★★★★☆

2010年代アニメまとめ(7)

投稿日:2020年4月17日 更新日:

  • 「2015年作品」を中心に
  • 「過激なアニメ」とは
  • 公共放送で放送できないアニメについて
  • おすすめ度:★★★★☆

【日本文化の核心】

『日本文化の核心』(松岡正剛・著、講談社現代新書)を読みました。この前の記事で、「日本人として読んどくべき本」みたいなノリで紹介文を書きましたけど、本書こそ日本人なら読んどくべきで、なおかつここに書かれたことをよく考えるべきではないかと思われます。たとえば、海外からの観光客などを「おもてなし」するときや、海外へ留学するときなどに関して、もしそこに日本人としての意識すなわち日本という文化圏で生きている(た)、という自認があるならば、それを深く知っておくために本書は読んで損はないといえるでしょう。

本書の大枠は、「ジャパン・フィルター」なるものが色々とあり、それらを基に著者が、日本の文化や思想に深く切りこんでいくというもの。その内容とは、日本神話からはじまり、宗教や芸能や文芸など多分野にわたります。著者がいうには、縄文の頃より(おおまかな意味での)日本列島人には、外来のものを「日本特有の編集力」というか「ジャパン・フィルター」なるものを通して、「リミックス」なり「マッチング」を行ってきたということ。その現れは神仏習合や漢字受容だけにはとどまらず、現代の日本文化にも通じているということだと思います。単なる安直な日本文化論に堕すのではなく、「多様な文化」に通底する何らかの「モード」があるということを、多様に述べたものです。

「一六講」の講義といった形で進むので、けっこうわかりやすく「ジャパン・スタイル」が理解できます。といっても、けっして分かりやすい部分ばかりではないですが、まあ高校生以上であれば十分に読めると思います。ところで、私が先に書いた「講義」とは、著者の現代日本への抗議の部分もあるかと思います。といっても単なるプロテスト(異議申し立て)だけではなく、現代の比較的若い日本(人)への叱咤激励めいたものも感じます。まあ、日本文化入門書としては最適な本だと思います。

【過激なアニメとは】

さて、アニメの記事と松岡正剛の本と何の関係があるのかと、いぶかしむ声はないと思いますが、本書には以下のような提言?があるのです。

「二一世紀の日本文化を活性化させるには」、「伝統文化や伝統芸能の中の『バサラっぽいもの』『歌舞伎っぽいもの』を溢れださせること」が一方で必要としつつ、「他方では近現代日本の表現力の中から過剰なものや密度の濃いものやパンクアートや大胆な劇画や過激なアニメのようなものをふんだんに並べてみることが、かなり重要」ではないかとしています。(『日本文化の核心』p232)

この「過激なアニメ」とは何かというのは、判定基準というか、何がそれに該当するかの差別化が難しいところですが、私が勝手に敷衍すると、過剰な暴力表現や過度な性的表現を含んだ内容のアニメのことだと仮に定義しておきます。ふつうならば、あまりにも過激なアニメ作品は、有料チャンネル(やネット配信やパッケージ販売など)だけで観られるものですが、それほどのものでないものならば、地上波でも(自主的に)規制しつつ放送されています。個人的には、2010年代からはアニメーション技術が上がった(画質が良くなった)おかげか、性描写(エロい表現を必要以上に描いたもの)に関しては表現・内容ともにけっこうえげつなくなったと思われます。

ここで、「過激なアニメ」を具体的に書く前に、個人的に「過激なアニメ」について以下のようにも捉えることにします。それは、

《NHK地上波で放送できるかどうか》

ということです。放送するかどうかにかかわらず、放送できるかどうか、放送しても抗議が来ないかどうかということです。これはかなり重要なことだと個人的に思います。

一応書いときますと、私がこれから書く内容と、松岡正剛氏の書いたものとは、全く何の関係もないことを付記しておきます。つまり、文責はすべて私にあるということです(当たり前だが)。

