- 「人間とともに歩んだ一万年の歴史」
- 日本における犬物語
- 日本人と犬との関わり
- オモシロ度:★★★★☆
【はじめに】
秋アニメで、『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』というミニアニメがある。内容は、犬と猫との暮らしを描いたものなんだけれども、犬はアホっぽく描かれていて、猫はすこしずる賢く描かれているような気がします。個人的には、犬と猫両方飼うのは余裕があればおもろいかもしれないとは思うけど、前に妹が連れてきた飼い猫に図書館の本をガジガジされそうになり「ヤメテクレー」となったので、犬と猫を飼うにはほんと気持ちに余裕がうまれなければなぁ、とは思った。
で、現在『ゆるキャン△』の再放送を、またまたまたまた観てるけど、よくみるとこの作品に猫はほとんど出てこないんじゃないだろうか。とにかく、犬が印象的な作品だなと思われる。ちくわという室内犬(?)、キャンプ場の番犬、忠犬らしきものとその人形、なでしこが道端で遭遇した犬、リンちゃんが見た車中の犬たち。ほんと、ゆるキャンの世界には犬しかいないんしゃなかろうかと思うほど。現代の犬がどういう立ち位置なのかを教えてくれるマンガアニメだ。ほんで、登場人物じたいも犬っぽい感じがする。リンちゃんは、どちらかというと一匹狼な感じだし。なでしこは、なんか手を出したら尻尾ふりながらお手をしそうな印象だし。犬子は犬山だし。あきちゃんは、よくわからないけど見た目が犬っぽい(いい意味で)。
ところで、なぜ犬のことを「ワンちゃん」といい、猫のことを「猫ちゃん」というのだろうか。もちろん「猫ちゃん」だけでなく、「にゃんちゃん」とか呼ぶことはあるだろうけど、犬のことを「犬ちゃん」とは自分は呼ばない。犬のことを「犬~」と呼ぶのはむしろ犬嫌いの人じゃなかろうか。なんか昔、「犬畜生」と言う犬嫌いの人がいたけど、「犬」という響きには、従属的なといったマイナス意味があるからかもしれない。まあ、こんなことはどーでもいいので、本書について。
【本書について】
『犬の日本史』は、犬からみた日本史であるとともに、日本にいた犬がどのように扱われてきたかをざっと書いたものともいえます。縄文時代から人間は犬とともに暮らしてきたようですが、弥生になると、遺跡などから犬を食した痕跡がみられるようです。その後も、明治になるまでなんやかんやと犬は食料になったようです。
平安時代の貴族なんかは、犬よりも猫をかわいがった人が多かったよう(清少納言も紫式部も)。昔から犬というのは放し飼いが基本だったようなので、仏教伝来から穢れの概念がうまれると、動物全体は穢れをもった存在、とくに犬はなにかとその穢れを宮中に持ち込むものとして忌避された面もあった。その反面として、白い犬なんかは祥瑞つまり良いしるしとして扱われもした。
昔から食用にもなった犬がヒドイ目に遭うのは、鎌倉武士どもから「犬追物」として扱われたことでしょう。「犬追物」とは、弓矢で犬たちを射殺しまくったこと。この風習は室町時代まで続いたようで、その目的はけっして犬を殺すためではないとしても、おそらく多くの犬たちが命を落としたんじゃないのだろうかと書いてます。
その犬たちが歴史上もっとも大事(?)にされたのが、みんなご存知綱吉さんの「生類憐れみの令」で、とくに犬に関しては江戸を中心に大事にされ過ぎたらしい。『無限の住人』で凛は、犬肉を食ったのがわかって吐いてたけど、おそらく彼女はそれまでに犬を食うという文化(?)に触れてなかったのだろうか。平安から幕末まで、犬を飼うというのは(猟犬などを除くと)放し飼いで共同で面倒を見るというのが基本なので、凛が犬食に嫌悪感を抱いていたのは、やはり(?)箱入り娘だったからなのだろうか?
現在の日本でよく見られる犬種は、ほとんどが外来のものだと思われる。『ゆるキャン△』でもほとんどがそうだと思う。柴犬みたいなのはおるけど、あのこたちが在来種の血を引いているのかはわからない。作品舞台は山梨県や長野県だけども、猟犬とかが出てきたことはないと思う。そんな現代のワンちゃんたちは昔ほどヒドイ扱いを受けてはいないけど、殺処分をされてるのもいるから、昔よりましなのかはわからない。ちなみに、自分が飼っていた犬(雑種)は、17歳くらいまで頑張ってくださった。狂犬病ワクチン接種のあとすぐに体調を崩したので、今では無理に注射させんでもよかったかなとふと思う(でも義務なので接種しないとあかんけどね)。
(成城比丘太郎)