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もし本当に武道館に行ったら、誰を推せばいいのか~2010年代アニメまとめ(6.5)

投稿日:2020年3月6日 更新日:

  • 「2010年代アニメまとめ」特別編
  • アイドルのアニメについて
  • 推し武道とフランシュシュとWUG
  • アイドル度:★★★★★

【推し武道について】

2020年1月からはじまった『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は、TBSアニメということで失礼ながらあまり期待していなかった。まああまり期待しないでおこうと思ったのですが、実際の放送を見たら、それなりに良い出来になっていました。原作からの変更点は、男ドルオタ(を演じる声優)がけっこう描かれていてさらに話の展開は早くてうまくまとめられているように思える(まだ原作に照らして検証していないけど)。他方で、背景の淡い色合いは原作からなんとなく想像していたものだったので、そこらへんは予想通りだった(初代セーラームーンを思い出した)。予想以上に良かったのは、キャラデザでしょうか。原作ではうまくつかみきれなかった個性の差が出ている。メンバーに色(メンカラー)と声(声優)がきちんとついたので、ChamJamそれぞれの個性の差がわかりやすくなったということなのでしょう。あと、岡山感も多少あるのもよい。

たしか、原作のCMでえりぴよさんを演じていたのは早見沙織だったと思うけど、アニメ化でファイルーズあいになってどうかなと思ったが、えりぴよさんのポジティブなアグレッシブさが前面に出てきているような気はする(ヤンデレ感が全く感じられないのがよい)。ただし、見始めた当初は、どうしてもNHK筋肉体操の映像が頭にうかんできたけど(苦笑)。くまささんと基さんとのトリオも原作通りでよい。運営のおっさん(声・中村悠一)の「ありがとうございました~」も、ひとつのアクセントになっていて笑えてよい。あーや推し役の阪口大助はたしかモノホンのドルオタだったと思うけど、わかってて起用したんだろうか。

先に書いたけどキャラに声と色がついたので、かえって原作以上のメンバーの個性が生きているような気がする。舞菜(立花日菜)の控えめさ(?)もいいし、優佳(和多田美咲)と文(伊藤麻菜美)のふたりは性格が似ていそうな気がしていたけど声がついたことでうまい具合に区別がつくようになった。逆に言うと、優佳と文の魅力が個人的に増したような気がする。ゆめ莉(石原夏織)は個人的に原作では目立たなかったけど、中の人の声優アイドル歴がけっこうあるのでこのメンバーの中で一番アイドル感が強く出てしまっている。センターの五十嵐れお(本渡楓)は原作ではけっこうきつめにくまささんにあたってたけど声がついたことで、れおの過去からくるちょっとした「寂しがりやで甘えん坊」さが出ているように思う。空音(長谷川育美)と眞妃(榎吉麻弥)に関してはだいたい予想通りのキャスティング、というか、半分くらいの中の人のことを知らない。ところで、なぜ「あーや(文)」の人気がないのか不思議だ。優佳と文こそプロアイドル向きな性格だと思うんだが。

歌とダンスに関していうと、これはわかっていたことだけど、当然よい。ここがよくなければアニメ化の意味がない。挿入歌に関しては公式のMVをネットで暇ができたら聴いている(見ている)。エンディングにえりぴよさんの「桃色片想い」を持ってきたのは意外だったけど、よく考えるとこれはピッタリだなと思う。サーモンピンクという舞菜のメンカラ―に、えりぴよと舞菜とのそれぞれへの片想い(両想い)。というか、この歌がもう、18年前だというのが驚き。ちなみに2002年の18年前というと1984年(「愛・おぼえていますか」が出た年)だけど、アイドルソングはなんというか不変だなと思う。

さてでは、日本武道館にいったら誰を推せばいいのか問題だけど、全員まとめて(箱推し)推したいんだけども、個人的には、大葉のテンプラが好きなうえに鮭の刺身を大葉で包んで食べるのが好きなので、舞菜と文(あーや)のふたりを推せばいいということになるのか。というか、このChamJamが岡山に実在するなら、すぐさま岡山県(岡山市)に行ってライブ観に行くでしょう。

