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まとめ

この一週間を振り返って(2017年10月8日~10月14日)

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前置き

先週のまとめは政治的なことばかり書いてしまい、ノーベル文学賞の話題に触れていなかった。正直、この話題を語るのは私より文学に造詣の深い成城比丘太郎氏の方が適任だ。なので、彼とやり取りして印象的だったのが言葉を書いておきたい。

カズオイシグロは、世界的にベストセラー作家だし、たぶん、なんちゃって読書家じゃない限り名前くらいは知ってる作家だし、まあいつかは賞をとる候補には入ってはいただろうが、たぶん本人が一番驚いてるんじゃなかろか。世界的にノーベル文学賞が、どんだけの意味をもつかは実は俺には分からないんだが、俺的には出版と大きな関係がある。ここ十年だと、リョサやル・クレジオが取ったときには、日本で相次いで復刊/文庫化されて、俺は大喜びした。

彼の視点は、実力の割にマイナーな作家に光が当たって、出版社が潤い、結果として出版文化が発展するのを期待しているように思える。彼はアンチ村上春樹(注・成城氏はファンでもアンチでもない)ではないが、村上春樹は十分に売れているという認識のようだ。

因みに私は村上春樹氏は大好きで何度も取り上げているが、もし、ノーベル文学賞が上品かつ歴史的意義を持つ文学賞とするなら、少々「オゲレツ」ではないかと思っている(注・成城氏によればロシアの作家ソローキンに比べれば子供だましとのこと。近々検証予定)。影響力が重要という事なら、ひょっとしたら……という気もする。

2017/10/16 上記と下記の(注)は成城比丘太郎氏より訂正依頼がありましたので、訂正しました。詳細はこちらをご覧ください。

先週の記事

2017年10月
8日 ブラックホールをのぞいてみたら (★★★)S
9日 この一週間を振り返って(2017年10月1日~10月7日)K
10日 深海のYrr〈上〉(★★★)K
11日 最後から二番目の真実 (★★★)S
12日 深海のYrr〈中〉〈下〉(★★)K
13日 本は、これから(評価不能)S/K
14日 今夜、すベてのバーで(★★★★)K

総評

先週前半は、図らずもSF的話題が4連続で続いた(作品としては3作)。アクセス数的なお話をすると、ブラックホールの話題が一番で、あとは低調であった。いくらホラー要素があるとはいえ、やはりSFはマイナージャンルなのかと考え込んでみたり。非常に長かった「深海のYrr」は海洋ものが好きならひょっとしたら好きな人もいるかもしれない程度だが。
後半はホラーと全く関係のない「本は、これから」と「今夜、すべてのバーで」を紹介した。「本は、これから」は、珍しく私と成城氏との競作的な内容になっているが、マニアック過ぎて、ホラーサイトとしての彼岸にあるような内容だ。「今夜、すべてのバーで」は、中島らもの魅力が存分に味わえる名著なので、お酒が好きな人もそうでない人も、ぜひ、ご一読を。
来週はもう少しホラー方面に傾けてみたいと個人的には思っている。

今週の一冊


最後から二番目の真実(P・K・ディック[著]、佐藤龍雄[訳]/創元SF文庫)
この記事で面白かったのは、ディックが最初北米では読まれておらず(注・正確には「あまり読まれていない時期、つまり人気があまりないときがあった」)フランス・日本・オーストラリア・ドイツなどで熱心な読者がいたという話だった。この本自体は超傑作という訳ではないようだが、ファンなら楽しめる内容のようだ。

この一冊に選んだのは、余りにも有名な「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」を原作とした映画「ブレードランナー」の続編「ブレードランナー 2047」が、アメリカで公開されたので(以下予告)。

話題になっているのは、映画の出来がいいにも関わらず、どうやら興行収入が思ったほど伸びてないことだった。先ほどの話ではないが、熱狂的なファンは多いものの、新規ファンへのアピールが足りないことが原因と言われている。日本では10/27公開となっているが果たしてどうだろうか? 個人的には大変興味がある。とはいえ、中高生やファミリー層が観に行くかと言われれば少々疑問だ。映画で言えばかつての「マトリックス」のような、SFへの壁を破るエポックメイキングな作品が、小説でも出てこないだろうか?

(きうら)

-まとめ

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