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読んでいない本について堂々と語る方法(ピエール・バイヤール/ちくま学芸文庫) ~ちょっと変わった紹介

投稿日:2017年8月8日 更新日:

  • 読書の仕方について教えてくれる?
  • 結構知的な本。
  • これを読んでも、すぐに実践で役に立つわけではない。
  • おススメ度:★★★☆☆

タイトルからして、この読書ブログ、いえ、読書そのものに対して喧嘩をふっかけてきそうな感じですが、読んでみた印象としては、結構まともな本でした。本来なら、このタイトル通り、本書を読まずに、「読んでいない」状態で「堂々と」感想を書きたいところですが、さすがにそれでは本を紹介するという、このブログの主旨に反することにもなりかねないので、一応読んだという体をとって書きたいと思います。

「読んだ体」とは何なのかというと、実は、このちくま学芸文庫版は読んだことがなく、単行本で出版された(筑摩書房版)ものを数年前に読んだだけで、しかももう(詳しい)内容はほぼ忘却の彼方という状態なのです。つまり今から述べたいのは、『読んでいない本について堂々と語る方法』の文庫版を読まずに、過去に単行本で読んだ記憶だけを基に、本書について「読んだ体」を装って、タイトル通り「堂々と」読んだ感想を書く、というふざけた紹介なのです。とは言え、このようなくだらない前置きをしている時点で、すでに「堂々と」というにはあたらないのですが。では本書の内容説明的な感想を書きたいと思います。

さて、本を読まずに、その本について語るというのはどういうことなのでしょうか。本を読むとは、それを完読する(最後まで読む)ということを示しているのでしょうが、そのままだとそのことは単なる受動的なものになってしまうでしょう。それでもいいのですが、この本に書かれているのは、そんな中途半端なものではないはずです。

読書について語ることとは、それが当該書籍を読んでいるのか読んでいないのかに関わらず、自分の「内的読書」を通して、他者と「ヴァーチャル読書」といった言説空間を積極的につくりあげることです。「内的読書」とは、今までの自分の読書量からつくりあげられた読書一般についての知見でしょうか。それを他人のそれと重ねることで、さらに豊穣な読書議論が繰り広げられるのでしょう。そうすると、その果てには読書で醸成された自らの人格について語ることになるのでしょう。さらに、究極的には、全く読んだことのない書物について、知らない者同士が闊達に語り合う場が出来上がることになるのです。それはもう読書談議ではなくなるのです。

このことについて興味深いのは、以前、小冊子か何かで作家と評論家とが数人で、有名なのに未だ読んだことのない本についてその内容を想像で語りあうという企画を読んだことがあるのですが、これなどは本書でいわれる「ヴァーチャル読書」の典型でしょうか。これをやるには実はかなりの力量がいるのかが、普通に本を読んでいるとよく分かります。

本書の内容について覚えている限りで紹介します。著者がいくつかの書物をとりあげて、それらを読んだことがあるのかないのか、またそれらの評価をつけて、面白かったかどうか(読んでいなくても面白いか、つまらないかを書く)が述べられています。夏目漱石の『草枕』と『猫』が取り上げられていて、どちらも著者は読んだことがあり、高評価でした。そう言えば、グレン・グールドは『草枕』の新訳が出ると、必ず手に入れていたそうですが、外国語訳されるとまた違う感じになるんですかね。

あと、数人で行う面白そうなゲームとして、有名な本でまだ読んでいない本を挙げ、他人がそれを読んでいたら得点が入るというものが紹介されていました。このゲームをやろうとすると、ある程度の読書に対する知識が必要で、かなり知的なゲームなのではないでしょうか。

(成城比丘太郎)



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