【NHKで放送できるアニメできないアニメ】


最近は、NHKでも直接的な暴力を含むアニメ作品が深夜に放送されています。たとえば『進撃の巨人』の最新作もそうですし、『ヴィンランド・サガ』や『キングダム』などもそうです。『進撃』の第一シリーズは、あの当時ならおそらく放送できなかったでしょう。『進撃』以下の二作品に関しては、歴史ものなので一応の言い訳はできますし、残酷な表現も抑え目になっているように思います(個人の印象)。ちなみに、『エヴァンゲリオン』もBSか何かで放送されてましたけど、当時(1995年)であれば夕方のNHKでは放送できなかったでしょう。


以前NHKで放送されていた、とあるゲーム漫画アニメの情報番組では、『Another』のバラバラ死体のワンシーンが規制もなく放送されていましたが、だからといって『アナザー』の全編を無規制で(規制がなくとも)NHKが放送するとは思えません。とはいえ、有名作品や人気作品であれば、NHKが暴力表現を含む内容のアニメを放送することに関しては、それほどの抵抗感はなくなったようです。

では性的表現を多量に含むアニメいわゆるエロアニメに関してはどうなのかというと、これは今世紀中に放送するのは無理なのかなと思います。しかし個人的には、NHKアニメの中でも、エロい目で見ようと思えばそう見えないこともないアニメも昔からあるので、単純に「無理」とはいえない。ですので、エロアニメとは何なのかについて語らねばならないのですが、それについては追々書いていく内容で明らかになるかもしれません。ところで、『エロマンガ先生』(2017)はタイトルほどには過激ではないものの、放送できないと思います。ちなみに、この『エロマンガ先生』は大阪の放送局では当時、「Eマンガ先生」と表記していた。

というわけで、どの作品が放送できて、どれが放送できないか、ということを考えながら記事を書いていきます。

さて、現在では、春画などの浮世絵は芸術作品になり、(エロい漫画も書いた)手塚治虫は「漫画の神様」ともてはやされていますけども、エロアニメが将来的に芸術作品としてもてはやされる将来像は思い描けません。春画や手塚アニメはNHKでとりあげられるでしょうが、現在のひどいエロアニメはアングラのままとどまりそうな感じです。ちなみに、「エロアニメ」と書いてますけど、いわゆる成人向けのアニメ(や漫画)は省きます(最近は見たことないので)。

【2020年の過激アニメ(エロ)】

2020年冬アニメで、一番注目を集めるはずだった作品に、『異種族レビュアーズ』というものがあります。おそらく、新型コロナウイルス騒動がなければ、もっと話題になっていたでしょう。一応、地上波放送(や配信)を取りやめた局があったので、それなりに話題にはなりました。その理由について友人に訊いたところ、「女性(風俗嬢)を点数化してランク付けしたのがダメだったのでクレームが来た」というような返事だったのですが、それを聞いた時に、その手の業界からクレームが来たのかなと思いました(大嘘)。

このアニメの内容とは、単に、この世界とは違う世界に住むと思われる人間やエルフなどの種族が、「サキュバス嬢」のいる風俗店に行き、その店のレビューを書くというだけのものです。ちなみに、人間の女性は一人くらいしかいなかったと思います。個人的にはかなり健全な内容でした。しかし、もしかりに、サキュバスたち(女性)をランク付けしなかったとしても、おそらく放送を中止していたんじゃないかとは思えるような、表現でしたが。キャラデザ(うのまこと)が今回はうまいこといったような気がする(そんなにエロくはない)。ただし、主題歌含めてやっていることが風俗店めぐりで表現も色々ときわどすぎるので、これはNHKでは内容に触れることすらできなかったでしょう。地上波(民放)でよく放送したなという感じです。そうなんです。この作品は地上波で放送したことに意義があるのです。私がもし制作サイドの人間なら、放送中止にされたことで「してやったり」と思ったことでしょう。それだけに、新型コロナウイルスの影響は大きいのかもしれない(現在は、春アニメの放送延期がいくつも決まっているので、なんとか業界にはこの危機を乗り越えてほしい)。

このアニメに関しては途中まではおもしろかったものの、後半はやることが同じなので、さすがに食傷気味になりました。見始めた時は、「このアニメに触れないアニメ評論(?)は、評論する者としては三流だ」と思ったのですが、もう4月を過ぎた今、しだいに忘れてしまいそうです。ただ、このアニメでひとつ有益(?)だったのは、単眼キャラにあまり忌避感を抱かなかったこと(ちなみに、ネット検索では「単眼」は閲覧厳重注意になっているのでご注意を)。でも、やっぱり個人的には、単眼キャラはやめてほしい。

