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最近読んだ、もしかしたら学生さんにおススメできるかもしれない本について~読書メモ(58)

投稿日:2020年2月28日 更新日:

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【まえがき】

先週はなにかと忙しかったので、とくにこれといった怪奇幻想的な本を読んでいない。なので、今週も休むつもりだった。ところが今日(2/21)、先週読んだ本を並べていたところ、これらは学生さんに薦めることができるのではないかと気付いた。もしかしたら学生さんとかには何かしら得るところがあるかもしれないと思って、これから何か紹介文らしきものを書きます。ちなみに、今回取り上げるつもりの本はすべて図書館で借りてきた本です。ところで、『八本脚の蝶』では、著者(二階堂奥歯)が今まで読んできた本を「買った本:借りた本=1:390」と書いていたのですが、私の比率は、《新刊本で購入:古本:図書館=3:2:5》くらいです。つまり私が年間読む本の半分は、図書館から借りてきたものです(ここで取り上げる本の半数近くが借りてきた本ということです)。

話はそれますが、2019年の消費増税にあたり、毎月の書籍代を従来の95%くらいにしていこうと思ったのですが、10月には70%くらいに下がり、さらに11月には(漫画をのぞくと)新刊本で購入したのが3冊と、購入金額が従来の半分以下になってしまったので、これはあかんと思い、2020年に入ってからは通常通りの購入金額に戻しました。一度購買意欲?を抑えると、「別に無理に購入しなくてもいいか」と、自分でもびっくりしてしまうほど購買への意識が下がってしまったということです。書籍以外は基本ゼイタクしないので、その書籍代をケチってどないすんねんということを確認しました。個人的には、増税されたとしても消費者の書籍購入の意欲を上げる方法はあると思うけど、その実現はいろいろ難しいと思うので、ここには書きません。

ところで、これを書き足している現在(2/23)、メディアなどの報道とくに夜のニュースを見ていると、新型コロナ関係のネガティヴな話題ばかり。とくに経済に関係しての不安要素ばかりのようだけど(当たり前か)、まあそれは分かるのですが、それよりもコメンテーターみたいな人たちが無定形な?不安をあおるような発言をしているんだが、これはなんとかならないものか。この間、病院に行ってきたけど、さすがに外来の患者はいつもより少なかったけど、みなさん落ち着いていた。

それと、大学受験の対応も大変なようですが、これを機に受験シーズンを晩冬から初夏あたり(5月~6月)にしたらいいんじゃないか(9月入学にして)と愚考するんだが。てなわけで(?)今回の記事は、学生さんやそれ以外の人たちに向けて紹介するという態をとる形になります。ちなみに、もし18歳の時の自分にこれらの本を渡しても、「難しいわ」と突きかえされるかもしれない。

【読んだ本(哲学)】

・『世界哲学史(1)』(ちくま新書)

副題は「古代1知恵から愛知へ」というもので、おもに古代に説かれた哲学に関してです。このシリーズは、ちくま新書(筑摩書房)が全八巻を予定して出版し始めた「世界哲学」に関するもので、これはその一冊目。「世界哲学」とはまあ、西洋哲学偏重を脱して、他の地域(東アジアやインドやエジプトなどなど)も取り込んだ、そういう世界全体からみた哲学史を見ていこうというものだと思います。哲学といっても単なる存在論だけではなく、(神話における)死や生に関わる世界観をもみていこうとするものでしょう。

20年前なら間違いなく本書を購入していた。内容がどんなものか分からなかったので、とりあえず最初のものは図書館で借りてきて確かめようと思ったんだけども、一巻目を読んだ限りでは、続きは同じく借りてきて読むだけでいいかな。つまり続きは読むけど購入はしない。内容は初心者向けなので、これから学生になる人や、ちょっと暇ができたので哲学の見取り図を覗いてみたいという人には、いいかもしれない。地域の哲学(思想)の関わり(類似・相似)がみえるという、哲学のカタログとしてはいいと思う。本書から入って興味をもった分野があれば、「参考文献」に挙げられてる本など関連書を読んでみてはいいかとおもう。

【読んだ本(思想)】

・末木文美士『日本思想史』(岩波新書)

どう書けばいいのだろうか。一読した印象だと、「やっつけ仕事かな?」というもの。よく言えばコンパクトにまとめているので(あるいは大雑把)、日本の思想に不案内な人にはいいかもしれない。でも、こんな教科書的なものでいいのかなとも思う。でもそれがいいのかもしれないとも思う。最近は、日本の歴史や文化に興味を持つ外国人も多いし、その人たちとの付き合うためにも最低限の日本の思想に触れておいた方がいいとは思う。学生さんは場合によっては、(仏教)思想史などとくに勉強してこなかった人もいると思うので、それらを大まかに知るにはいいかもしれない。