【アイドルアニメについて】

以前に書きましたけど、個人的にアイドルアニメはあまり好きではありません。このように書きますとなんだか語弊がありますが、正確に書くと、2010年代のアイドルアニメを見ていても、そのアニメの円盤はおろか、音楽ソフト(CDなど)すら購入したいと思わないということです。要するに、そのアイドルアニメに関する何かを購入させる動機になるようなものをアイドルアニメからは感じないのです。これはそのアニメの問題ではなくて、個人的なことなのでどうでもいんですが、一応今までにアイドルが出てくるアニメを少し見てきたものからすると、その個人的な理由というものがよく分からない。

ここでアイドルアニメとは何かというと、まあ端的に言うとアイドルの成長を描いたものといえるでしょうか。2010年代でいうと、うたプリみたいなものやアイドルマスターからはじまって、ラブライブなどの学園アイドルものが主流になったのでしょうか。子ども向けだと、アイカツは序盤だけ見ましたが、それも学園アイドルものだと思います。その他に、劇中でアイドルが出てくるものを合わせると、けっこうあるのではないかと思います。

【アイドルアニメの流れ】

テレビアニメの歴史において、アイドル(が出てくる)アニメはけっこうあったと思います。その歴史には詳しくないですが、個人的にはじめてアニメでアイドルを意識したのは『超時空要塞マクロス』(1982-1983)のリン・ミンメイでしょう。それから、『魔法の天使クリィミーマミ』(1983-84)も、小学生低学年の時分になにかと影響をうけました(実際好きだったのは『ミンキーモモ』でしたけど)。そして、実在アイドルとのコラボという意味だと、『ハイスクール奇面組』(うしろゆびさされ組とうしろ髪ひかれ隊)でしょうか。これは、おニャン子クラブとコラボしなければフツーのギャグアニメだったでしょうねぇ。

それから、『アイドル伝説えり子』(1989-90)や、『アイドル天使ようこそようこ』(1990-91)なんかも中学生の時に田村英里子などの実在アイドルとの関連で見ていた。それから『アイドル防衛隊ハミングバード』(1993)なんかの歌もよく聴いていた。この80年代後半から90年代前半にかけては、アイドル然とした声優がでてきたのを意識し始めた頃かもしれない。80年代からアニメ内アイドルを前面に押し出したり、実在アイドルとタイアップしたりしたアニメはあったなと思う。1990年前後にいた実在の女性アイドルに関しては、ほとんどメジャーには残っていないけど(大物になったのは宮沢りえとか永作博美とかか)、この頃はジャニーズとかの男性アイドルグループの方が勢いはあった(記憶がある)。

90年代になってから、さらにアイドルとアニメとがクロスすることが多くなったけど、アイドルの成長そのものを描いた(学園ものの)アイドルアニメが本格的に制作されるのは、やはり2010年代に入ってからかなと思います。その中では、『アイドルマスター』や『ラブライブ』が代表作でしょうか。男性アイドルものに関して見ていたという記憶があるのは、『少年ハリウッド』(2014、2015)や『アイマス(メンズ)』、『アイドリッシュセブン』(2018)、それから『B-PPOJECT』(2016)くらいです。女性アイドルの『アイドルマスターシンデレラガールズ』(2015)や『ろこどる』はおもしろく見ていましたけども、しかし、そのいずれの円盤も音楽もまったく購入したいとは思わなかった。

そんななか、唯一音楽ソフトを購入したのは、『WakeUp,Girls!(WUG)』(2014他)のものでしょう。それから、「中川かのんちゃん」(『神のみぞ知るセカイ』)のものも購入しましたが、これは劇中アイドルなのでノーカン。買ったのはそれだけで、『マクロス△』(2016)の中に出てきた「ワルキューレ」に関しては曲はよかったものの、買いたいとは思わなかった。『マクロスF』のものは買ったのに。ではなぜ、WUGのものだけ購入したのか。

