる。あと、これはベルセルクでも言える事だが、かなりの作者のロリータ趣味が反映されており、風炉芽(プロメ)は薄いワンピース一枚でヒラヒラと動き回る。どうやら女神か妖精のような設定になっているようなので、実際には少女ではない(という設定)なのだが、戦いで消耗した泥労守(デロス)の体力を回復させる方法が、プロメのオシッコ(と思われるような設定)になっているのは、本当に「趣味」としか言いようがない。とにかく、描きたいものだけをひたすら描くのだという著者の熱い思いだけは溢れている作品だ。

ネタバレになるので詳しくは書けないがロボット物のような要素もあり、画力だけは本当に圧倒的に素晴らしいので一見の価値がある。最後のエピローグ的な部分で初めて世界観が語られるが、2017年現在、それ以上物語が描かれることは無いようだ。本編のベルセルクも終わりが見えない今、こんな設定で書き始めたらあと何十年かかってもどの話も完結しないのではないかと思われる。ただ、せっかく面白くなってきたところで途切れているので、いろんな意味で惜しい気もする。たぶん作者も思い入れのある一作だと思うので、何年後かにまた、突然続編が書かれても驚かない。ホラーというほどでもないが、SFとダークファンタジーの中間くらいのお話なので、一応、おススメしておく。

(きうら)



ギガントマキア (ジェッツコミックス) [ 三浦建太郎 ]

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