★★☆☆☆

厭結び オチが最凶の怖い話 (竹書房文庫)

投稿日:2019年3月13日 更新日:

  • 怪談サイト入賞作品の短編集
  • 作者が違うのでクオリティはまちまち
  • 多彩とも言えるが、まあ、ソコソコ
  • おススメ度:★★☆☆☆

この怪談集の扉を開くと書いてある煽り文句がいい感じ。引用する。

最後の最後に笑顔で崖ドンされたような衝撃。
「厭すぎて、逆に気持ちイイ」
「ぞわムズな後味がハマる」という人、続出!
小説投稿サイト〈エブリスタ〉で開催された「怪異小説コンテスト」より、結末最凶の恐怖譚13話を収録!
おい、この終わり
鬼すぎだろ!

以上、紹介終わり。良くも悪くもこの一節に全てが凝縮されている。
という訳にもいかないので、例によって一つずつ紹介したい。

・こけし
年頃の女性、妊娠でこのタイトルなら怪談ファンなら読まなくても分かる一篇。実際、読まんでも何も後悔しないと思います。後味が悪いように書いているのだから、後味が悪い、それだけ。

・虚食の家
ある病院に入院している元白バイ隊員は、知らず知らずのうちに肉が抉られているという……設定はいいと思う。中身もこの本の中では比較的まあまあ。カニバリズムとか、そんなの。でもこんな症状、ちゃんと研究したら著名な医学賞受賞間違いなし。

・青耳
表紙の萌えっぽい絵の女の子の話。学校の怖い話系の創作怪談。青耳になると人の心が読めるという「サトリの怪」だ。呪いの解除に条件がある=守れずに不幸に、は定番ネタ。昔からよくあるよね。

・漁師の闇バイト
比較的設定がしっかりしている。内容はタイトルそのまんま。アルバイトの内容も御察しの通りでございます。あれですか、舟幽霊とか、そういう着想なのかなぁ。今回読んでいると、作者の意図を推察することが習慣になった。

・夜歩く蜘蛛
夫不倫で家族崩壊のドロドロ愛憎劇と見せかけてからの、モンスター系怪談へ華麗なるレーンチェンジ。最後は訳が分からないが、まあ謎があって良い。大抵の人は訳わからん! と怒ると思うけど。

・ブルーシェル
上の蜘蛛以上にモンスター&グロテスク系のお話。バンガローに集まる怪奇好きの若者たちが……って設定はもう何回読んだかな。動画を撮るというところが新しくもあるが、最後、落としきれてないよね、正直。

・It’s showtime!
で、上とほとんど同じ設定で始まる「節分」を元にしたスプラッター小説。いやさ、分かるんだけども、こういう話は需要があるんだろうか? 私が読んだということはソコソコあるのか? 漫画のGANTZというと分かりやすいと思う。まあそんな感じの不条理投げやり小説。変に現実世界に戻ろうとするところがちょっと面白い。

・ぼうらぎ
これも少年少女が廃墟に入って呪われるという定番パターンの怪談。怪物の名前と呪われる条件を変えれば、幾らでも派生させられるなぁと思う。いつも思うが、こんなんで呪われるものだろうか? 分からん。

・お願いメール
呪いのチェーンメールとは、また古風な……と思ったので、内容が頭に入らなかった。メールを送ったとか送らないとかで揉めていたが、そんな程度。私のように、こうやってスマホを見てる方がよっぽど実害のある呪いだと思う。目は痛いわ、肩は凝るわ、人の話は聞かないわ……。

・妄執の家
またきた不倫で家族崩壊系。さすがに食傷気味なので、これも頭にストーリーが入らない……一応、嫌なオチはつくが、煽り文句とは程遠い。

・離れないよぉ
ストーカーものと見せかけて、実は……という作品。実は結構、嫌いじゃない。この本では唯一、二段落ちを楽しめた。まあ設定が設定だけに単調ではあるけど、嬢王様系ホラーとでも分類しよう。ちょっと新しい。

・読むな
これもまんま「禁忌を破ると呪われる」系。知らずに読んでしまうのも定石通り。なのでもう一捻り欲しいところ。本を買って、読むなと言われたても困る。これはいちゃもん。

・身削ぎ
分類するなら民話・伝説系になる怪談だ。しかし人身御供とは、これも古風だな。長編にすれば貞子のような怪女の話になるかも知れないが、設定がもう少し欲しい。

(著者名は割愛)

というわけで、どれも読めないほど酷くはないけど、最初の結論通り、バラエティは豊かだが、煽り文句を上回ることはない。過度な期待をしない・暇つぶし・怪談マニア、というような私のような条件に当てはまるのなら、まぁ、読んでも良いかと。

(きうら)


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