★★★★☆

ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち (ティム・バートン監督) ~感想と軽いネタバレ

投稿日:2017年6月19日 更新日:

  • 異能者たちの苦悩と戦い
  • 純粋なエンターテイメント映画
  • 不満もあるが概ね良くできている
  • おススメ度:★★★★☆

(あらすじ)リア充になれないオタク系男子のジェイクは、祖父の謎の死に遭遇する。祖父は奇怪なモンスターに襲われ、目玉を喰われて死んでいた。そして、祖父の遺品から、ジェイクはある島へと向かえと示唆される。その島には、ミス・ペレグリンという怪しい女性が子供たちの養護施設を運営していると言われているが、そこはすでに廃墟になっていた。ジェイクはペレグリンと奇妙な子供たちと出会って戦いに巻き込まれていく。

こういう異能者たちが集まって、到底勝てそうにない敵に立ち向かっていく……というパターンは私は大好きだ。古くはサイボーグ009(全員強かったが)、ドラえもんの初期の映画版など、一人ひとりは頼りないが、力を合わせると思った以上のパワーが発揮されるというのは娯楽映画の王道。この映画も、そのパターンに忠実に則って作られている。フリから落ちまで、期待を裏切らない手堅い作りになっている。

もともと、監督のティム・バートンは、社会から疎外された弱者に共感する監督だ。「シザーハンズ(ama)」や「バットマン (Ama)」を例に挙げるまでもなく、大多数になじめない人間の悲哀と愛情を表現してきた。今作もその作風に変わりはなく、けっこうな数が登場する「奇妙な子供たち」も、それぞれにキャラが立っていて面白い。それぞれの特殊能力も「やっぱりな」という能力から、意外な技までけっこう楽しめる。

特に、見せ場はヒロインが中盤以降に見せる能力。これが意外に強力で、ビジュアル的に非常に素晴らしい。ただ、ちょっとこのヒロインに肩入れし過ぎで、他にも魅力的なキャラが多いのだが、もうちょっと見せ場が欲しいとは思う。原作は洋書でシリーズ化されている人気ファンタジーらしいがそれを強引に一作にまとめたらしいので、原作を見ればもっとサブキャラクターのエピソードも楽しめるのかもしれない。個人的には「二口少女」や「植物成長」、定番のファイヤースターターなどがお気に入り。敢えて書かないが、覆面の二人は予想通りだった。グリム童話時代から、目を隠している異能者は、必ずアレ系の能力を持っているので、納得。

全体的にはよくまとまっているし、ビジュアル的にも面白い。ただ、元の物語に対して尺が短い感じは受ける。TVシリーズなどで、それぞれの特技が発揮される回が観たい気がする。敵が弱すぎる気もするので、もうちょっと強い敵と戦ってほしい気もする。

異能者の苦悩というのは、実は若者特有の「俺は特別だけど世間には理解してもらえない」中二病感覚そのものだ。遅かれ早かれ、それの正体に気づき、あるものは絶望を、あるものはリスタートを、あるものは諦めを得て生きる。しかし、せっかく、物語る側に生まれたのだから、例え架空であれ「異能者の苦悩」を味わい続けたいと思う。それは一つの美しい夢なのだ。この映画は十分夢を見せてくれえる。ただ、多少のグロ要素や残酷なシーンもあるので、明るいファンタジーではないことにご注意を。

まあ、ダークファンタジーこそ真のファンタジー。腰の引けたキレイゴトには共感なんてできないな。

(きうら)



(楽天)

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