といいたいところなのですが、やはりものたりない。『毎日新聞』(2/18)の「論の周辺」では、本書を取り上げて、「古代から第二次世界大戦後に至る長大な思想史の流れを描き出した、まさに力業だ。古今東西にまつわる著者の博覧強記のたまもので、驚きとともに一気に引き込まれた。」と書いている。そうなんです。「力業」なんです。「第二次世界大戦後」というか現代以降の分量が少なすぎるのでそう思うのです。本書はせめて上下巻くらいの二分冊にするべきだった。最近は、中国史やアメリカ史や日本の近現代史など、歴史関係のシリーズは充実させようとしているのに、なぜ思想史はこんなに冷遇されているのか。思想史は歴史そのものと不可分であることも多いのに。あと、「一気に引き込まれた」とあるように、まさにスラスラと読めすぎる。回転寿司でたとえると、次から次へとネタが流れてきて、それらをひたすら食っていて何を味わったのかよく分からなくなる感じ。ただ、中世と近世に関する考察はよい。まあ、この二つだけよく読んで、残りは、「参考文献」に挙げられている本を読んでみたらいいのではないかと思う。そういう意味では、これから学生さんになる人や、暇ができたので日本の思想についてちょっと学んでみたいという人向けにはいいかもしれない。なんか偉そうに語ったけど、本来なら何の感想も書かないつもりだったので、こんなことしか書けない。

【読んだ本の紹介ではなく、勝手なことを語る】

・山形浩生『断言読むべき本・ダメな本』(Pヴァイン)

このブログで取り上げない本があります。というかほとんど何の感想も書かないジャンルがあります。それはミステリと経済関係。ミステリについては単純にあまり読んでないからで、それとネタバレになりそうだから。経済に関しては、入門書みたいなのをたまに読むくらいです。経済関係についてはほぼ全く感想など書きません。なぜなら経済の専門家でもないし、ろくな感想も書けないし、さらにいうと下手なこと書くと経済学プロパー方面からきついダメ出しを受けるのではないかと思うからです。

本書で山形は、「ぼくは歴史の専門家ではもちろんない」と書いてますけど、もちろん私も歴史の専門家でない。それどころか、文学の専門家でもないし、競馬のそれでもオタクのそれでもサッカーのそれでもホラーのそれでも、とにかくどの分野の専門家でもない。ではなぜこのブログで、経済に関してだけ何も書かないのか。他の分野のものなら、たとえ間違っていたとしても何か書きたいと思うのに。そのわけは、他の分野のことならたとえ間違いを指摘されても、「ああそうですか」と、素直に(?)その訂正を受け入れる心づもりなのですが、こと経済に関してはどうも何かがイヤなのです。それは、普段見かける経済学者とかの(一部の)エラそうな態度がどうもイヤなのです。

一部の経済学の専門家の「お前らそんなバカなこと言ってはいかんよ」といったような態度がどうも苦手なのです。もちろんそれは、経済学者に限らないと思います。今丁度読みかけている、とある学者の本には、メディアやネット上の意見を取り上げて、「何を言っているのかわからない」という文言があるのですが、そこには具体例が取り上げられていないので、どこのどういった部分が「わからない」のか、読者にはわからないという、不親切なものになっている。私の書いていることは単なる揚げ足取りなのですが、それでも学者の書くものにしては不誠実だなと思う。

ではこの著者である山形浩生はどうなのかというと、読んだ限りでは、きちんと書いている。ダメなところは「ダメ」と、良いところは「よい」と例をあげて書いている。その是非は、経済学に疎い私には判断付けられない部分もあるけれど、しかし、何が悪いのかよいのかが書かれているので、シロートでも検証できるものではある。著者の書くことはアカデミズム(?)界隈では軋轢を生むこともあるようなのですが、本書を読んだ限りだと、こんなことで腹を立てるなんて学者というのはなんとも沸点が低いのだなぁと思う(まあ実際学者として生き死にが掛かっていることもないとはいえないし)。その点、山形浩生は自らの間違いがある場合は、一応それを受け入れているようなので、その姿勢自体は学生さんも見習うべきだと思われます。

山形浩生の言っていることとは簡単で、ただ単純に《ものをきちんと見て、変な解釈を入れず虚心坦懐に読んで、ほんでなるべく実証的に語れ》ということ。この態度は、どの分野でも有効ですが、気をつけないといけないのは、ある程度以上の能力を持っていない人間が、本書で述べられているような「嫌味」を語ってはいけないということだろう。それにしても、山形の翻訳もの以外の本を読むのはこれが二度目だけど(以前のものは購入した)、書かれている著者の「嫌味」な書き方は、自分のものによく似ている。ちなみに、本書を読んだ後、著者のブログをおそらくはじめて覗いてみたけど、本書よりももっと「嫌味」なことがきちんとした形で正当に書かれていた。

