★★★☆☆

入門 現代物理学 素粒子から宇宙までの不思議に挑む (中公新書)

投稿日:2022年5月8日 更新日:

  • タイトルを見てガクッと来ましたね?
  • 物理学の外観をわかりやすく解説
  • が、高速解説過ぎて「なるほど分からん」状態
  • おススメ度に:★★★☆☆

本ブログの読者の方には興味がないと思うのだが、殺伐としたホラーの箸休めにと、普段は絶対に読まない理系の解説本を手に取ってみた。物理学を超がつくほどの初心者向けに噛み砕いて解説してくれているが、それでも時々、意識が飛びかけた。カントの純粋理性批判(哲学書)を読んでいた時と同じ感じだった。誤字脱字認識違いがない自信もない…。

(本の紹介)なぜモノは引きあうのか。「なにもない世界」は存在するのか。わたしたちの住む世界はいつ生まれ、どこに向かっているのか――。このような謎を追究するのが現代物理学である。ミクロの世界・宇宙の果て・極低温など、日常生活では想像すらできない極限の世界を現代物理学はどう解明してきたか。その始まりから最前線までを、やさしく解説する。さらにダークマターや重力波望遠鏡など、最新のトピックを紹介。

世界の成り立ちと行く末、その中で起こる様々な出来事の理由や根本は誰もが知りたい情報では無いだろうか。それさえ知っていれば、様々な新しいことができたり、長年の苦悩から解放される……と、ちょっと思って読んだ。

物理学の歴史も書いてあるのでニュートンやアインシュタイン、ファラデーなど物理学界の巨人たちも登場する。ただ、あくまでもこの本は物理的理論に対する解説であって、ユニークな人物像やその理論の応用物には、ほとんど触れない。

原子の構造は解説されるが、原子爆弾の話は1行も書いてないし、超伝導の詳しい解説はあっても「それで社会で何ができているか」も書いてない。それが少々物足りない。終始、非常に楽しげで明るい調子の文章で、次々と物理学用語が飛び出す。

磁力線、重力波、パルサー、エーテル、ロバ電子、空孔理論、真空の分解、暗黒エネルギー、電荷測定、クォーク、ニュートリノ、シュテレンガー方程式、トンネル効果、超流動、ボーズ統計、ファントネル、ハビタブル・ゾーン……目次を拾い書きしているだけでクラクラして来た。272Pの薄い本だが、ざっと重力、真空、電子、物質、地球の5つの大テーマ、100近い本文とコラムに分かれている。

書き出しは「漱石とニュートン」で、これは面白い。「吾輩は猫である」を題材にニュートンの古典物理学が解説される。作者は文学やSF、詩(日欧両方)歌謡曲や映画にまでかなりの知識があり、時おり突拍子もない例えがあって、笑ってしまった(映画・かぐや姫のラストが宇宙人の乗り物であったことまで書かれている)。

本文は次々と話題を変えながら、物理学の歴史と現在を概観的に語られる。それによって私は(一応)物質の成り立ちや四つの基本的相互作用(重力、電磁力、弱い相互作用、強い相互作用)から宇宙の大きさ、真空中に満たされている物質や素量子の種類、超流動や超伝導の「相」という概念を知った。

しかし、悲しいことに途中から目が泳ぐことが多くなった。作中の理論が必要なことは分かるが一つひとつの理論の理解が追いつかないので、それが連続して複合するとまさに頭に入ってこないのだ。この程度?でこうなるのだから、私は物理や数学を苦手にして来たのだろう。冗談ではなく、本当に読書中に眠くなった。学校で勉強していた頃の感じだろうか? 不眠症の私をして眠気を催させるとはある意味すごいと妙な関心をしてしまった。皮肉でも何でもない。

また作者も認めているが、素量子を構成する物質はあるのか、宇宙はなぜできたのか、重力や電磁力が働く仕組みは何かなどの正確な解答は無い。宇宙の始まりが超質量の物質から始まったのは理論的に解明できるが、それが始まった理由やそれ以前に何があったかは不明だ。ここまで追求し切る偉人達の知力には驚異しか感じないが、物語好きとしては、それでも未完の作品を読んだような寂しさがあった。

敢えて書くが、この本に紹介されている内容は一般的は大人の軽い教養程度である。私のように興味があっても着いていけないのは悲しいが、翻って学問とは、知識とはいかに大切なものだろうか。人間としてより遠くに出かけるには、きちんとしたトレーニングが(それも出来るだけ若い時に)必要だというお話でした。当たり前なんだけど、とても難しい。

でも人間にはパラメーターが何千もあって、そのどれか「だけ」が優れていたらいいというものでもないのだ。私のような無駄な分岐ばかり繰り返して前に進んでなくても、それなりに生きているのだ。そんなものだぜ、たぶん。

(きうら)

エルデンリングの記事もアップデートしました。このゲームを作った人は何日徹夜したんですかね?


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