3行で探せる本当に怖い本

ホラーを中心に様々な作品を紹介します

★★★★☆

ムーたち(2)(榎本俊二/講談社)

投稿日:2017年5月7日 更新日:

  • ムー夫の哲学的な疑問。
  • 「サード自分」を発見したムー夫。
  • 「規理野君」の行きつく先。
  • おススメ度:★★★★☆

『ムーたち』1巻の続きである2巻では、ムー夫が「セカンド自分」を駆使して自分なりの発見をするとともに、さらに「セカンド自分」を意識する「サード自分」が現れるに至る。ムー夫は自分だけで何かをするだけでなく、友人たちと独自のルールで遊んだりする。

親子関係も順調に進んでいる。「38話・選択地獄」ではお母さんとムー夫があらゆるルートを想定していって、それらがどんどん増殖するので、とうとう何も選択できなくなるさまがおもしろい。お母さんがムー夫と1話かけて何かするのはこの話くらいでしょうか。これは、これほど極端ではないものの、誰しも考えたことがあるのではないでしょうか。

「46話・ムーたち」では、銭湯でムー夫とお父さんが対話をするのだが、最後にムー夫が哲学的な質問(自己言及のパラドックスでしょう)をして父をやり込める。ラストコマの父が困り顔をするのがおかしい。できればこの後を見たかったのだが、父は何も答えずに帰宅したんだろうな。「57話・難解世代」で、ムー夫か父から貰った本が難解で捨てるのだが、ムー夫が父に言ったことの方が難しいのでは、と思う。

後半の「規理野君」がどうなるのかは、是非とも読んで確かめてもらいたい。一応言っておくとバッドエンド的なものではありません。2巻は1巻よりも内容的により濃くて複雑で、読み応えがあります。

(成城比丘太郎)

(楽天)

-★★★★☆
-, , , ,

執筆者:

関連記事

赤目四十八瀧心中未遂(車谷長吉/文藝春秋)

昭和の尼崎で臓物をさばく堕ちたインテリの悲哀 とにかく猥雑。あらゆる人間の醜さが描かれる 異様な文章力で一度囚われると離れられない おススメ度:★★★★☆ 久しぶりにとんでもないものを読んでしまったな …

ゲーム・オブ・スローンズ(海外ドラマ) ~まだ見てない方に、見るべき理由を

中世風異世界を舞台にした実写版ファンタジー・ドラマ まあよくここまで捻った話を娯楽ドラマとして提供できると感服 ストーリーに必要なら、エロ・グロ・スプラッター何でもあり おススメ度:★★★★☆(5シー …

ゲゲゲの鬼太郎 (第1巻) 中公愛蔵版(水木しげる)

原作漫画のはなし つまみ読みした感想 ジワジワ凄さが分かる オススメ度:★★★★☆ 本棚を整理していたら3冊のコンビニ本が出てきた。表紙を見ると(裏は銀座カレーの広告)思うと、ゲゲゲの鬼太郎の漫画だっ …

フォレスト・ガンプ 一期一会 (ロバート・ゼメキス ・監督)

イノセントな男の数奇な人生 人生の残酷さと優しさと ベトナム戦争のシーンが印象的 おススメ度:★★★★☆ 「Run! Forest! Run!」と叫ぶジェニー。走り出すフォレストは、足に矯正器具を付け …

トロッコ(芥川龍之介/岩波文庫)〜趣向を変えて誰でも書けるオリジナル感想文風(小学生向け・理論編)

名作トロッコの感想を小学生風に これでだれでも「普通」の感想文を量産 さらに「良」をもらえるポイントも解説 おススメ度:★★★★✩ はじめに 読書感想文、それはほとんどの人にとって面倒な障害物に過ぎな …

アーカイブ