さて、ダラダラと書いてきましたが、一番問題なのは、本書を学生さんにおススメ出来るものなのかどうかということです。「ダメな本」ではないんですが、本書自体が「読むべき本」に該当するのかどうか、これがどうもよく分からない。著者のブログを読めばそれでいいかもしれないとは思う。なんせ、新刊で購入すると3000円くらいするので。あくまで個人的な意見だと、読んだ本からたったひとつだけでも何かしらの影響を受けた個所があるのなら、その本がたとえ何万円もしようが、私は損したという気にはならないのです。それが本書にあるのかどうか。図書館で借りてきたので何とも言えませんが、もし私が本書を18歳の時に自ら購ったとしたらどうかを考えると、何か得るものはあるだろうと思います。そういった意味でいうと、本書自体は、書評を集めたものなので、ここで書評された書物自体を読むことにおいて、何かしらの人生への利益が得られるとは思います。たとえばミュージシャンの高額なアルバムで、そこに何か人生に深く刻まれた一曲でもあるならば、そこには何かしらの価値があるということです。

本書はまあ、借りてきて読むには価値はありますと一応いえます。ただし、とある新聞に書評された文章はつまらないです。それはそこの新聞媒体の持っている特徴のせいでしょう。新聞書評に採用されたものと、ボツになったものとが並べられているので、それを読み比べると面白いです。それにしてもそこの新聞書評委員について山形も苦言を呈していたけども、どうも面白いとは思えない。野矢茂樹のものを読んだ時にもそう思った。

ところで、本書では株式投資についても少しだけ書かれています。まあそれは読んでもらうとして、私が言いたいのは《知らんものは、よく知ってから手を出せ》ということです。私は小学生の時から30年以上株式市場に注目しています。といっても自慢話ではありません。両親が寝物語に(?)株の話ばかりしていたので、自然と投資に注目していったというだけです。ここ20年くらい自分でも少し投資してそれなりに利益を上げています。ほんの少しですが。それでも、競馬なんかより比べ物にならないくらいです。競馬の収支はおそらくマイナスです。はっきりいうとギャンブルが下手な(?)人は、競馬するより株式投資した方が小遣い稼ぎにはまだいい。現在は配当もまあいいし(昔は、初心者が手を出すには電力株がよいなんて言われてたのが懐かしい)。

私が親から受け継いだ投資における精神(?)とは、知らない銘柄に手を出すな、ある程度利益が出たら欲をかかずにすぐに売る、ちょっと値が下がっても慌てずに持っておく(結局マイナスになったのもあるけど、運よく買値以上に上がったのもある)、長期スパンで様子を見てなるべく5年10年以上持っておく、といった至極当たり前なものです。人間関係への投資はなかなか判断が難しい時もありますが、小額の株式投資であれば、それなりに勉強にもなるし、お金で人生を潤すための一手段としてはまだ健康的だと思います。要は、私がやってきたのは、自分の好きな会社とか世間の評価がまだ低くて健全だと思われる会社を見つけ出して、そこに少し投資する感覚です。ここ5年くらいはもう新規投資はやめて、もっているものを処分するつもりでいますけども。ちなみに、この精神は馬券術(?)にも一応役立っています。

ついでに競馬への投資(?)についても書こうと思ったけど、本書と関係ないのでやめときます。機会があればどこかで書きます。本書でわからないことがあります。著者は、「哲学っぽいお題目」(P209)と書いているのですが、これがよくわからなかった。たんなる修辞なのか。「哲学っぽい」ということは、哲学そのものとは関係ないレトリックとしてなのだろうか。しかし著者は、「文学的レトリック」が好きではなさそうなので、何か他の意味があるのだろうか。

【編集の力】

・松岡正剛『編集力』(角川ソフィア文庫)

満を持して(?)編集されたニューエディションの、最新版。おそらく長年編集にこだわってきた著者がこのタイトルで出してきただけに、力が入っているのではないかと思う。内容としてはサイトでも読めると思うけど、通して読ことで得られるものは大きいかと思われる。実はまだ現時点(2/23)で、三分の二くらいしか読んでいない。投稿される頃には読み終えている。著者が力を入れて述べているのは、「相似と類似」の力。これこそが編集のダイナモか。著者の編集人生の新編集の、まだ途上にあると思われるその編集作業に寄与したものの一部がここに垣間見られると思われる。でもちょっと、学生さんには勢い込んではおススメはあまりしかねる。おそらく18歳の時の自分なら「難しい」と言って読み通してもよく分からないままになっているだろう。そんな昔の私には、同著者による『多読術』(ちくまプリマー新書)をお薦めすると思う。

【まとめ】

今の私が18歳なら、ちくま新書の『世界哲学史』を知らない世界をのぞきこむように読んだと思う。『日本思想史』についても、「へぇー、こんなのがあるんだ」と興味を持つと思う。山形浩生の本は経済学部の人が読むべきかどうか分からないけど経済学とは関係ない自分にはまあそれなりにおもしろいかなとおもうだろうし、『編集力』には読書量の豊富さと連想力に圧倒されただろうし、その考えの一端はつかめたのではないかと思う。まあなんというか、これらの本は読書案内であるので、そういったものを期待して読めばいいのではないかと思う。

(成城比丘太郎)


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