★★☆☆☆

急いで喉を裂け~駕籠真太郎ホラーエクスタシー短編集(駕籠真太郎/Kindle版) ~紹介と感想、一部ネタバレ

投稿日:2017年10月7日 更新日:

  • 時事ネタ+猟奇的描写のコミック
  • 題材はファンタジーから風刺まで様々
  • 現代版「カストリ雑誌」的漫画?
  • おススメ度:★★☆☆☆

久しぶりにホラー的な漫画を読んでみた。理由は簡単で、Kindle Unlimitedで配信されていたからだ。Unlimitedで配信されるホラー漫画というのも珍しいので、興味本位で選んだ。ちなみにカストリ雑誌とは戦後に勃興した質の悪い大衆雑誌で、主にエロ・グロをテーマにしている。今で言えばゴシップ週刊誌の劣化版というところか。

短編集とある通り、全部で13編の漫画が収められている。その前にわざわざ「エクスタシー」と足しているのは、内容に多分に性的描写が含まれているからだ。表紙を観ても分かる通り、細い線で描かれた割と緻密な絵柄だが、要所要所でエロティックな描写を挟んでくる。と、いうわけで、文学的ホラーや感動作品を期待している方にはこの時点で読書候補から外れる。

とはいえ、それでは成年雑誌のように性描写に熱心かというとそうでもない。これは邪推だが、ショッキングな絵柄にエロ要素を足せば売れるだろうという、何となくそういう商業的に狙って入れた要素に思える。よくスマホの漫画などにある「設定はショッキングで興味は引くが、読んでみると割とどうでもいい」を地で行くような内容だ。

たとえば、第1話「小人の靴屋」は、童話風である。夜中に原料の皮を用意しておくと、勝手に上質な靴を作ってくれるという魔法の時計がある。これを性悪な靴屋が、ライバルの靴屋から、奪ってくる。当初はうまくいくが、ある夜、原料をわすれて寝てしまうと、彼女の妹が原料にされて靴が……という設定。話はここで終わらず、その妹の靴が売れたことから、靴屋は女を次々とナンパし「人皮靴」を製造するのだが、ある夜、その原料に……というお話。

ナンパシーンにエロティック要素があるが、まあ正直どうでもいい。リンゴの皮をむくように人の皮をむくという絵的なインパクトで勝負しているので、筋も読めるし別に面白くもない。

「芸人地獄変」は、売れない女落語家があからさまに島田紳助をモデルした悪の(?)漫才師のパーティに呼ばれ、家電芸人として「肉体改造」されかけるというお話。猟奇的ではあるがリアリティはなく、どちらかというとブラックユーモアに近い。さらにもう一段オチがあるが、これも別に視覚的なインパクトだけで落とすので、基本的に物語的面白さはない。

はっきり言えば、全体的に発想が安直で、漫画としての面白さには昇華されていない。一方で画力はそれなりにあるので、読めないこともないという中途半端さ。むかし田島昭宇&大塚英志による「多重人格探偵・サイコ」という漫画を読んだが、絵だけで言えばアレに近い。ただし、前述のサイコほど話が練られていないのが残念だ。有能な原作者がつけばもっと売れるんじゃないかと余計なことを考えたりした。

もし、それでも興味が湧いたら、休日の朝から読むような内容でもないので、夜中にでもこっそり読んでみて欲しい。

(きうら)


-★★☆☆☆
-, , , ,

執筆者:

関連記事

マチネの終わりに(監督/西谷弘)

天才ギタリストとジャーナリストの純愛(?) 綺麗に出来ているが大迷惑な話である ラブストーリーの本質的な矛盾感 おススメ度:★★☆☆☆ たぶん、日本の恋愛映画を意識的に鑑賞したのは人生で初めてだ。もち …

X‐ファイル―未来と闘え(クリス・カーター(著)、 エリザベス・ハンド(著)、 南山宏(翻訳)/角川文庫)

伝説の超常現象捜査官の映画版ノベライズ モルダーとスカリーが出てくるだけで満足 当時としては異常によくできたドラマだった おススメ度:★★☆☆☆ これもまた古い話になるが、テレビドラマである第1シーズ …

実録怪異録 死に姓の陸 (西浦和也/竹書房ホラー文庫)

実話短編怪談集。メインタイトルは連作 堂に入った語り口で安定して読める 実話だと思うが、霊現象そのものには「?」 おススメ度:★★☆☆☆ こういうサイトを運営していると時々読みたくなる実話怪談シリーズ …

プロメテウス(リドリー・スコット監督)~あらましと感想、散々なネタバレ評価

エイリアンの前日譚(のような)映画 初代の荘厳さはなく、ハチャメチャな内容 エイリアンシリーズを見て爆笑するとは思わなかった…… おススメ度:★★☆☆☆ 普段、一部の例外を除き、世間の時間の流れとは、 …

恐怖箱 袋小路(神沼三平太/竹の子書房)~概要と軽いネタバレ、感想 ※Kindle Unlimited対応

実話の短編エピソードを100話収録 玉石混交の内容で、軽い話も多い バラエティ豊か。気軽な読書に おススメ度:★★☆☆☆ 百物語(参加者が順番に怖い話を披露する会)を開催している著者が実際に聞いた話を …

アーカイブ