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★★☆☆☆

ダーリン・イン・ザ・フランキス(ネタバレあり)

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  • 青年向けロボットアニメの王道を狙ってます的な
  • あまりにも既定路線に寄りすぎ
  • エロスもグロも純愛も友情も中途半端
  • おススメ度:★★☆☆☆

3年以上前のアニメを観て感想を書くのもどうかと思うが、微妙に見たい・見たくないのラインをさ迷って最後の24話まで観てしまった。しかも私自身、本ではなくアニメばかりレビューしている…。

近未来、人類がほとんど滅亡した世界、謎の二人乗りロボット「フランシス」に乗って巨大な叫竜(きょりゅう)と戦う思春期の子供たち。子供たちはパラサイトと呼ばれ、男女一組でペアになってロボットに乗ることだけを目的に生きている。その中で優秀と思われていた主人公ヒロ(016)は脱落寸前だったが、角の生えた異形の少女ゼロツー(002)と出会い、再び戦うことになる。その影には壮大な陰謀が隠されていて……。

設定だけ見ればまんまエヴァンゲリオン。そして二人乗りはそれをリスペクトした「パシフィック・リム」。ロボットアニメ的なギミックでいえば、敵が使途かカイジューか叫竜かの違い。その他あまりにも何かに似てる部分はまあ製作スタッフが被っているのでそれはもう「分かってやっていること」だと思った。

年齢にALLと書いてあったが、ロボットの操縦方法が思春期の女の子の背中にまたがる(ような位置)で操縦桿を操って(精神的に)結合するシーンは、何かの比喩ではなく、いわゆる背後位と呼ばれるセックスシーンそのもの。結合時に呻いたり、相性があったり、へたくそと言ってみたり、このエロ設定をやりたいためにこのアニメは作られているのではないかと疑うほどだ。タイトルにある通り、キスは大人向けのドラマより濃厚に描かれるし、途中一瞬だが行きつくとこまで行ってしまう描写もある。

が、最後まで「そのなにか」を描き切ることはない。あくまで「その直前まで」か「直後」が描かれるのである(風立ちぬみたい)。愛・友情・信頼・未来など、美しい言葉で飾り立て、最後は主人公二人の純愛アニメに帰着する。ヒロインの一人称が「ボク」で猟奇的な態度、長身長、目元に赤いラインというのは珍しいが、これが微妙に魅力がない。相対するヒロも似たような感じで、何かの抜け殻みたいな行動を繰り返す。

ほぼほぼ全シーンに既視感があり、最初の5話くらいでオチまで読める。主人公たちのキャラクターを品のない風に表現すれば根暗、優等生、ガキ、デブ、クールの男性陣に優等生、ロリータ、根暗(同性愛者)、癒し系(実は腹黒い)に加えて暴力的でイノセントなゼロツーという構成。優等生の女の子イチゴ(015)は主人公のヒロ(根暗タイプ)が好きで、男性側の優等生のゴロー(056)と3角関係になる。癒し系はパートナーのデブを裏切ってクールと文字通り出来てしまい、妊娠して一時はチームからはじき出される始末。ゴローはヒロが贈ったイチゴが髪留めを無くすとずっと前に渡しそびれた同じものをちゃっかり渡すなどかなり愛憎渦巻く人間関係になっている。主人公たちを除けば子供時代に相思相愛にはならない。

さらに下品なことを言ってしまえば作中で「できちゃった婚」までやるわりに、エロさを正面から打ち抜けていない。いや、女性キャラにはそれなりの露出を強いているのだが、男性陣がまるで不能のように反応しないのが不自然だ。体は思春期だが小学生低学年くらいの精神年齢を無理やり中学生にまで引き上げているような、そんなアンバランスな絵とテーマの齟齬が目立つ。それでいきなり赤ちゃんだのなんだの言われても困る。

ただ類型的とはいえ、キャラクターはそれなりに立っている。絵もきれいだと思う。のだが、肝心のロボットにそれが反映されていない。遠距離・中距離・近距離攻撃タイプに分かれているのに結局全員で乱戦して、チート的な性能の主人公たちが強敵を撃破しておしまい。連携しているようで連携していないチーム。硬派な設定のわりにロボットのデザインだけが急に幼くなるのも違和感あり。

まだある。敵の目的が「肉体を捨てた精神的な融合」と「その先にある凪のような幸せ」にあるのはまあいいとして、ヒロインとヒーローが結局精神的に融合してしまうのは大いなる矛盾ではないか。二人とも感情的に対立しているときは面白いがそのクライマックスは一瞬の和解(つまり恋の成就)だろう。その後訪れる生物的な相克を素通りして、恋から一直線に永遠の幸せ(愛?)に昇華させてしまう。それなら別のやり方で同じものを作っているだけである。制作陣はどうも理想的な大人になるということを生殖行為を行って子供を作り上手くやっていく原始的な共同社会として描いているような気がするが、徹頭徹尾ツルツルピカピカの綺麗な絵でそれを訴えても説得力に欠ける。ましてやサバイバル要素などバッサリ切ってライトなSFアクション要素を追求すべきではなかったか? あるいは先達であるエヴァンゲリオンのようにもっと露骨に性的イメージを送りこむべきだった。

それで思い出したのだが、先日の「鬼滅の刃」で、あれも最序盤でヒロインの妹が口加瀬から(人間の死体を見て)涎を垂らすというかなりのSM要素をさらっと送り込んでいた。本作のようにスレスレを狙って作るエロスよりもよほど危ない香りがする。

さて、文句ばかり長くなったが「多分こうなるだろうな」と思いつつ見る分には楽しめる要素もあるだろう。ネットでは後半の超展開に批判が集中していたが、単に蛇足なだけで別にそこはいい。ラストのような「美しい出会い」を描くならここまで捻くれる必要はまるでないし、むしろもっと二人の精神的な葛藤にフォーカスすべきだった。この作品の序盤で光る「ヒロインが主人公と一緒にいるだけで傷つけてしまう」という設定は最後まで捨ててほしくなかった。むしろ、じわじわ蝕まれて廃人化するのは男女が逆だったんじゃないかと思ったりする。

それにしても24話というのは長い。古い話で申し訳ないが、この作品の敵のモチーフと思われるキャラが出てくる「不思議の海のナディア」が39話を高いテンションで引っ張り切れなかったのも分かる気がする。これだけ安定路線の要素を開き直って混ぜてみても興味を引き続けられない。いろいろ難しいなぁ。

(きうら)


-★★☆☆☆
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