★★★☆☆

未来の年表2(河合雅司/講談社現代新書)

投稿日:2018年6月27日 更新日:

  • 「人口減少日本」で起きること
  • 前著の二番煎じでないわけではないが
  • 高齢の方向けの本になっている
  • おススメ度:★★★☆☆

本書は、昨年度ベストセラーになったとされる『未来の年表』の続編。去年それを読んだときにはベストセラーになるとは思わなかった。それだけ内容がわかりやすかったのか、それとも日本の未来に危機感を抱いている人が多いからなのか、あるいは未来への理想的な展望を語る本が読者に飽きられただけなのか。それはいいとして、近年出版的には当たりとなっていると思っている(近年だけではないと思うが)「危機感煽り本」の売上的最右翼となったようだ。一般的に「危機感煽り」がいい意味で無責任なのは、たとえ予想した結果が現実では逆のものになったとしても、すなわちここでは未来の状況が好転したとしても誰にも責められることはないからか(なおかつ予想通りになったとしても誰も批判しないのは当たり前。大地震が日本のどこかで起きる起きると繰り返して言う分には何も問題がないのと同じ)。こういった予測は私もよくするので別にどうでもいいが。

さて、本書が前作と違うところは、今回は個人に何ができるかを説いたところ。「人口減少日本であなたに起きること」へと想像力を働かせて具体的にデータをあげながら未来を予測しようとしたもの。あくまで個人レベルで何ができるかを未来への解決策として示している。本書では、基本的には、少子高齢化によって社会全般の効率性が落ちて、しかも様々なレベルで不都合が起きるということをあれこれと描き出している。その妥当性はここでは問わない。もうすでに現象として顕れていることを梃子にして未来の否定像とそれへの対策を講じようと促しているのが本書の基本スタンスだから。

とにかくここで描かれているのは、人口動態からみる日本の将来像で、ほとんどは少子化(と人口減少)に問題があること。そして、それがもたらすものに(高齢者へ)気付いてほしいということ。であるので、(相対的に)高齢者の方々に対して「あなたにツケが回ってきますよ」というような軽いジャブをうちこんだようなもの。今すぐに少子化を解消する案があるわけではなさそうなので、著者が言うように縮小を念頭に個人で出来ることをしていかなければならないと訴えるしかない。私個人としては少子化対策に有効な日本人の意識の変革というような腹案があるにはあるが、しかしそれには日本人の意識を180度回転させるようなものを求めなければならない(ので、実現は無理)。結局は、本書に書かれたことが本当に起き得るのかを個人で確かめつつ、それらがもたらすものを想像して(すべてに目を通すことを要求するのは無茶か)、まずは出来ることからやっていきましょうという、なんともいい加減な締めで終わりたいと思います。

【超余談】
さて、この本には未来の日本像として書かれていないことが山ほどあります。そのひとつがスポーツです。なぜ書かれていないかは言うまでもないでしょう。スポーツ人口が減ってオリンピックのメダル数などが少なくなってもそのことは生活レベルの安定のためには犠牲にしても仕方ないと思う人が多くなるだろうからです。しかし、サッカー(や個人競技のスポーツについて)はそうとまではいえないかもしれません。
只今サッカーワールド杯真最中です。FIFAランキングという(どうでもいい)順位付けでは日本(という名目GDPでは世界三位の国)は今大会参加国中下から二番目です。他方、アイスランドは人口が約35万人しかいません。競技人口だけで強さを測れるわけではないです。また、国力とサッカーの強さにはおそらく何の相関関係もないでしょう(国内にある育成組織の充実などで差はあるかもしれませんが、それもサッカーに対する国民の意識などによって変わるでしょう)。世界にサッカーがある限り、個人レベルでの育成はどこででも行えるということです。
本書の内容に即していうと、日本の人口減少によってフットボール文化にどのような影響があるかというところをみなければいけないかもしれません。Jリーグ発足から25年経ちましたが、未だフットボールが文化として浸透しているとは思えません。競技人口などは(女性も含めて)増えたのでしょうが、その一方で、野球ほどのレベルに達するような一般的な(プロ・アマの)サッカー人気の兆候は全く感じません。これに関しては時間がかかるのかどうかわかりません。とにかく言えるのは、未来のサッカー年表的にはJリーグクラブの経営危機がたくさん訪れるかもしれないし、プロリーグ自体が消滅してしまうという最悪の結果が招来するかもしれません。先に、国力だけでサッカーの強さは測れないといいましたが、それもサッカー人気があってのもの。最悪、将来的にはワールド杯出場も望めなくなるでしょう。とはいえ、2026年ワールド杯から参加枠を増加するのでなんともいえませんが。まあ、人口が減ってかえってサッカーの相対的な人気が上がるのかもしれませんし。
さて、今大会の日本に関して。初戦は勝利した、というか第三者的にみるとコロンビアが自滅しただけ。こんなに見事な自滅ぶりは今大会一番か。本当に日本は運がいい。というか、コロンビアの日本戦に対してのノープランっぷりはひどい(とくに采配)。まあ、強豪国で日本をきちんとスカウティングするところもないか(いたとしてせいぜいドイツくらいか)。セネガル戦は執筆時点で行われていないのでどうなるか分らないが、45分間どれだけ我慢できるかにかかってるだろうなぁ。
ついでに優勝予想も。個人的にはスペインが優勝できなければ、それ以外どこが優勝してもいいんだが、そのスペインは二戦観た限りどうなんだろ。2010年もグループリーグでは苦戦してたが、今度は調子が上がりそうなかんじがない。なんかベスト16あたりにカウンターでころっとやられそう。

(成城比丘太郎)


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