- 「コラム073」
- 夏のフェアのこと(Part2)
- 中島敦の文庫は去年のフェアにありました。
- オススメ度:特になし
【近況〜読書など】
最近、スー・ブラック『骨は知っているー声なき死者の物語』(宮崎真紀・訳、亜紀書房)という本を読みました。著者はイギリス(スコットランド)生まれの法人類学者、解剖学者です。白骨遺体や骨(歯)や肌などからその個人の特徴や来歴など様々な情報を知ることができます。とくに骨の状態から色んなことを知ることができます。どんなものを食べていたのかや、性別や大まかな年齢など、骨から知られるものはたくさんあるようです。この夏の読書感想文の題材に向いてるかどうかはわかりませんが、高校生以上なら面白く読めます。ただし凄惨な遺体の描写などもあるのでその点注意してください。この本の中で興味深かったのは、「腐敗したアザラシの鰭(ひれ)と人間の手は本当によく似ている」ということ。
さて、現在のアニメシーンで最もメジャーな骨というと、オーバーロードのアインズ様でしょう。アインズ様から何かを知ることはできるのでしょうか?
【前回のコラムに補足】
前回のコラム(2022年8月3日)におきまして、中島敦の本が角川文庫のフェア(カドブン)にはないと書きました。そのあと、去年(2021年)の夏フェア(カドフェス2021)をみたことろ、中島敦の『文字禍・牛人』が入っておりました。めでたしめでたし。
それから、新潮文庫夏の100冊には、大江健三郎以外の、ノーベル文学賞受賞クラスの作家のものは残っていると書きました。それに加えて、大江健三郎の他にも、近年見当たらなくなった有名(?)作家がいます。その作家とは、井上靖です。少なくとも、去年のフェアには名前がない。
先ほど調べたところ、2017年の新潮文庫夏のフェアには井上靖の名前はありましたが、2019年のものにはありませんでした。その頃を境に井上靖は100冊落ち(?)した模様です。
井上靖というと、私がはじめて熱心に読んだのは『額田王』です。額田王のことをはじめて知ったのがこの作品です。夏のフェアに入れるには分厚いですけど。
【角川文庫夏のフェア】
去年(2021年)の角川文庫フェアでは、『ぼぎわんが、来る』とか『ぼっけえ、きょうてえ』といったホラー文庫が入ってましたが、今年は入ってません。そのかわりに、別の角川ホラー文庫が入ってます。
それと、『ゴーストハント』シリーズが去年のものには3冊も入ってましたが、今年は1冊だけになりました。まあ、夏のフェアにシリーズものを入れるなら1巻目だけでいいのかなぁ。
そして、去年にはなかった『ドグラ・マグラ』が今年のものには入ってます。『ドグラ・マグラ』を読んで読書感想文を書く人はいるかなぁ。
どうも角川文庫のフェアは毎年変動しているみたいで、落ち着きがなさそうです。
【余談】
8月10日はゆゆ式の相川さんの誕生日ということでおめでとうです。そのゆゆ式アニメでは唯ちゃんがよく本を読んでます。タイトルが判明してるのは『のぼうの城』です。のぼうの城は小学館文庫のようなので夏のフェアには入ってません。もし新潮文庫夏のフェアから唯ちゃんがひとつ選ぶとしたらやはり司馬遼太郎『燃えよ剣』かなぁと思います。
(成城比丘太郎)