電子書籍リーダー

電子書籍リーダー誤算と本の未来

投稿日:2017年10月16日 更新日:

  • 電子書籍リーダーは紙の本の敵なのか?
  • 簡単な電子書籍リーダー入門
  • 利点と欠点を解説
  • おススメ度:★★★★☆(電子書籍リーダー全般として)

20年で約半減した本の売り上げ

先日、電子書籍リーダーの話題が出たので、このデバイスに人一倍興味があるので、単独で記事にしてみた。興味がある方はご一読を。

最初に統計的なお話をすると、ご存知の通り書籍全体の販売金額は減少傾向にある。元ソースを所持していないので、また聞き的データで申し訳ないが、2016年で大体本の売り上げが1.4兆円、電子出版が約2000億円という状態。ピークは1996年ごろと言われていて、2.5兆円を超えていたようなので、ざっくり半分弱の市場が20年で消失しているようだ。電子書籍は伸びているが、それでも全体の10%程度に過ぎないので、紙の本の減少を補えていないと言える。雑誌の売り上げの下落が顕著で、たぶんこれは実感されているのではないかと思う。

席巻するスマホの脅威

もちろん、原因はスマホの普及だろう。かつて、任天堂の社長が「ライバルはゲーム企業ではなく、個人が自由にできる時間を奪う物すべて」と、言っていた記憶があるが、まさしく任天堂にとって敵はSONYやマイクロソフトではなく、スマホ市場そのものになった。脱線するが、家庭用ゲーム機の売り上げの凋落も本に劣らず著しく、かつて百花繚乱の様相で販売された家庭用ゲームソフトは売れ筋の一部の大作とインディーズゲームになり、スマホゲーム(スマホそのもの)に大きく市場を奪われた。今や老いも若きもスマホの画面を眺めて一日を過ごしている。新聞も、雑誌も、テレビも、ラジオも、ゲーム専用機も、音楽プレーヤーもいらない。スマホ一つで全て賄えるからだ。2017年現在、スマホと戦える「暇つぶし」のデバイスはない。

電子書籍リーダーの誤算

電子書籍リーダー(電子書籍読書用の専用機)も広義ではスマホ(タブレット)的な要素があるが、大きな違いがある。表示に液晶ではなく、電子インクを使用している点だ。簡単にまとめると、電子インクの大きな長所は2点。

  1. 液晶に比べて段違いに省電力、長時間動作
  2. コンストラストが高く、日光の下でもはっきり認識できる

大きな欠点も2点。

  1. 2017年現在モノクロしか実用化されていない。
  2. 画面の切り替えが遅い(残像が残る)

これで、分かるのはインターネットの閲覧ができないということだ(機能としてはKindleなどは実装されている)。何しろモノクロでスローな動きなので、動画はおろか、サイトすら見られない。

さらにスマホの性能が上がり、解像度も上がったので、スマホのアプリで電子書籍を読めるようになった(細かい文字も判別できるようになった)。では、わざわざ、電子書籍を選ぶ理由はどこにあるのか? 売り上げの椅子取りゲームの椅子は、本が失ったが、そこに座ったのはスマホだった。ここが大きな誤算だった。極論だが、人々は情報が欲しかったのであり、本が欲しかったのではない。

 

電子書籍リーダーか紙の本か、それとも?

紙の本が勝っているのは、本のバリエーション、解像度、好きなページへの瞬時のアクセス、所有欲を満たす物理的存在感、メンテナンス不要・長寿命(冗談ではなく)だろう。対して電子書籍リーダーは、場所を取らない、検索&即時購入できる、暗闇での可読性だろう。
電子書籍を選ばない理由として最大の理由は、だいぶ改善されたとはいえ、電子書籍で読めない本も多いということ。ないものは買えない。特に日本は版権の関係でラインナップの充実が遅れた。あとはスマホに比べ長寿命とはいえ、2~3週間に一回位は充電が必要で、さらに言うと、所有権が完全に手元にないので、販売元がもし無くなったら本が読めなくなるというリスクがある。さらに所有欲を満たされない割に高いというのも無視できない。

逆に選ぶ理由としては、気になった本がすぐに読める点と暗闇での読書に尽きる。就寝前の読書などには最適である。しかし、目が疲れないという長所はあるものの、この2点はスマホでも代用できる。防水性能を持つKoboもあるが、これもスマホでも可能。唯一、スマホより画面が大きいので、漫画などが読みやすいという長所もあるが、これもタブレットで代用できる。

書いていて再確認したが、現状では、手軽な代替デバイスが普及している以上、これは万人が求めるデバイスになりえないだろう。

それでも電子書籍リーダーを買う

こういった理由があっても、電子書籍リーダーは私にとっては魅力的だ。何といっても、スマホやタブレットより断然目が疲れない。これは、液晶&バックライトの組み合わせに比べ、電子インク&フロントライトの組み合わせが圧倒的に目に優しいからだ。分かりやすく説明すると、暗闇で光源を直視するのと、反射光で物体を見る違い。つまり、蛍光灯を背景に透けた文字を読むか、一度壁に反射して見える文字を読むかの違いである。原理的には印字された文字と同じだから、日光の下でもくっきり見える。同居人がいる場合、読書のために寝る直前に蛍光灯を付けると大変迷惑である。この問題をクリアーするには電子書籍リーダーが最適解だ。Kindleのペーパーホワイトか、Kobo auraがおススメ。Amazonの場合、Prime会員に入っていると、無料で読める本も多数ある(会員でなくてもパブリックドメインの書籍が読める)。それにわずか数分で本の購入が完了するのも魅力的だ。そしてこのマイナーさは、誰も持っていないという所有欲も刺激してくれる。経験上、3ヵ月の通勤で電子書籍リーダーを読んでいた人は一人見ただけだ。タブレットでも、スマホでもない、読書専用デバイスは少々誤った所有欲も満たしてくれる。値段も安くなったので、ぜひ、フロントライト付きの電子書籍リーダーを買って、「同志」になってほしい。

本の未来

10年先を考える。前の記事にも書いたが、紙の本は多分その抜群の保存性と価格、量産性からまだかなり残るはず。電子書籍は売り上げを伸ばすと思うが、たぶん、スマホ上で読まれているのではないか。フレキシブル液晶とバッテリー革命が起きると、ひょっとするとB6サイズのクリアファイルのような電子書籍リーダーが出現しているかもしれない。通信ユニットを内蔵し、一か月読めるカラー液晶が実現しているなら、電子インク式のデバイスも、スマホに対抗するチャンスがあるかもしれない。あるといいな。

ポケットからハンカチを取り出すように折りたたんだ薄いシートを広げる。それにタッチすると、一瞬で「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある」と表示される。暗闇でも自発光する。

紙のない時代に紙が発明されたときはとんでもないイノベーションだっただろう。それを生きている間に味わえるかどうか、技術者ではないので、まだ見ぬ天才の出現に期待して今回は終わりたい。

(きうら)



Kobo Aura Edition 2(ブラック)

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