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コラム

ちょっと競走馬を美少女化してみました (成城比丘太郎のコラム01)

投稿日:2018年4月20日 更新日:

  • お馬さんの擬人化とスマホゲームとアイドルと
  • ゲームをやりたくなる(やらないけど)
  • おススメ度:特になし

本村凌二『馬の世界史』(講談社現代新書・中公文庫)という、馬からみた歴史が簡単に理解できる好著があります。馬が人の歴史に関わっているのかは周知のことかもしれませんが、そのことが簡単にわかる本です。戦争や農耕や運搬などに用いられた馬は、現代になり、乗馬(スポーツ)として身近になるとともに、競走馬として人々の前に登場することになりました。もちろん流鏑馬などにみるように神事としての馬に触れることもありますが、やはりなんといっても世間の耳目を集めているのはサラブレッドとしての競走馬でしょう。そして、いよいよ、満を持して(?)、この2018年、スマホゲームとしてサラブレッドを美少女化してレースさせるという、あまり意味のなさそうなコンテンツが誕生したのです。

最初にこの企画のことを知り、開発途中と思われるイラストを見た時に、これはなんだかなぁ、美少女キャラに実在の競争馬名をつけただけやんけ、と思っただけでした。2018年4月からはじまった『ウマ娘-プリティダービーAmazon』(アニメ)はそのメディアミックスコンテンツのひとつとして放送開始されています。テレビ放送に映るゲーム画面を見る限り、ゲーム映像にはそれほど変な感じはしなかったのですが、アニメ内で、馬耳や尻尾をつけた美少女達がターフを駆け巡る姿を見た瞬間、笑いが止まりませんでした。おそらく今年一番映像作品で笑ったのではないでしょうか。なんというか、とにかく、実際にある広いレースコースを、コスプレしたしただけのような少女たちが、必死に駆けている映像だけを見せられるわけですから、そのシュールさには笑わずにいられません(もちろん良い意味で、です)。おまけに、制作のPA-WORKSがうまいぐあいに質の良いアニメーションをつくるものだから余計に変なシュールさが増すのです。走りの映像はおそらくほとんど手書きがメインだと思うが、それが地味なシュールさを増しているように見えるのでしょうかねぇ。まあとにかく、擬人化とアイドル要素を掛け合わせて、いったいどこをターゲットに制作したアニメかはわかりませんが、これだけ良いB級作品に仕上げたのも、なかなかのものといったところです。

このアニメ(ゲーム)において、かなりの競争馬名が使用できないようなのですが、それがかえっていいかもしれまっせん。話の主人公は、スペシャルウィークという20年前に武豊にはじめてダービージョッキーの称号を与えた競争馬で、そこに実際のライバルだったセイウンスカイにキングヘイローを加え、同世代のライバルでもあったグラスワンダーやエルコンドルパサーも登場しています。この布陣は、おっさんの競馬ファンには胸アツなものがあるでしょう。3話まで見た話の展開は、実際にあった出来事(スペちゃんの皐月賞3着、グラスの骨折など)に沿っているというところが興味深い。ということは、スペがこのあとダービー取って、京都大賞天惨敗の後の秋天快勝などといった史実にそうのでしょうか。さらにいうと、一番楽しみなのは1998年の毎日王冠がどう再現されるのか。サイレンススズカとエルコンドルパサーとグラスワンダーが一堂に会した最初で最後の舞台はどうなるんだろう。私は、現実の競馬で今まで一番楽しみで、一週間が待ちどおしかったのがこのレースです。当時、このレースをどうしても生で観たくて、他に出かける予定をキャンセルしたほどです。こんなワクワクするレースには二度と会えてません。こういった実際の出来事だけではなく、競走馬の個性や特徴や、勝負服などの色合いもキャラ付けに反映されていて、そこもオモシロイ。
で、ここで非常に気になるのが、サイレンススズカ(アニメ内ではスズカさん)の去就でしょう。スズカさんは、一見おとなしそうなのに、レースになると人(トレーナー)の指示を聞かずに暴走気味に走って行くのですが、それも実際の3歳時のサイレンススズカを思いださせます。そして、秋の天皇賞で彼女(?)はどうなってしまうのでしょうか。まさか競走中止後の予後不良はないでしょうが、引退くらいはあるかもしれません……。それからどうなるのか。まあスペちゃんがスズカさんの分もと、頑張る展開が見えそうですが、もしかして、彼女の後を継いで、彼女の妹と名乗るラスカルスズカやスズカフェニックスが現れたりするのでしょうか!?

ジャスタウェイ、いや、バイザウェイ、シンボリルドルフがいる部屋(生徒会長室)に「Eclipse-first,the-rest-nowhere」という額が掲げられています。これは、「エクリプス一着、ほかの馬はどこにもない」という意味の有名なセリフですが、このエクリプスという馬は非常に強かったらしく、種牡馬としても後世に強い影響を与えて、その血脈を多くのこしています。

このアニメでは、ただ単にレースをするだけではなく、勝利したウマ娘は3着までに入ったウマ娘たちと一緒に「ウイニングライブ」という、アイドル並のライブを行うのですが、OPの歌からして某アイマスっぽいですし、なにしろ作品全体がなんというか、ディープというよりチープなインパクトというか、まるでデュランダルで斬られたかのような、もしくはトールハンマーでぶちまかされたかのような、なかなかいい感じのB級感があって私は好きです。
このウマ娘たちは、トゥザヴィクトリーへと、ファインなモーションでターフを駆け抜け、ショウリノメガミに微笑まれた者だけがライブのウイニングチケットを手に取り、「ウイニングライブ」では勝者がダンスのパートナーたちを引き連れてニジンスキーもかくやと思わせるような、プライムなステージでチャンプらしいジェニュインな、輝くベガのごときダンスオンステージをみせるだろう。観客たちがナイスなネーチャンたちに向けて放つ喝采は、まるでライスシャワーのようになるだろう。彼女たちが目指すのは、トレーナーや仲間とのキズナで勝ち取った先にある、偉大なアクトレスだろうか。エガオヲミセテ駆け抜けるウマ娘たちを、私は、いやオレハマッテルゼ、と言いながらも、はたして私はこの放送が終わってもスティルインラブしていられるだろうか。はたまた、俺ハマってるぜといえるだろうか。
まあ、スマホゲームは全くやらない私も、このアニメを見て、ちょっとやってみたいとは思えましたが、結局スマホゲームはやらないので、まあアニメを見るだけに終わりそうです。

【余談】
このコラムを書いているのが先週の金曜日で、ここに、余談として、その週末にあった皐月賞の本命をジェネラーレウーノにする!、と書いたのですが、ただいま翌週の月曜に編集作業をしているので、ちょっとその結果について。軸をステルヴィオとの二頭にしたので、馬券的には1,2着とのワイドしかひろえなかったが、本当によく踏ん張ってくれた。ダービーでは本命にはできないがそれでもエイシンフラッシュの再現をひそかに期待したい(サンツェッペリンになるかもしれんが)。だが、ダノンプレミアムもいるし、別路線組(毎日杯・青葉賞)もいるので厳しいとは思うが。皐月賞組ではキタノコマンドールはまた上位人気しそうだなぁ。個人的には、人気を確実に落とすであろうオウケンムーンをヒモ穴にいれたい。皐月賞馬のエポカドーロは未勝利勝ちの時にスピードのありそうな馬だなとは思ったが、もしかするとロゴタイプみたいなタイプかもしれないすると厳しいかな。クラシックは牡馬に関しても、なんとなくすんなり決まりそうな予感もするが3着に変な人気薄が入ってほしいな。

(成城比丘太郎)


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