正直、『異種族レビュアーズ』は、過激なエロアニメではないと個人的には思います。そのわけはキャラデザがあまりエロさを感じさせないということです。逆に言うと、キャラデザしだいではとんでもないアニメになっていたような気がする。ほんで、やっていることは、スポーツ新聞などに載っている風俗店紹介記事の内容を、(異世界ファンタジー風に)詳しく描き出したものですので、エロさよりも、いろんなプレイ(?)の楽しみを知れるという(ファンタジー世界の)アニメです。たぶん、半数以上の作り手は楽しんで制作したんじゃないかなと思います(声優がどう思っていたかは知らないけど)。

【2020年過激アニメ(過剰・暴力)】

同じく冬アニメの『ドロヘドロ』は、世界観がかなりユニークでした。独特という言葉はあまり使いたくはないのですが、それでも独特な表現といいたくなるものでした。このアニメは、アバンタイトルにいつも「残酷な表現に注意」というようなテロップが出ていたのですが、はっきり言うとまったく「残酷」ではなかった。過激というよりもむしろ、過剰な表現でした。どこかマニエリスム的な過剰さを感じました(とくに、街全体がキノコだらけになるところとか)。これはちなみに、NHKで放送できる内容ですし、表現です。かなりカブいている作品だと思います。まあなんというか、『鬼滅の刃』がNHKでとりあげられるのですから、これもできるということです。

(上)(下)

4月から地上波でも放送が始まった『無限の住人-IMMORTAL-』の新アニメに関しては、もしかしたらNHKでは放送できないかもしれない。内容は、江戸時代の日本でのチャンバラなんですが、そこではスパスパと人体が切断されまくるという、爽快な表現があります(主人公たち剣士にはバサラ感がある)。今回の新アニメはまだ1話しか観ていないけど、なかなか原作漫画のよさを生かしているような気がする。前回のアニメよりも原作感があるような気がする。声に関しては、万次(津田健次郎)はちょっとオッサンくさくなった。ツダケンだから、藤原啓治のようにそのうち聞き慣れてくると思うけど。凛(佐倉綾音)はなんか中の人の風貌でキャスティングしたのかなといったようにも見える。ところで、4月からはじまった朝ドラのナレーションはツダケンなんだが、ほんと大忙しだなぁ。

【2015年アニメを中心に】

2015年を代表するアニメ作品は色々ありますが、表現に対する規制(禁止)という意味でいうと、やはり『下ネタという概念が存在しない退屈な世界(下セカ)』でしょう。この作品はタイトルから分かるように、世界から「下ネタ=性的表現」が一切禁止されてなくなってしまったという、ある種のディストピアものです。その世界で主人公が、ヒロイン?のひとりに引っぱられて「下ネタ」によるテロ行為を行うというものです。要は、「下ネタも言えないこんな世の中じゃ」といった憤りを持って、厳しい取り締まりの中、「下ネタテロ」を各地で行うというもの。これはなかなか、現代の風刺としてはおもしろいものです。『下セカ』はまあ、設定がすべてともいえますが、なかなか変態的描写もあるので、NHKではもちろん放送できません。


「下ネタ」というと、『生徒会役員共』(2010、2014他)でしょう。この作品は、生徒会を中心にした学園ものアニメと思いきや、自主規制の規制音やモザイクのかかった、けっこうな下ネタアニメでした。というか、放送ベースだと、ほぼなにを言っているのか分からなかった内容でした。この作品で被害を受けた(?)のは、『ごちうさ』でしょう。『生徒会役員共』の主要キャラである「七条アリア」と『ごちうさ』の「千夜」の声(佐藤聡美)が同じで、しかも演技の質も同じだったので、千夜に下ネタを言わせるというMAD動画がネット上でつくられまくってました。ほんとにひどい話だ()。
下ネタというと、他に色々あります。たとえば、『変ゼミ』(2011)や、『よんでますよ、アザゼルさん』(2011他)といった、下品なだけのアニメがありましたが、これは別にNHKで放送しなくてよいと思います。

 