アニメのWUG(テレビ版)では、主要キャラたちがおよそ現代(2014年)の若者とは思えないような古くさいギャグをかましていたり、劇中に登場するナマハゲアイドルが某スケバンドラマのアイドルそのものだったり、劇中に出てくるある番組タイトルが80年代後半に関西で放送されていた『4時ですよーだ』そのものだったり、WUGたちが出ていたある番組が当時(1990年前後に)放送されていたあるアイドル番組に似ていたり、そして実在の声優ユニットWUGそのものが個人的に1990年代前後に活躍していたとあるアイドルグループを思わせたりしていました(WUGの方がライブパフォーマンスはかなり上ですが)。といった具合で、あの頃感がすごい作品だったわけです。つまりは、その当時(1990年前後)に青春時代を送った者にとって、WUGとはまさにあの時代にタイムスリップさせてくれるユニットだったのです。WUGのアニメそのものもそれなりに好きだったうえに、ユニットのWUGに懐かしい感懐をおぼえて、それらがよかったのです。

【かんなぎの続編まだ?】

さて、その『WUG!』ですが、これを見始めた時、「舞台が仙台だから、『かんなぎ』とコラボしないんかな」と思ってました。『かんなぎ』キャストの三人(主人公の仁と、ナギ様とざんげちゃん)は共演してたけど、他にはこれといって何もなかったと思う。その『かんなぎ』のオープニングはまさにナギ様のアイドル活動(という名の信仰心煽り)でしたが、そんなナギ様にWUGへ向かって「まだまだ地味だね♪」と言ってほしかったような。

で、その『かんなぎ』の続編アニメをもう10年以上も一応待っているんですが、まだですかねぇ。といっても、もし続編制作されたとしても、監督は変わるでしょうが。

【WUGからフランシュシュへ】

ところで、先ほども書いた『マクロス△』に出てくるアイドルユニット「ワルキューレ」は、テレビアニメ『AKB0048』の焼き直しというかそれをブラッシュアップさせたものでした。AKBで用いたアイドル活動(?)をマクロスに持ちこんだ形です。それと同様に、WUGで用いていたアイドル像やそのありようを、『ゾンビランドサガ』のアイドルユニットであるフランシュシュが受け継いでいることは間違いないでしょう。まあレーベルがavex関連なのでそれはそうですし、そもそもアイドルアニメが似たようなものになるのはありがちなことです。

ではその両者にこれといった関連性はどれほどあるのか。またはその両者に何らかの共通点はあるのか。以下に思いついたことを書きだしたいと思います。

・まずレーベルがavex関連であること。

・WUGのエンディング「言の葉青葉」が、フランシュシュのエンディング「光へ」と受け継がれている。

・フランシュシュの「シュシュ」は、WUGの七瀬佳乃がアイドルの祭典前にメンバーに渡したシュシュから受け継いだものか。

・WUG劇場版『七人のアイドル』のテーマソングである「タチアガレ!」が、フランシュシュの「アツクナレ」と「ヨミガエレ」に受け継がれ、『ゾンビランドサガ』放送後に解散するWUGの精神をよみがえらそうとしたもの。すなわち、WUGに「ヨミガエレ」と言っているのかいないのか。

・その「タチアガレ!」の歌詞には、「WakeUp、目覚めさせてくれた」というフレーズがあり、これはフランシュシュのメンバーが「目覚めさせてくれた」というようなことを歌っていたことを先取りしたものか。

・WUGのテレビ版OP「7GirlsWar」のラストでの七人がライブ会場に立つ後姿が、『ゾンビランドサガ』のOPラストの映像と構図的に全く同じ。ただしこういった構図はどんな映像作品にも見られるものだが。

