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★★★☆☆

肉食屋敷(小林泰三/角川書店)

投稿日:2016年12月20日 更新日:

  • 生粋のホラー短編集
  • 怪獣・ゾンビ・恋愛・サスペンスなど多彩な要素
  • 要グロ表現耐性
  • おススメ度:★★★☆☆

本作は「玩具修理者」などで著名な小林泰三氏による4篇を収録した短編集。簡単に分類すると(1)怪獣系ホラー、(2)ゾンビをテーマにしたシュール・グロテスクなSF、(3)サイコなラブストーリー、(4)本格多重人格サスペンス、となっている。

共通するのは、腐臭を放つ肉塊のようなおぞましく、同時に奇妙に心地よい読書感がある。(3)を除けば、大なり小なりグロテスクな描写があり、変態的ともいえるテーマが語られる。たぶん、おぞましいものを「茶目っ気」たっぷりに書いているからではないだろうか。その辺の楽しんでいる感覚が、生粋のホラー作家だと思わされる。

(1)、(2)はグロテスクで、しかも余りにも着想やオチが異常で、好みが分かるだろう。個人的に(2)はちょっと苦手だ。一方(3)や(4)は上質サスペンスとして楽しめる。若干、物語に深みが足りない気もするが、他の作品も読んでみたいと思う。面白いが、要グロ表現耐性といったところ。

(きうら)


肉食屋敷【電子書籍】[ 小林 泰三 ]


-★★★☆☆
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