その他に2015年には、下ネタというかエロアニメに分類されそうなものはいくつかありました。『食戟のソーマ』はまあその中ではましな方ですが(きわどいカットを差し換えればNHKで放送できる)、『監獄学園』(これは覚悟があれば放送できそう)、『ハイスクールD×D』(これは無理)、『モンスター娘のいる日常』(別の意味で無理)、『新妹魔王の契約者』(未来永劫無理というか放送局の品位が疑われる)、『ToLOVEる-ダークネス』(これも無理なんだが、原作漫画は表現規制に果敢に挑戦していると思う)、といったように2015年には多くのヒドイアニメがつくられた(ほめ言葉でもある)。


その他の年にもまあ、色々とエロいアニメは作られていますけど、そのほとんどが漫画やラノベ小説が原作で、しかも一度だけでもう観ないというものばかりなので、とくに書くことがない。つまり、エロだけでは面白くないということ。それでもおもろいのはあります。『聖痕のクェイサー』(2010他)はまあ女性(の身体)を道具としてしかみてないある意味ひどい内容だけどそれでも悪くはない。『Dororonえん魔くんメ~ラめら』(2011)はこれをよく放送したなといったかんじ。昔観た「えん魔くん」ってこんな感じだったかと疑うほどセクハラしまくり(これはクェイサーよりあかん)。そんななか、よいお色気アニメとしては、『ワルキューレロマンツェ』(2013)でしょう。これはそれほどエロくはなく、しかも健全なメタファーに満ちた良質なアニメでした(NHKで放送できないけど)。

Cエロアニメではないですが、個人的に好きな作品として、『謎の彼女X』(2012)があります。これは一見、学園ラブコメでありながら、なかなかの変化球フェチアニメです。ヒロインの高校生が、同級生の主人公に自らの唾液を舐められたことから起こるラブコメです。唾液をお互いに舐めることで、お互いの気持ちや感情をやりとりすることができるのです。クラスメートの女子の唾液を舐めるという行為は、ふつうならば淫靡なかんじもしますが、この作品ではうまく青春ドラマに昇華できています。それと、よだれの描写に気合が入っている。ちなみに、ヒロイン役の声優(の声質)や彼女が歌うオープニングは好きなのですが、この人はアニメ出演はこれきりで、現在はふつう(?)のタレント俳優になっているようです。ちなみに、これはNHKで放送できなくはない。

その他のものも少しだけ。たとえば、『Kiss×sis』(2010)や『LOVESTAGE!!』(2014)は、NHKでは放送できないでしょう。でも、後者はBLものなんですがけっこう純愛もので内容的にも(思想的にも)考えさせるものがあるので、しようと思えばできなくはないけども。他方、『山田くんと7人の魔女』(2015)や『恋と嘘』(2017)や『citrus』(2018)や『桜Trick』(2014)は放送しようと思えばできる。とくに『恋と嘘』はできると思う。

【2015年の京アニ】

2015年というと、京都アニメーションの『響け!ユーフォニアム』があげられるでしょう。この作品には、一切お色気要素はありません。ではなぜここで取り上げるのかというと、この作品に出てくる女子高生たちが非常に肉感的だったからです。内容に全くエロい要素がなくても、視聴者になんともいえない気持ち(?)を抱かせるような要素をキャラクターが持つことはあるということです。個人的には、あまりにもリアルに女子高生の体型が描かれているので、最初観た時はなんか気恥ずかしかった。この前新作映画(『誓いのフィナーレ』)を観ましたが、テレビ版の感じはなかったです。

そうなんです。京アニは『甘城ブリリアントパーク』(2014)といい、『無彩限のファントム・ワールド』(2016)といい、この時期の作品には、男性視聴者に媚びた(?)ようなところがあって、どうしたんだといった感じでした。『氷菓』のエンディングでさえ社内では不評だったそうなのに。