・WUGの都落ちアイドルという設定や解散するWUGが、『ゾンビランドサガ』においてゾンビ化したアイドルへと意味論的に変成され、新たな地(佐賀)で復活することを受け継ぎ、それはフランシュシュがやがて全国へ進出するというWUGの経歴をなぞることになる(予定)。

・震災に遭った東北地方を仙台において元気付けるというWUGと、衰退しつつある(?)佐賀を元気付けるフランシュシュは、中央(東京)の眼にとまり、やがて東京に出ていく契機になるという点で同じになるか。

・個人的には、80年代後半から90年代初頭にかけてのアイドル像やその文化を両者に感じる。

・WUGのOP「7GirlsWar」では「大きく大きくチェンジ」と歌っているが、これは後に『ゾンビランドサガ』において、大幅な「チェンジ」を遂げることを暗示していた。さらにはそこで、「今生まれ変わるチェンジ」とも歌っていて、これもまたフランシュシュへの先駆的なアンサーソングとなっている。

・フランシュシュの水野愛が所属していた「アイアンフリル」は、WUGの島田真夢が過去にセンターをつとめていた「I-1クラブ」と韻を踏んでいる単語の文字構成になっている。「あいあんふりる」と「あいわんくらぶ」。

・WUGで連呼されるアイドルの心得とは、「休まない、愚痴らない、考えない」というもので、これらはアイドルたちから主体性を奪うという意味での、ゾンビ化を表している。

・両方に田中美海が主要メンバーとしてキャスティングされ、両者それぞれのキャラ(片山実波と星川リリィ)は何となく妹キャラ的な意味で似ている。個人的には、どちらのキャラもメンバー内で一番プロフッショナルだと思う。

・フランシュシュのプロデューサーである「巽幸太郎」の「巽」とは東南を表しているけども、彼は「乾くん」とも呼ばれていた(らしい)。「乾」とは西北のこと。WUGが誕生したのは東北である。仙台は佐賀県からみて北東方面に位置する。北東は、東南と西北の間に位置する。ここには何かの暗号がありそう。

まあ最後の「巽」に関してはコジツケだけども、どちらもアイドルアニメというフォーマットを用いているため、似てくる部分は出てくるかとは思う。個人的には、(アイドル)アニメとしては、フランシュシュの方が一般受けというかキャラ立ちも顕著だしインパクトはあるけど、アイドルとしての成長というかその過程をきちんと描いているのはWUGの方なので、音楽を聴きたいと思うのはWUGの方です。『推し武道』の曲は購入しようかどうか迷うところ。

【ChamJamが武道館に行くにはどうすればいいか】

ChamJamが武道館に行くにはどうすればいいか、ということですが、このユニットが実在の声優によって組まれるとするなら、フランシュシュとWUGの三者合同でライブを行えばよいかも。そうしたら武道館でライブできるでしょう。レーベルは違うけどなんとかできるでしょう。もしそれをしてくれれば、観に行きはしないけど、ライブ映像のBDを必ず購入すると約束します。

【まとめ】

『推し武道』のChamJamメンバーはけっこう洗練されていて、それとともにとても和気あいあいとしています(岡山だけに)。それとは逆にアニメ内WUGのメンバーはプロデューサーから「おイモちゃんたち」と呼ばれるように(最初は)洗練されているとはいえませんでしたが、しかし、実在の声優ユニットであるWUGは、楽曲に恵まれたということもありますが徐々に洗練されてきて、テレビで見る限りではステージパフォーマンスもよく、メンバーもそれぞれ「いつも努力と根性でベスト」を尽くしているようで、単なる地方(に埋没する)アイドルとは違っていたなと思います。まあこれら三者では、おそらくフランシュシュの方が一番武道館に近いとは思います。個人的には、もし20歳若かったら間違いなくワグナーになっていたでしょう。推し武道の方は原作含めて、それなりに推していきたいと思います。

【追記】

3月に公演予定の、フランシュシュのライブ(とその生中継)が中止になったようです。それほど楽しみにしていたわけではないですけど、ちょっと残念ではあります。

(成城比丘太郎)


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