★★★☆☆

ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者(前後編)[3DSで遊べるファミリーコンピュータソフト][オンラインコード]

投稿日:2018年1月25日 更新日:

  • ゲームで初めて本気で恐怖を感じた作品
  • さすがに古いがよく出来たシステムと音楽
  • いまのスマホゲームに慣れた世代はお勧めできないが……
  • おススメ度:★★★☆☆

思い返してみると、私の約40数年の人生で「恐怖で飛び上がるほどびっくりした」という経験は、実は映画でもなく小説や漫画でもなく、このゲームなのである。もはやどの方向に向かっているのか分からないサイトですが、一応3DSで遊べるようなのでファミコンゲームを紹介してみたい。

古い自分語りで申し訳ないが、私は「ゴレンジャー」や「ウルトラマン」でさえ、見るのが怖かった。今見たらわかるが、あの頃の戦隊モノや怪獣モノは、ある種の作家魂をもった大人が子どもの目線で作っていたので、今のようなマーケティングに基づいたマイルドな作品ではなく、一定の「これだ」という主張があった。妙に残酷だったり、ストーリーが飛躍するので良く分かる。有名な「ジャミラ」のエピソードや被ばく問題で発禁となったウルトラセブンの第12話「遊星より愛をこめて」等が分かりやすい。今はそういった作家性のある物語は深夜アニメなどで放送されているようだが。

そういえば、土曜や日曜のゴールデンタイムに「13日の金曜日」や「ジョーズ」なんかも盛んに放映されていたし、「ポセイドンアドベンチャー(豪華客船沈没もの)」や「タワーリングインフェルノ(高層ビルの火事)」なんていう映画は、今でもトラウマになっている。明らかに小学生が見る映画ではないが、それだけ昭和は何でも許されるフリーダムな時代だったということだろう。余談だが「チャタレイ夫人の恋人」や「ナインハーフ」など、明らかなポルノ映画も普通に放映されていたりして、昨今の「不謹慎」連発のいわゆる識者の方は泡を吹いて倒れるのではないかと思う。時代が変わったと言えばそれまでだが、あの頃(昭和後半)は、テレビが人間の欲する欲望や娯楽のすべてを担っていたのである。

閑話休題。このゲームはそんな昭和末期の63年に発売されたファミコン(ファミリーコンピュータ)のディスクシステム用のソフトである。当時としては珍しかった前後編に分かれたゲームで、つまり2枚買う必要があった。今回はその二本分が一本になっている。

Wikiによると[崖の傍で倒れていた主人公は、「天地」という男性の声で目を覚まし、介抱を受け意識を取り戻す。その後、自らが倒れていた現場で出会った少女「橘あゆみ」から、自分が「空木探偵事務所に所属する探偵助手」であることを思い出す]といういかにも、ガバガバな設定で始まるのだが、やがてある旧家(「明神村」にある「綾城家」)に向かう。そこで、当主であったキクの死についての謎に迫っていくというもの。

いわゆるコマンド選択型のアドベンチャー……と言っても今の方には分からないかも知れないが、要は、ちょっと面倒なサウンドノベルだと思ってもらっていい。操作するというゲーム性よりも、物語を楽しむところに重点が置かれているので、たぶんこの解釈は間違っていない。

斬新だったのは、自分が少年探偵になって、横水正史の「犬神家の一族」ばりのクラシックな世界観で現代的な推理劇が楽しめるというもの。今ではグラフィックや物語も古くなってしまったが、当時は最先端を走っているゲームだった。特に音響が素晴らしく、特筆すべき点である。

そうなのである。当時中学生程度だった私は、友達と二人で、わざと部屋を真っ暗にしてこのゲームのクライマックスシーンを遊んでいたのだが、いきなりドーンと凄い音と映像が来たのである。友人は文字通りテレビ(14インチのブラウン管)から1メートルほど飛びのき、わたしも「ひゃあ」などと情けない声を上げたのをよく覚えている。

今の小学生が、同じように追体験ができるとは思わないが、ファミコン黎明期の功労者にて、伝説のゲームクリエーター横井軍平氏がプロデュースしただけあってしっかりした出来で、ちょっと温かい目で見れば、今でも楽しめる作品ではないかと思う。もちろん、このジャンルはその後飛躍的な発展を遂げたので、過度な期待は禁物だが、これと、この続編のラスト付近の演出はゲームならではの「ホラー」に満ち溢れた展開になっている。

ちなみにファミコン世代でホラーというと、映画「スイート・ホーム(伊丹十三監督)」を原作にしたカプコンのアドベンチャーも思い出すが、あれも結構怖かった。体が半分ちぎれたキャラクターが敵として出てきたり、映画より怖いと評判だったのを覚えている。

記号化、という手法があって、中半端にリアルな表現より、ある程度省略化やディフォルメされたものの方が想像が膨らむ。我々ファミコン世代が過度に過去の作品を美化するのは、その記号化という表現に慣れていたというのもあるだろう。ファミコン-ドラクエⅠのあの貧弱なグラフィックの先に、壮大な中世ファンタジー世界を夢見たのである。

若い方にどう受け取られるか分からないが、小説もその記号化の変種ともいえるので、ぜひ、想像力を働かせて、様々な物語を楽しんで貰えたらと思う。久しぶりに昔を思い出して、記事を書いてみた今日この頃です。

(きうら)

-★★★☆☆
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