【エロ表現が作品を棄損する例】


アニメ作品には、男性視聴者向けのエロ表現をとってしまったがために、個人的にはその作品の価値が低くなってしまったものがあります。このブログでも最近よく書いている、『WakeUp、Girls!』(2014)もそうです。最初のエピソードにあたる映画を観ていなかったので、テレビ第一シリーズから観たのですが、第一話でいきなりパンチラ(パンモロ)シーンが出てきて、さらに第二話のひどさに、当時、思わず視聴を止めてしまおうかと思ったほど(その手の作品かと思ったので)。結局は最後まで観て、その後映画も見ましたが、今では視聴を止めなくて本当によかったと思っている。まあ、パンチラというのはひとつの偶発性を描いたものともいえるが、それをアニメで描くのは慎重にしてほしかった。なぜなら、テレビアニメというメディア(での映像)に偶発性というのはないと思っているからです。とくにエロ表現にそんなものはない。まあそれはいいのですが、問題は第二話でした。

その二話の内容は、少女たち(もちろん高校生などの未成年含む)にスーパー銭湯らしき場所において、水着姿で接待させるというもので、ひとりは客からセクハラを受けている。セクハラというよりも、完全に犯罪行為。現代日本を描いた作品としては、まず色々とアウトなんだが、それよりヒドイのは、この光景を表すものが、明らかにオタクや芸能界を揶揄したものになっていること。どういうことかというと、アイドル(声優)たちに下心満載で群がるオタクたちを戯画化したものになっている。というか、そうとしか読みとれない(なぜならアニメ作品だから)。このエピソードを考えたのは誰か知らないが(たぶん監督か)、これは相当に意地が悪い。この回さえなければ、万人にお薦め出来る作品なんだが。なんとももったいない。とはいえ、欠点がないアニメほどおもしろくないものはない。どこかに欠点があるものほど実は、長く見続けることができるのも確か(まあ、実在のWUGちゃんの頑張りが大きかったとは思うけど)。


ただ、残念なことに(?)『WUG!』は全く人気作品にならなかったので、この第二話があろうとなかろうと、実際のところ作品の価値が損なわれたかどうかは分かりません。しかし実は、それよりもヒドイのが、WUGたちのマネージャー(男性)が、事務所社長(女性)からパワハラを受けまくっていることです。これは観ていて胃が痛かった。知り合いにそういうパワハラを受けた人がいたけど、ではこのアニメでは、これは何を示しているのだろうか(現実にあったことなのか?)。もしこの性別が逆であれば、相当なヒンシュクをかっていたでしょう。なんというか、第二話以降、この作品にエロ要素はないのですが、そのためかパワハラ(に見える)行為だけが目立ってしまった。それを考えると、『ゾンビランドサガ』は、『WUG!』でダメだったところをうまく省いて、うまいファンタジーアイドルアニメに仕上げたなと、この前『WUG!』を見返してみて、そう思い直した。『ゾンビランドサガ』はよく観ると、少女たちがプロデューサー(男性)からけっこうひどい仕打ちを受けるのだが、もともとがゾンビ(死者)なので、そういった(?)芸能界のドロドロさがうまいこと消されている。ゾンビはどのような仕打ちにも耐えられる、というか視聴者にとってゾンビという設定のフィルターは、ここではうまく機能している。ふつうのアイドルアニメで(『ラブライブ』などで)、『ゾンサガ』ほどの叱責(?)をあびせるプロデューサーを出したら、それだけでダメになるかもしれない。

【まとめ】

さて、アニメにおける「過激」な表現や、過剰な表現には、他にもいろんなアプローチができますが、とりあえず今回は暴力やエロを中心にみていきました。暴力の表現は、最近はかなり中和されてきていますけど、エロに関しては昔より敷居が低くなったというか、規制したい側を忖度(?)した自主規制側による、規制側とのひそかな攻防が見える気がするので、やはり(?)地上波放送というのは、その点ではまだまだ存在の価値があるなという感じです。今一番(放送における)暴力とエロ表現に関して頑張っているのは、(漫画を含んだ)アニメ業界でしょう。とはいうものの、個人的には、漫画や小説と、アニメとの差はかなりのものがあります。漫画では許容されたものが、アニメでは許容できなくなることもなくはないです(漫画とアニメには越えられない壁がある)。はっきりいうと、漫画はこの先芸術としても称揚されるでしょうが、エロ要素が前面に出たアニメ作品は、将来的に芸術的評価がなされることは今世紀中にはないだろうということを、2010年代アニメを見返してみて、そうわかりました。

(成城比丘太郎)


 

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